動画の企画フェーズの考え方|市場分析とターゲット設定はどうすべきか?

「動画を作ろう!」と思っても、いきなりカメラや編集に進むのは危険です。最も重要なのは、“なぜその動画を作るのか”を明確にする企画フェーズです。
- ターゲットが定まらず、誰にも刺さらない
- 見栄えは良いが成果が出ない
- 社内ですぐ“方向性がブレる”
こういったトラブルの多くは、企画段階の詰めが甘いことが原因です。
本記事では、動画制作における最初の一歩である企画・プランニングについて、以下のような疑問に答えていきます。
- 動画の目的ってどう設定すればいいの?
- 市場や競合をどう分析すれば差別化できる?
- ターゲットを明確にするには?
- 社内で意見が割れない“納得の土台”を作る方法とは?
福岡で動画制作を考えている中小企業や店舗経営者の方にとって、この企画フェーズの攻略は、全体の成功を左右する最重要ポイントです。しっかりとポイントを抑えておきましょう。
動画の企画を成功に導く3つの要素|目的×ターゲット×導線設計 |
動画の目的設定が甘いと全てが崩れる理由
動画制作の失敗で最も多い原因は、「目的があいまいなまま進めてしまう」ことです。これはまるで、地図なしで旅に出るようなものです。方向性が定まらないまま撮影・編集が進み、結果「何が言いたいか分からない動画」になりがちです。このままでは作って満足して効果がゼロの最悪の結果が待っています。
例えば、このような曖昧なケースは避けましょう。
- 「なんとなく動画があった方が良いと思って…」
- 「SNSでバズるようなやつを作りたい」
- 「とりあえず会社紹介を動画にしてみたくて」
これらは一見すると前向きですが、“誰に”“何を伝えて”“どうしてほしいか”が不明瞭です。
目的が定まっていない場合は以下のような悪影響を及ぼすこともあります。
悪影響 |
説明 |
構成が定まらず、何度も修正が発生 |
撮影後に「やっぱり〇〇を入れた方がいい」と方針が変わることが多い |
視聴者が途中離脱しやすくなる |
伝えたいメッセージが散漫で、飽きられてしまう |
成果に繋がらない(再生はされても反応ゼロ) |
ゴールが定まっていないため、視聴後のアクションを誘導できない |
社内でも評価が割れる |
「これは何のために作ったの?」という社内突っ込みが入りやすく、使われなくなることも |
一番重要なことは、目的は“ひとつだけ”に絞るのが鉄則ということです。「採用にも使いたいし、企業イメージも伝えたいし、営業資料にもしたい」という目的が多すぎる動画は、結局どれにも中途半端になりがちです。
そのため、まずは1本につき目的を1つに絞るようにして動画制作を行いましょう。
- 「採用」→ 若手人材の応募数アップが目的
- 「集客」→ 店舗に足を運ぶきっかけを与えることが目的
- 「サービス紹介」→ 導入の不安を払拭することが目的
このように、目的を定めることで、構成・トーン・長さ・撮影内容すべてがブレなくなり、視聴者にも制作者にも分かりやすい動画に仕上がります。
市場・競合分析で見える「狙うべき立ち位置」
動画制作で差をつけるために欠かせないのが、「市場分析」と「競合研究」です。これは大げさな話ではなく、“どこを狙えば勝ち筋があるか”を見極めるための基本作業です。
なぜ競合分析が重要なのか?というと、
- 他社と同じような動画を作っても、印象に残らない
- 逆に「他と違うな」と思わせられれば、それだけでブランディングになる
- 競合の成功事例・失敗事例を見れば、自社に必要なものがクリアになる
という理由があるからです。そのため、以下のチェックすべき競合のポイントをまずは確認しましょう。
項目 |
チェック内容例 |
動画の構成 |
誰が話している?テロップは?ストーリー性はある? |
見せ方 |
明るさ、テンポ、音楽、ナレーションの有無 |
配信チャネル |
YouTube/Instagram/TikTokなど、どこで展開しているか |
コメント・反応 |
視聴者の反応は?再生数とエンゲージメント(いいね・コメント)のバランスは? |
また、福岡での市場傾向としては、
- 地元企業はまだ「写真+文字」の情報発信が主流で、動画活用は伸びしろ大
- 若年層向けサービスはTikTok・Reelでの短尺動画が有効
- BtoB系は信頼感のあるインタビュー・導入事例動画が支持されている傾向
があります。自社の“差別化ポイント”を言語化してうまく動画制作を行いましょう。市場と競合を見た上で、「自社の強み」をあらためて確認してください。
例えば、
- 地元密着20年の信頼感 → 顧客の声を中心に据える構成に
- スピード対応 → タイムラプスや短尺での編集でスピード感を演出
- スタッフの個性 → インタビュー形式で“人”を前面に出す
このように、動画の構成や演出は、“企業の立ち位置”をどう表現するかの手段です。市場と競合の情報をもとに、自社ならではの切り口を考えましょう。
ターゲット設定の失敗で起こるズレとその回避法
動画制作において、「誰に届けるか」が曖昧だと、内容も効果もぼやけてしまうのは避けられません。「ターゲット設定」は動画企画の中核となります。失敗すると、制作後に効果が一切ない動画もしくは使われない動画”になってしまうことも。
ターゲット設定にありがちな失敗例としては、
- 全員向けに作ろうとして誰にも響かない
「若者にも年配層にも見てほしい」と言いつつ、両者に刺さらない中途半端な内容に
- 社内目線で考えすぎる
実際の視聴者より「上司が気に入る動画」を優先してしまう
- ペルソナが曖昧
「30代女性」程度のざっくりした像しかないと、具体的な演出が決められない
このようなミスはありがちなので注意しましょう。
ズレが起こす“もったいない”現象としては以下のような場合もあります。
ズレの内容 |
起こる結果 |
視聴者のニーズとズレる |
見ても響かない。途中で離脱される |
表現やトーンがチグハグになる |
若者向けのテンポ×堅いナレーション…などで違和感が出る |
実際の購買・応募につながらない |
視聴はされても、行動(CV)には結びつかない |
これらのズレを回避するには「具体的なペルソナ設定」が鉄則です。効果的な動画にするには、以下のように詳細なペルソナ像を明確に設定しておくことが重要です。
例)「25歳、福岡市在住の新卒2年目、カフェ好き。転職を検討しており、SNSで企業の雰囲気をチェックするのが日課」
このレベルまで想像できれば、動画の演出・トーン・長さ・配信先まで自然と固まってきます。
ペルソナを設定する際には以下のポイントで考えてみることをおすすめします。
- その人の1日の過ごし方は?
- どこで動画を見る?(スマホ?PC?)
- 何に悩んでいて、どんな言葉に反応しそう?
- 他にどんな会社・商品と迷っている?
「自社が伝えたいこと」よりも、「相手が知りたいこと・感じたいこと」を主軸にすることが鍵です。ペルソナをしっかりと設定することで失敗やズレを回避しましょう。
動画の企画を成功に導く3つの要素|目的×ターゲット×導線設計
動画企画で成果を出すには、以下の3要素がセットでつながっていることが不可欠です。
- 目的(何のために作るか)
- ターゲット(誰に届けるか)
- 導線設計(見た人にどう動いてほしいか)
この3つがかみ合うことで、“伝わる動画”から“動かす動画”へと進化します。
まず、目的とターゲットの組み合わせから設計を始めましょう。たとえば「採用強化」を目的とし、「20代の福岡在住の求職者」をターゲットとする場合、明るく親しみやすいトーンで、スタッフの雰囲気がしっかり伝わるような構成・尺が効果的です。ターゲットの心に届く動画は、目的達成の第一歩となります。
次に考えるべきは、ターゲットと導線設計の相性です。たとえば若年層がターゲットであれば、YouTubeよりもInstagramのリールやTikTokといったプラットフォームのほうが親和性が高く、視聴者との接点を作りやすい傾向があります。重要なのは、ターゲットが日常的にどこにいて、どのような行動をしているかを把握し、その行動導線の中に自然に動画を組み込むことです。
そして最後に、導線設計と目的の整合性を確認しましょう。たとえば「来店予約を増やしたい」という目的がある場合は、動画の視聴後すぐに予約ページへアクセスできるよう、リンクやボタンなど明確な導線を設けることが欠かせません。動画はあくまで“行動を促すきっかけ”であり、その先のアクションにつながる流れをどれだけスムーズに設計できるかが、成果を左右します。
このように、目的・ターゲット・導線をそれぞれ単体で考えるのではなく、常に掛け合わせて設計していくことで、動画の効果は飛躍的に高まります。
逆にこの3つの導線がうまく設計されていないと、以下のような結果につながってしまいます。
例 |
結果 |
目的が明確 → ターゲット不明 |
的外れな内容に |
ターゲット明確 → 導線なし |
行動につながらない |
導線だけ強化 → 目的も相手も曖昧 |
不信感やスルーされやすい |
動画の企画は、「いい感じに撮って編集」だけでは足りません。戦略としての“設計力”こそが差を生む時代。3つの軸を必ずセットで構築しましょう。
動画構成の基本|企画書・絵コンテの作り方
動画制作において、「ターゲット」と「目的」が明確になったら、次に取りかかるべきは構成設計です。この構成の段階で、動画全体の流れや内容を整理しておくことで、撮影や編集時に迷いがなくなり、無駄なやり直しを防ぐことができます。
結果的に、クオリティの安定化と制作コストの最適化にもつながります。
ステップ①|簡易企画書を作る
まずは「A4・1枚でOK」。以下のような項目を明文化しましょう。
- 目的: 採用向け動画で応募者を増やしたい
- ターゲット: 福岡で就職活動中の20代後半
- 伝えたいメッセージ: 社内の雰囲気と働く人のリアルを見せたい
- 使用場所: 採用ページ・SNS(Instagram)
- 尺の想定: 1分30秒前後
- 参考動画URL: 〇〇(似ている構成や雰囲気の動画)
このように、誰に・何を・どのように届けたいかが明確になっていると、制作会社との打ち合わせやディレクションもスムーズに進みます。
制作チームとの認識のズレを防ぐためにも、簡潔でも構いませんので、企画意図は「文章化して共有する」ことが重要です。
ステップ②|簡単な構成案を作る
ナレーションや動画の簡単な流れの構成案を作っておきましょう。
- 冒頭10秒:会社名+「働く人のリアルを伝える採用動画」
- 中盤:3名のスタッフインタビュー(1人20秒ずつ)
- 終盤:オフィスの様子・社内イベント風景を映し、採用ページの誘導テロップ
このように、「冒頭で掴む」「中盤で伝える」「終盤で動かす」という基本の構成を意識すると、視聴者が自然に内容に引き込まれ、アクションに繋がりやすくなります。さらに、テロップが入るタイミングや音楽の切り替えポイントなどもイメージできていると、完成度の高い動画に近づきます。
ステップ③|絵コンテ(ラフ)を描く
後に、動画のイメージをさらに可視化するために簡単な絵コンテ(ラフ)を作成してみましょう。絵が苦手でもまったく問題ありません。重要なのは「頭の中の映像イメージ」を制作チームに共有できることです。
たとえば、
- 「このシーンでは受付スタッフが笑顔で来客対応している様子を見せたい」
- 「ここで社長が登場し、自社の魅力を語るカット」
- 「PCに向かって真剣に作業しているシーンで締める」
といった具合に、場面ごとの意図と内容を簡潔に書き出すだけでOKです。制作会社によっては、このラフをもとに本格的な絵コンテや動画設計を作成してくれるので、安心してラフ段階で伝えるようにしましょう。
構成段階でブレがあると、撮影後に「想像と違った…」というズレが起きがちです。しっかり可視化しておくことで、クオリティも予算感も安定した動画制作が可能になります。
まとめ|企画次第で動画の効果は大きく変わる
動画制作において「撮影や編集の技術」も確かに大切ですが、最も結果を左右するのは“企画段階の設計力”です。
- 目的が曖昧なら、動画は見られても響かない
- ターゲットがぼやけていれば、視聴者は行動しない
- 構成にズレがあれば、撮っても活用されない
つまり、企画こそがすべての土台です。ここを押さえておけば、どんな制作会社に依頼しても、ブレのない動画がつくれます。
最初はざっくりでも大丈夫なので、とにかく言語化することを心がけましょう。企画フェーズというと難しく考えがちですが、最初から完璧である必要はありません。
- 「何のために作りたいか」
- 「誰に届けたいか」
- 「どんな印象を与えたいか」
この3つを、まずは言葉にしてみるだけで、動画制作は一歩前に進みます。
福岡で動画を作るなら「企画から相談できるパートナー」を探しましょう。福岡には、地元企業の文化やターゲットを理解しながら、企画段階から並走してくれる制作会社も多数あります。「企画がまだ固まってないけど…」という状態でも、まずは相談してみることが成功への近道です。
●福岡での動画制作完全ガイド|企画・撮影・配信までの全プロセスとは
弊社では、 動画制作において企画から制作、そして配信までをワンストップで承ります。
動画制作ではSNS用の縦型動画の撮影、編集からチームを組んでのロケ、撮影などにも対応しております。動画を使って集客やブランディングをお考えの方、動画の制作に興味がある方は、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
WRITER / demio 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 クリエイティブディレクター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |