Instagramの新機能「リール動画をリンク」とは?アルゴリズムと企業活用の最新動向

2025年8月21日にInstagramが正式リリースした新機能「リール動画へのリンク挿入」は、リール動画同士をシリーズ化し、アカウント内でユーザーを回遊させるための仕組みです。従来のショート動画は単発視聴で完結しがちでしたが、このアップデートにより、複数の動画をつなぐ構成やストーリー展開が可能になりました。
特に、情報発信やブランド認知に力を入れる企業アカウントにとって、視聴導線を内部で完結させられる点は大きな変化といえるでしょう。本記事では、企業視点での活用テクニックというよりも、Instagram全体のアルゴリズム動向やユーザー行動の変化、そしてSNS運用における今後の傾向について、ユーザーファーストな視点で紐解いていきます。
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リール動画にリンクできる新機能の特徴と基本仕様
今回追加されたInstagramの新機能では、リール動画に対して同一アカウント内の他のリール動画へのリンクを挿入することが可能になりました。これにより、ショート動画コンテンツを単なる閲覧目的のものから、ユーザーが連続的に回遊できる構成へと進化させることができます。
主な特徴は以下の通りです。
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リール動画内にリンクボタンを設置可能
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同一アカウント内の他のリール動画へのリンク設定が可能(シリーズ化や導線設計が可能)
左が投稿作成画面のボタンの位置、右が投稿内のリンクの位置です。
これにより、リールを「単発のコンテンツ」から「つながる体験コンテンツ」へと進化させることができ、ユーザーの滞在時間や回遊行動を自然に促す新たな活用法が広がります。
本機能は、外部ページへの誘導ではなく、Instagramアカウント内でのリール動画間の水平的な導線設計を実現するものであり、視聴の流れを分断せず一貫性のあるブランド体験を構築できる点が大きな魅力です。
特にビジネスアカウントにおいては、キャンペーン告知や採用広報、ナレッジ共有といった複数の動画を組み合わせた構成が可能となり、今後のInstagram活用戦略において“中心的な機能”になると考えられます。
特にビジネスアカウントにおいては、キャンペーン告知や採用広報、EC導線など多様な活用が期待されており、今後のInstagram活用戦略において“中心的な機能”になると考えられます。
アルゴリズムへの影響と変化の兆し
Instagramのリールにおけるアルゴリズムは、もともと以下のような要素に基づいて表示順位を決定していました。
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視聴完了率(動画を最後まで見たか)
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いいね、保存、シェアなどのエンゲージメント
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コメントやリピート視聴などの反応
今回のリンク機能の実装により、新たに「リンククリック率」や「リンク遷移後の行動」などもアルゴリズム要素に加味される可能性が高いとされています。実際、Instagramの公式発表ではリンク挿入が発見性に直接影響するとは明言されていませんが、CTR(クリック率)の高さが間接的にアカウント全体の評価にポジティブな影響を与えることは十分考えられます。
また、視聴完了前にリンククリックが発生することで離脱率が高まる点についても、一部の運用者からは注意が必要との声が上がっています。今後は「クリックされるが、動画も最後まで見られる」ような構成が重要になってくるでしょう。
リールの“完結型”から“連続体験型”への変化
これまでのリールは、あくまでInstagramアプリ内で完結するエンタメコンテンツという位置づけが強く、単発の視聴で完結するケースがほとんどでした。しかし今回の新機能によって、リールを「連続体験の一部」として活用できる新しい流れが生まれています。
リール同士をリンクでつなぐことで、1本目の動画で関心を惹き、2本目・3本目とシリーズ的に展開しながら理解や共感を深めてもらう設計が可能になります。
たとえば、以下のような活用が想定されます。
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採用広報:社員紹介 → 働く環境 → 募集要項リールへとつなげる
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サービス紹介:導入メリット → 実際の使い方 → ユーザーの声
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コンテンツ配信:予告 → 本編(分割) → エンディング誘導
このように、リールが“単体で完結する”ものから“視聴導線の中核”へと変化していくことで、アカウント内での滞在時間や回遊率の向上が期待できます。
リンク動画同士をつなげられることによる新たなメリット
新機能の可能性は、単に「1つのリールに1つのリンク」を貼れることに留まりません。リール同士をリンクで連携させることによって、ユーザーの視聴体験を分岐・拡張させる“シリーズ展開”や“導線設計”が可能になります。
たとえば、以下のような活用が考えられます。
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ストーリー仕立ての動画シリーズを相互リンクでつなぐことで、長尺の情報でも離脱させずに伝えられる
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商品紹介 → ユーザーの声 → Q&A解説といったコンテンツをリール内で連携させ、視聴体験を深める
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導入編・詳細編・事例編など、目的別に整理された複数のリールをリンクで接続することで、ユーザーが自分に必要な情報を“選んで進む”設計が可能になる
このような連続視聴・連続行動を促す仕組みは、従来の単発コンテンツでは実現が難しかった「深い理解」や「購買意欲の醸成」に寄与します。
さらに、リール動画間のスムーズな遷移を設計することで、アカウント内の滞在時間を大きく伸ばすことが可能になります。Instagramはリール視聴後の離脱ではなく、他の動画への移動(回遊)を促進するアカウントを「ユーザー体験が良い」と評価する傾向にあります。
たとえば、次のような構成が効果的です。
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1本目:概要(導入)
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2本目:詳細説明(興味の深掘り)
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3本目:アクション誘導(問い合わせや購入へのリンク)
この設計により、1つの動画だけで終わらせず、連続した文脈の中で視聴と行動を促すことができ、アカウント内のセッション時間や回遊行動の深度が向上します。
結果として、Instagramのアルゴリズム上でもアカウント全体の評価が高まりやすくなり、発見タブやリールタブでの露出増加につながる可能性が高まるのです。
ユーザー体験と「リンク付きリール」の関係性
リンクの“タイトル設計”がクリック率と評価を左右する
リールにリンクを挿入できるようになったことで、視聴者をスムーズに外部ページや次のコンテンツに誘導できるようになりましたが、その成否を大きく分けるのが“リンクのタイトル設計”です。
動画にリンクが貼られていても、「こちら」や「詳細はこちら」など曖昧な表現ではユーザーのアクションは起こりにくく、結果としてCTR(クリック率)も低くなってしまいます。一方で、「この働き方、実は◯◯です」「◯◯が3分でわかる動画はこちら」など、目的やベネフィットが明確に伝わるタイトルは、リール内での回遊や視聴の継続につながる導線として機能します。
Instagramのアルゴリズムでは、リール単体のパフォーマンスだけでなく、そこからの遷移行動やセッション時間も評価対象となりつつあります。つまり、リンクタイトルの良し悪しが、そのリールの拡散力やアカウント全体の評価にも直結するということです。
リンクタイトルは、ただの文字ではなく「視聴後の行動を生み出す最後の一押し」であり、ユーザーにとっての“次の期待値”を提示する重要なクリエイティブ要素です。特にリール内リンクにおいては、次の動画へ自然に誘導し、視聴セッションを分断させないように構成することがポイントとなります。
ユーザーにとって、動画の中にリンクがあるというだけで"宣伝感"を感じるケースもあり得ます。特に広告色が強すぎるリールはエンゲージメントが下がる傾向があるため、どのように"自然な文脈でリンクを入れ込むか"が今後のクリエイティブ上の重要テーマとなります。
たとえば、動画の最後に「次はこちら」や「この続きをチェック」といった自然な誘導フレーズを使うことや、キャプションや固定コメントで次に見るべきリールのヒントを与えることが、シームレスな視聴体験につながります。過度な販促的表現よりも、ユーザーにとって“興味の続き”を提示する流れを意識することが重要です。
今後のInstagram運用に求められる視点
Instagramがリール動画の成長とリンク導線の融合を進める背景には、"より深い関係性を築けるアカウント"が評価される時代に突入しているという文脈があります。単発的にバズを狙うのではなく、フォロー前後の体験、導線、情報の整合性を含めた"一連のブランド体験"を構築できるかどうかが、今後の鍵です。
特に福岡の中小企業やローカルブランドにとっては、「興味の入り口」をリールでつくり、「詳細な情報」や「問い合わせ」につなげる流れを構築することが、費用を抑えつつ成果につなげるSNS戦略となるでしょう。
WRITER / demio 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 クリエイティブディレクター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |