【中小企業向け】予算とリソースがなくてもできる採用ブランディング

採用ブランディングの株式会社ジャリアの中小企業向け採用ブランディングガイドイメージ

採用市場がますます競争化するなかで、「大手企業のようにブランディングに予算をかけられない」「採用担当が1人しかいない」といった悩みを抱える中小企業は少なくありません。しかし実際には、採用ブランディングは“お金をかける戦略”ではなく、“想いを伝える戦略”です。 

企業規模や知名度に関係なく、採用の成功企業が共通して行っているのは「共感を生む発信」と「社員を巻き込む工夫」。つまり、限られたリソースの中でも、“見せ方”と“伝え方”の工夫次第で十分に成果を出すことができるのです。 

特に中小企業は、社長や社員の距離が近く、“リアルなストーリー”が生まれやすい環境にあります。この強みを活かして、「等身大の魅力」を磨き、“小さな会社でも選ばれるブランド”を育てていくことが、これからの採用成功の鍵になります。 

本記事では、予算も人手も限られた中小企業が実践できる、再現性の高い採用ブランディング施策を体系的に紹介します。 

  • 中小企業が直面しやすい採用ブランディングの課題 
  • 費用をかけずにブランドを育てる具体的アプローチ 
  • 社長・社員を巻き込む発信の仕組み 
  • 実際に成果を上げている中小企業の成功事例 

“採用ブランディング=大企業のもの”という思い込みを手放し、「想い」と「継続」を武器に、自社らしい採用ブランドを育てる方法をお伝えしていきます。 

目次

中小企業が抱える採用ブランディングの壁 

  • 「認知の壁」と「信頼の壁」 
  • 「ブランディング=コスト」という誤解 
  • 「採用広報担当がいない会社」こそ、全員でブランドを育てる 

少ないリソースで実現する方法

  • 無料ツール・テンプレートの活用 
  • SNSと採用動画の自社運用 

社長・現場社員が発信する採用ストーリー 

  • 社長が語る「理念とビジョン」は最大のブランディング資産
  • 現場社員の「リアルな声」が共感を生む
  • 「社長の理念 × 社員のリアル」でストーリーをつなぐ 

コストを抑えた成功事例

  • ① 無料ツールでブランドを構築した“デザイン発信型”
  • ② スマホ1台で撮る“動画採用型”
  • ③ 社内イベントを採用資産に変えた“共感転用型”
まとめ|「想い」と「継続」が最大の武器 

中小企業が抱える採用ブランディングの壁 

中小企業の多くが採用活動において直面している最大の課題は、「伝えたい想いはあるのに、それを形にする時間も予算も足りない」という点です。採用担当者が他業務と兼任しているケースも多く、日々の求人対応に追われ、ブランディングまで手が回らないという声をよく耳にします。 

しかし、こうした課題の本質は“リソースの不足”ではなく、“方向性の不明確さ”にあります。多くの中小企業では、「どんな人に、何を、どう伝えるか」という採用メッセージが整理されていないまま、求人広告や媒体に頼ってしまうケースが少なくありません。結果として、“誰にでも当てはまる言葉”になり、他社との差別化が難しくなってしまいます。 

「認知の壁」と「信頼の壁」 

中小企業の採用ブランディングには、2つの大きな壁があります。1つは「認知の壁」。そもそも求職者に会社の存在が知られていないという問題です。もう1つは「信頼の壁」。名前を知ってもらっても、「この会社は大丈夫だろうか?」という不安が応募のハードルになっているのです。 

この2つの壁を越えるためには、単に広告を出すのではなく、「どんな想いで事業をしているか」「どんな人たちが働いているか」という“人と文化の見える化”が必要です。つまり、情報ではなく、感情で伝える採用広報への転換が求められています。 

「ブランディング=コスト」という誤解 

中小企業の中には、「ブランディングは費用をかけるもの」「外注しなければ難しい」と考える企業も少なくありません。しかし実際には、採用ブランディングの多くは“考え方”と“仕組み化”でカバーできます。 

たとえば、SNSを活用して日常の様子を発信したり、社員インタビューを社内で撮影・編集したりといった工夫でも、求職者に強い印象を与えることが可能です。重要なのは、プロの技術よりも、リアルな発信と一貫性。求職者は「完成された映像」よりも、「等身大の人柄」に共感します。 

つまり、“完璧なブランディング”を目指す必要はありません。限られたリソースだからこそ、“手作り感”や“誠実さ”が伝わる発信が強みになるのです。 

「採用広報担当がいない会社」こそ、全員でブランドを育てる 

中小企業では、専任の採用広報担当を置けないケースがほとんどです。しかし、だからこそチャンスがあります。 

大企業のように部署単位で役割を分けるのではなく、社長や現場社員が“発信の主役”になれるのが中小企業の強みです。経営者が自ら理念を語り、社員が日常を発信することで、「人の温度」が伝わるブランドが自然と育ちます。 

採用ブランディングとは、限られたリソースの中で「誰の心を動かしたいのか」を明確にし、全員でその想いを届ける活動です。つまり、中小企業の採用ブランディングは“共感をつくるチーム戦略”なのです。 

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少ないリソースで実現する方法 

限られた予算と人員の中で成果を出すには、「仕組み」と「工夫」で乗り切る発想が欠かせません。中小企業の採用ブランディングは、華やかなキャンペーンを打つことではなく、“続けられる仕組みをつくること”が成功のポイントです。ここでは、費用を抑えながらも実践できる2つのアプローチを紹介します。 

無料ツール・テンプレートの活用 

ブランディングの第一歩は、“ゼロから作らない”ことです。無料で使えるデザイン・動画・発信ツールを活用すれば、専門知識がなくても一定レベルのクオリティを実現できます。 

たとえば、Canvaを使えば採用バナーやインタビュー画像をテンプレートから簡単に作成でき、CapCutを使えばスマホで撮影した動画を編集して採用ショートムービーに仕上げることができます。これらは無料プランでも十分実用的で、初心者でも短時間で“見せる発信”を整えられます。 

また、GoogleドライブやNotionを活用して「発信計画」「社員インタビュー質問テンプレート」「SNS投稿案リスト」などを共有化しておくと、属人化せずに継続的な運用が可能になります。 

ポイントは、“外注しない工夫”よりも“誰でもできる仕組み化”。誰か1人のスキルに頼るのではなく、「仕組みが続くチーム体制」を整えることが中小企業のブランディング成功の鍵です。 

SNSと採用動画の自社運用 

次に効果的なのが、SNSと動画の内製化です。InstagramTikTokは無料で始められるうえ、フォロワー数に関係なくアルゴリズムによって“共感コンテンツ”が拡散されやすい特性があります。つまり、知名度が低くても“リアルな人の魅力”を発信できれば、大企業に負けない発信力を持つことができるのです。 

具体的には、以下のような運用がおすすめです。 

  • 社員紹介シリーズ:「#〇〇会社の人たち」で定期投稿 
  • オフィスの日常動画:スマホで撮影した自然な会話や笑顔 
  • 社長のメッセージ動画:理念や想いを語る短尺ムービー 
  • チームイベントや社内行事のストーリー投稿 

動画のクオリティよりも、“人柄”と“雰囲気”を感じさせることが重要です。たとえスマホ1台で撮った動画でも、「この会社は温かそう」「自分にも合いそう」と感じてもらえれば、それは立派な採用ブランディングです。 

さらに、SNSを社内文化として定着させるために、発信を“評価”ではなく“共有”として捉えることが大切です。たとえば、社内チャットで「今週の投稿をみんなで応援しよう」と呼びかけたり、社長が投稿にコメントを入れたりすることで、自然と発信文化が根づいていきます。 

中小企業にとってのブランディングは、“お金をかけるかどうか”ではなく、どれだけ一貫して発信し続けられるか。「継続できる仕組み」と「共感を呼ぶストーリー」を両輪にすることで、少ないリソースでも確実に成果を出すことができます。 

採用ブランディングの株式会社ジャリアの採用女性のイメージ

社長・現場社員が発信する採用ストーリー 

中小企業の採用ブランディングにおいて、最も強力なコンテンツは「人」です。高額な広告よりも、社長や社員が自らの言葉で語る“リアルなストーリー”こそ、求職者の心を動かします。ここでは、経営者と現場社員、それぞれが発信の主役になるための考え方と具体施策を紹介します。 

社長が語る「理念とビジョン」は最大のブランディング資産 

中小企業の採用において、社長自身の存在は“ブランドそのもの”です。企業の理念や方向性を最も深く理解し、情熱をもって語れるのは他でもない経営者自身。だからこそ、社長が「何のためにこの会社を続けているのか」「どんな未来を描いているのか」を自ら発信することが、採用ブランドの信頼軸になります。 

たとえば、採用サイトやSNSに「社長メッセージ動画」を掲載し、理念や採用への想いを語るだけでも、企業の熱量は格段に伝わりやすくなります。特に、言葉に“飾らない人間味”があるほど、求職者の共感を呼びます。理念を説明するのではなく、「自分自身が大切にしている価値観」や「社員にどんな成長をしてほしいか」を語ることで、“この社長のもとで働きたい”という感情を生み出すのです。 

また、社長発信は採用だけでなく、既存社員のエンゲージメント向上にも直結します。経営者が理念を繰り返し発信することで、社員一人ひとりが「自分たちは何のために働いているのか」を再確認し、採用広報のメッセージにも一貫性が生まれます。 

現場社員の「リアルな声」が共感を生む 

求職者が最も信頼するのは、“同じ立場の人の言葉”です。つまり、どれだけ経営理念を発信しても、それを実際に体現している社員の声がなければ、説得力は生まれません。だからこそ、現場社員のストーリーは採用ブランディングにおける“共感の核”となります。 

たとえば、「入社1年目の挑戦」「転職して感じた違い」「この仕事を選んだ理由」など、社員自身の視点で語るコンテンツは非常に効果的です。動画インタビューやSNS投稿、note記事など、発信の形はどんな形でも構いません。大切なのは、“その人の言葉で語られているかどうか”。台本を読むような発信よりも、素直な感情がにじむ言葉こそが、共感を呼びます。 

また、発信を「会社の指示」ではなく「個人のストーリー共有」として位置づけることもポイントです。社員が“語らされる”のではなく、“語りたい”と思える文化をつくる。それが、継続的に共感を生む採用ブランドの土台になります。 

「社長の理念 × 社員のリアル」でストーリーをつなぐ 

採用ブランディングにおける理想の構成は、「トップの理念」と「現場のリアル」が一つのストーリーとしてつながっていることです。社長が語る「想い」があって、それを社員の「日常」が裏づける。という構造があるだけで、発信全体に“信頼の連鎖”が生まれます。 

たとえば、社長が「挑戦を応援する会社でありたい」と語った後に、若手社員が「失敗を恐れず挑戦できる環境がある」と話す。このように、理念とリアルが一致した発信は、求職者に“本物の文化”として伝わります。 

中小企業にとっての採用ストーリーとは、豪華な演出ではなく、“人の想いをつなぐ物語”。社長と社員、それぞれの声を重ねることで、企業の世界観が立体的に伝わり、「ここで働きたい」と感じさせるブランドが生まれるのです。 

採用ブランディングの株式会社ジャリアの採用集団のイメージ

コストを抑えた成功事例 

限られたリソースの中でも採用ブランディングを成功させている中小企業には、いくつかの共通点があります。それは、「大きな予算をかけずとも、社員の想いと仕組み化によってブランドを育てている」ことです。ここでは、実際に少ないコストで採用成果を上げた3つの企業事例を紹介します。 

① 無料ツールでブランドを構築した“デザイン発信型” 

地方の製造業の会社では、採用ブランディングの予算がほぼゼロという状況からスタートしました。同社が行ったのは、Canvaを活用した採用SNS運用。社員紹介や工場の風景、社内イベントの様子をテンプレートデザインで統一し、週1回のペースで投稿を続けました。 

投稿内容は派手な広告ではなく、「この町で働く意味」「技術をつなぐ誇り」といった物語性のある短文コピー。見た目以上に「言葉の温度感」を重視した結果、半年でフォロワー数は3倍、採用ページへの流入数も2.5倍に増加。さらに「Instagramを見て応募しました」という声が急増し、媒体費をかけずに応募母集団の質を高めることに成功しました。 

この会社のポイントは、“デザインよりも世界観”。無料ツールでも「統一感」と「ストーリー性」を持たせることで、コストゼロでもブランド力を築くことができた好例です。 

② スマホ1台で撮る“動画採用型” 

とある建設業の会社では、若手採用に課題を抱えていました。そこで導入したのが「スマホ1台でつくる採用動画」プロジェクト。社員が交代で自分の仕事風景を1530秒で撮影し、CapCutで簡単に編集。TikTokInstagramリールに週2本投稿する仕組みを整えました。 

動画の内容は、現場の笑顔や休憩中の雑談、作業のワンシーンなど、あくまで“リアル”を重視。結果、最初の1か月で1本の動画が1万回再生を突破。「動画で雰囲気が伝わった」「この会社、楽しそう」といったコメントも増え、応募者数が前年比160%に上昇しました。 

特筆すべきは、制作費0円・発信工数週2時間で実現したこと。“完璧ではなく、等身大”を見せることで、若手求職者の共感を獲得した事例です。 

③ 社内イベントを採用資産に変えた“共感転用型” 

サービス業の会社では、毎年開催していた社内表彰イベントを“採用ブランディングの素材”として活用しました。社員スピーチやチーム活動の様子を撮影し、ダイジェスト動画として採用サイトとSNSで発信。「働く人の誇り」や「チームの温かさ」が自然に伝わるコンテンツとなり、求職者の印象を大きく変えました。 

結果、動画公開後3か月で採用サイトPVは約1.7倍、応募率も30%アップ。さらに、既存社員の満足度調査でも「自社を誇れるようになった」という回答が増加し、採用×インナーブランディングの好循環を生み出しました。 

この事例が示すのは、「社内で行っていることを採用広報に転用する」という発想です。新しい施策を増やすのではなく、“すでにある文化”を掘り起こし、編集して伝える。それが中小企業にとって最も効率的な採用ブランディング手法です。 

中小企業の採用ブランディングに必要なのは、「お金」でも「広告」でもなく、“想いを見せる力”です。無料ツール・スマホ動画・社内イベントなど、どれも大きな投資は不要ですが、継続することで確実にブランドを育てることができます。この積み重ねが、最終的に「共感され、選ばれる会社」へと成長させるのです。 

採用ブランディングの株式会社ジャリアの働く人のイメージ

まとめ|「想い」と「継続」が最大の武器 

採用ブランディングとは、“企業の規模や予算”ではなく、“想いと継続”で勝負する時代に入りました。どれほど小さな会社であっても、「自分たちはなぜこの仕事をしているのか」「どんな人と一緒に働きたいのか」という軸さえ明確であれば、そこに共感する人材は必ず現れます。 

大切なのは、“完璧を目指すこと”ではなく、“伝え続けること”。最初は発信の質よりも「続けられる仕組み」を整えることから始めてみましょう。たとえば、Canvaでテンプレートを作る、社内で週1SNS担当を交代制にする、社長が月1回メッセージを発信するなど、小さな一歩を積み重ねることで、やがて“自社らしい発信リズム”が生まれていきます。 

採用ブランディングは、求人のための活動ではなく、“企業の信頼を育てる活動”です。理念に共感した社員が発信し、その発信が新しい仲間を呼び込み、さらに社内の誇りを高めていく。この“共感の循環”こそが、中小企業にとっての最大の強みになります。 

もし「何から始めたらいいかわからない」と感じているなら、まずは“身近な日常”から発信してみてください。日々の仕事風景やチームの笑顔、社長の想いを言葉にするだけでも、それは立派なブランディングです。 

採用ブランディングに必要なのは、「想いを込める勇気」と「続ける仕組み」。この2つさえあれば、どんな小さな会社でも“共感で選ばれるブランド”へと成長できます。 

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WRITER / demio
株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 クリエイティブディレクター

株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。

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