YouTube広告の種類と特徴を徹底解説|最適な選び方と活用術とは

YouTube広告は、今や企業のマーケティング戦略に欠かせない手段となりました。
しかし一口に「YouTube広告」と言っても、実際には複数の種類があり、それぞれに表示形式やターゲティングの考え方、効果測定の手法まで異なります。
適切な広告フォーマットを選ばなければ、無駄なコストをかけて効果が出ないという状況にもなりかねません。
本記事では、これからYouTube広告を出稿しようと考えている企業・個人事業主の方に向けて、主要な広告の種類とその特徴、目的別の選び方、費用体系や事例までを網羅的に解説します。
主なYouTube広告フォーマット一覧【2025年最新】
スキッパブルインストリーム広告(TrueView In-Stream)
スキッパブルインストリーム広告は、YouTube広告の中でも最も一般的に利用されているフォーマットです。ユーザーが動画再生前・途中・終了後に表示され、5秒後にスキップできるのが特徴です。
視聴者が広告を最後まで見なくても、5秒以降は任意でスキップ可能です。
特徴
- 課金方式は「視聴完了または30秒視聴時点」(どちらか早い方)
- スキップされる前に訴求を完了させる必要がある
- リーチを広げつつ、成果ベースで費用が発生するため費用対効果に優れる
- Google広告の動画キャンペーンで最も柔軟に設定でき、ターゲティングの自由度も高い
活用シーン
- 新商品の告知やブランド認知の拡大
- 視聴ユーザーの行動データを元に、リターゲティングを行いたい場合
- ターゲットが明確で、興味関心に応じたパーソナライズ広告を配信したい場合
特に中小企業や個人事業主でも始めやすく、限られた予算内で成果を出しやすい点が支持されています。スキップされる可能性がある前提で、冒頭5秒に強いフックを設ける構成が成功のカギです。
ノンスキッパブルインストリーム広告
ノンスキッパブルインストリーム広告は、ユーザーがスキップできない形式の動画広告で、最大15秒(国によっては20秒まで)まで配信可能です。
YouTube動画の再生前や再生中に強制的に全編を視聴させることで、確実なメッセージ伝達が可能なフォーマットです。
特徴
- 視認率・完視聴率が極めて高い
- 課金はCPM(1,000回表示あたり)で行われる
- 制作動画次第で強い印象を与えやすく、ブランディング施策に適している
- 強制視聴であるため、視聴者の離脱リスクや反発の可能性もある
活用シーン
- 短期集中で認知を獲得したいキャンペーン
- 商品・ブランドの世界観やメッセージをしっかり伝えたい場合
- テレビCMの延長・補完的な位置づけで活用したい場合
制作コストはある程度かかりますが、ターゲット層に強制的に届けられるため、新規市場開拓や印象形成を重視するブランド戦略と相性が良いです。
Google広告の設定時には、ノンスキッパブル専用の広告枠を選択する必要があります。
バンパー広告(6秒広告)
バンパー広告は、6秒間で自動再生されるスキップ不可の超短尺動画広告です。YouTubeのインストリーム枠で表示され、ユーザーがスキップすることはできません。
短時間で強い印象を残すことに特化した広告形式であり、ブランド認知・想起向上を目的とした施策で活用されています。
特徴
- 動画は6秒以内に収める必要がある
- 課金方式はCPM(1,000回表示単位)
- スマホやTVデバイスなどすべての視聴環境に対応
- スキップ不可なため、確実に伝達できるがメッセージ設計力が重要
活用シーン
- 新商品やキャンペーンのティザー(予告)広告
- シリーズ展開で複数の訴求軸を順番に届けたい場合
- ブランディングCMの補完として認知リーチを最大化したいとき
バンパー広告は、1本では情報量が限られる反面、シリーズ型や複数フォーマットと組み合わせて活用すると効果が高まります。
例えば、スキッパブル広告でストーリーを語り、バンパーで印象を補完するなどのクロス戦略が有効です。
マストヘッド広告
マストヘッド広告は、YouTubeのトップページ上部に表示される最も大型で目立つ広告枠です。PC、モバイル、TVアプリのいずれのデバイスでも表示され、YouTubeを訪れたユーザーの目に真っ先に入るため、短期間での大規模なリーチ獲得が可能です。
特徴
- 表示位置はYouTubeホームの最上段(1日単位の予約制)
- 課金形式はCPD(1日単位)またはCPM(予約型)
- 1日で数百万インプレッションを狙えるが、費用は数百万円規模
- ブランドロゴ、見出し、再生動画、CTAボタンなどがセットで表示される
活用シーン
- 新商品の発表や大規模イベント告知
- マス広告的な露出をデジタルで行いたいとき
- テレビCMと連携したクロスメディア施策
- エンタメ、飲料、ゲーム業界などの話題性訴求に多い
マストヘッド広告は、インプレッション数重視の「面」で取りにいく広告であり、パフォーマンス(コンバージョン)よりもインパクトや話題化を狙う広告主向けです。
出稿にはGoogleの営業経由での申し込みが必要なため、他のフォーマットよりも手続きに時間がかかります。
アウトストリーム広告(GVP経由)
アウトストリーム広告は、YouTube以外の提携メディアやアプリに動画広告を配信できるフォーマットです。GVP(Google Video Partners)ネットワークを通じて、ニュースサイトやブログ、ゲームアプリなど、YouTubeの外部で動画広告を表示します。
特徴
- YouTubeの外でも動画リーチを広げられる
- モバイル端末に特化した縦型表示にも対応
- 課金は動画の視認が発生したときのみ(例:2秒以上再生+50%以上の表示など)
- 音声オフでの再生が一般的なため、視覚的訴求が重要
活用シーン
- リーチ拡張を目的とした補完的なキャンペーン
- YouTubeを見ない層にも動画広告を届けたい場合
- コンテンツマッチ型のターゲティングと併用したブランディング
この広告形式は、YouTube単体では届かないユーザー層に対して動画広告を拡張するための選択肢として重宝されます。特にモバイルファーストな消費行動が主流となった現在では、アウトストリームで短尺・字幕付きの動画を用意することで、追加リーチと接触頻度を効果的に高めることができます。
インフィード動画広告
インフィード動画広告(旧称:TrueView Discovery広告)は、YouTube内の検索結果、関連動画一覧、ホームフィードなどに表示される選択式の広告です。
動画のサムネイルとテキスト(タイトル・説明文)が表示され、ユーザーがクリックして初めて動画が再生される仕組みになっています。
特徴
- ユーザー自らが再生を選択する“プル型”の広告
- 課金はクリック(視聴)された場合のみ(CPC課金)
- 文字情報とサムネイルの工夫でCTRを左右する
- 検索キーワード連動型として使えるため、能動的なニーズに刺さる
活用シーン
- 購買検討層や情報収集中のユーザーにアプローチしたい場合
- 自社の製品・サービス名で指名検索が多い業態
- 他社製品と比較検討されやすいカテゴリ(BtoB、高額商材など)
検索結果や関連動画の中に“おすすめ”として表示される形式のため、視聴ユーザーの意欲が高い状態で訴求できる点が最大の強みです。
タイトルやサムネイル設計、検索ワードとの関連性を意識して構成することで、費用対効果の高いリード獲得が可能です。
リーチキャンペーンで使える複数組み合わせ型
リーチキャンペーンは、Google広告で利用できる「広告フォーマットの自動最適化機能」を活用した配信手法で、複数の動画広告フォーマットを組み合わせて最大リーチを獲得することを目的としたキャンペーンタイプです。
このキャンペーンでは、以下の広告形式を同時に活用できます。
- スキッパブルインストリーム広告
- バンパー広告
- ノンスキッパブルインストリーム広告(選択可能)
Googleのアルゴリズムが、設定した目標(例:最大インプレッション、低CPMなど)に基づき、ユーザーごとに最適な広告形式を選んで自動配信します。
特徴
- 手動で広告フォーマットを選ばず、成果に応じて最適化される
- 認知拡大施策において特に効果的
- 短尺・長尺コンテンツを両立でき、広告素材の使い回しにも強い
活用シーン
- 多様なデバイス・視聴環境への一括対応
- 広告運用初心者でも成果を出しやすい配信方式
- 新商品ローンチなど短期間で広範囲に届けたい場面
リーチキャンペーンは、広告運用にリソースをかけられない企業でも「成果を最大化しやすい設計」になっており、YouTube広告における“スマート広告”とも言える存在です。特に近年は、認知だけでなくコンバージョン目標を持つケースでも導入が進んでいます。
ショート動画広告(YouTube Shorts)
ショート動画広告は、YouTubeの縦型ショート動画フィード(Shorts)に挿入される新しい広告フォーマットです。TikTokやInstagramリールと同様に、スマートフォンでの縦スクロール視聴に最適化されており、若年層を中心に急速に普及しているShorts内に広告を配信することが可能です。
特徴
- 15秒以下の縦型動画が推奨(最長60秒まで)
- Shortsフィード内で自然に挿入されるため、没入感を保ちやすい
- モバイル特化型フォーマットであり、縦型動画の設計が必須
- 課金形式はCPMまたは視聴単価型(キャンペーン設定による)
活用シーン
- 若年層向けプロモーション(10代〜20代前半)
- ファッション・美容・音楽・エンタメなどの感性重視商材
- 既存の縦型コンテンツを広告転用するケース
Shorts広告は、YouTubeが今後注力していく分野の一つとされており、今のうちから対応しておくことで競合優位性を確保しやすい点も魅力です。動画制作の工数は少ないものの、視覚インパクトと冒頭1秒の“引き”が成功を左右します。
広告種類別の特徴と活用法
【認知施策向き】バンパー・マストヘッド
ブランドや商品の“認知拡大”を主目的とする場合、最も効果的な広告フォーマットが「バンパー広告」と「マストヘッド広告」です。これらはユーザーに確実に広告を届け、印象を強く残すことに優れています。
バンパー広告の認知効果
- スキップ不可で必ず6秒間表示されるため、短時間でも高い視認率を確保
- 特定のフレーズやビジュアルによる“刷り込み型”の訴求に最適
- 他フォーマットと組み合わせて表示頻度を高めることも可能
マストヘッド広告の認知拡大力
- YouTubeのトップページ最上部に1日中表示されるため、圧倒的なインプレッション数
- 広告をクリックしなくても、ロゴ・メッセージ・動画の印象を自然とユーザーに与えられる
- 数百万規模のリーチが可能で、テレビCMのような大規模露出が狙える
活用のポイント
- 新商品ローンチやブランド刷新、イベントプロモーションなど「話題性重視」の施策で有効
- テレビCMからの流入を補完するクロスメディア施策との親和性が高い
- 短期集中配信で認知の“立ち上げ”を狙う場面におすすめ
バンパーとマストヘッドは、それぞれ単体でも効果を発揮しますが、同時に活用することで認知の質と量を同時に高められるため、大規模キャンペーンではセット導入が非常に効果的です。
【商品訴求に強い】スキッパブルインストリーム
スキッパブルインストリーム広告(TrueView In-Stream)は、商品やサービスの内容をしっかり伝えたい場面に最も適した広告フォーマットです。5秒経過後にスキップできる形式のため、興味のある視聴者に絞ってリーチできる点が大きな特徴です。
訴求力が高い理由
- 最大数分までの動画が使えるため、機能・特徴・利用シーンなどの詳細な説明が可能
- スキップされた場合は課金が発生しないため、費用対効果が高い
- 30秒以上の視聴や動画完了時のみ課金対象となる(設定により)
活用シーン
- 新商品の紹介や使用方法のデモンストレーション
- 比較検討段階のユーザーに向けた「なぜこの商品か?」というストーリー展開
- BtoB商材や高単価商材のように情報量が多いサービス紹介に最適
成功のポイント
- 冒頭5秒で「誰向けなのか」「何が得られるのか」を明確に示す
- スキップ前提の設計で離脱後も記憶に残すコピーや映像を活用
- クリック誘導を狙う場合は、CTA(行動喚起)を明確に設置
この形式は、“見たい人にだけ見せる”という姿勢で設計されたフォーマットであるため、視聴完了ユーザー=関心層と判断できる点でも、商品訴求に非常に向いています。
【コンバージョン施策向き】インフィード広告
インフィード広告(旧:TrueView Discovery)は、商品・サービスの購入や問い合わせなど「アクション喚起」が目的のキャンペーンに最適な広告フォーマットです。
YouTubeの検索結果や関連動画の横、トップページのフィードに表示され、ユーザーが自らクリックして視聴する能動型の広告であるため、関心の高い層だけに届けることができます。
コンバージョンに強い理由
- 興味・関心を持つユーザーだけが動画を視聴するため、購買意欲の高い見込み顧客と接点を持てる
- クリックベースで課金が発生するCPC形式なので、無駄なコストが発生しにくい
- 広告感が薄く、自然な情報収集体験として受け入れられやすい
活用シーン
- サービス詳細の紹介動画を活用したリード獲得
- LP(ランディングページ)への誘導を目的としたキャンペーン
- 競合比較・導入事例・ユーザーボイスなどの説得力あるコンテンツを届けたいとき
成功のポイント
- サムネイル画像と動画タイトル・説明文がクリック率(CTR)に大きく影響
- 検索ワードにマッチしたキーワード設計が必要
- CTAボタンや動画終盤の案内で明確に行動を促す
インフィード広告は、“比較検討フェーズにいるユーザー”に対して非常に高い成果を発揮するため、コンバージョンを主目的とした広告戦略においては欠かせない存在です。
【大規模キャンペーン向け】マストヘッド+リーチキャンペーン
短期間で圧倒的なリーチを獲得したい大規模プロモーションでは、マストヘッド広告とリーチキャンペーンを組み合わせた構成が最も効果的です。この2つの広告形式は互いに補完関係にあり、“量”と“効率”を同時に追求できる構成を実現します。
マストヘッド広告の強み(量を取る)
- YouTubeトップページに1日中固定表示されることで、ユーザー全体に印象を植え付ける
- 数百万〜1,000万インプレッション以上も可能
- 費用は高額だが、短期集中型の認知戦略には抜群の威力
リーチキャンペーンの強み(効率を取る)
- 広告フォーマット(スキッパブル・バンパーなど)を自動で最適化
- 複数の広告素材を登録するだけでGoogleが最適配信
- 大規模予算でもCPM単価を抑えて最大リーチが狙える
活用シーン
- 新商品ローンチ、映画・音楽リリース、大型イベント・セール施策
- 各種メディアで同時展開する統合マーケティング戦略
- マス広告からのオンライン誘導としても有効
この構成は、「初動で一気に話題化→中長期で再訴求」という2段階の戦略をとる場合に最も力を発揮します。大企業や大規模ブランド施策の多くでこの組み合わせが導入されており、“YouTube広告を使ったフルファネル型の戦略”の中核を担う施策です。
YouTube広告の費用と課金形態の違い
広告フォーマット別の単価目安(CPV、CPMなど)
YouTube広告では、選択するフォーマットによって課金方式と単価の目安が異なります。出稿目的に応じて、どの形式がコスト効率に優れているかを把握しておくことが、広告戦略設計の第一歩です。
課金形式とフォーマット別に表でまとめました。
主な課金形式
課金形式 |
説明 |
対応フォーマット例 |
CPV(Cost Per View) |
動画1再生ごとの課金(30秒以上 or 最後まで視聴) |
スキッパブルインストリーム |
CPM(Cost Per Mille) |
1,000回表示ごとの課金 |
バンパー広告、ノンスキッパブル、マストヘッドなど |
CPC(Cost Per Click) |
動画がクリックされて視聴されたとき |
インフィード広告 |
CPD(Cost Per Day) |
1日単位の固定料金 |
マストヘッド広告(予約型) |
フォーマット別の目安単価
フォーマット |
単価の目安 |
備考 |
スキッパブル広告 |
3〜20円(CPV) |
広告品質や競合により変動 |
バンパー広告 |
300〜600円(CPM) |
視認性が高く短期訴求に有効 |
ノンスキッパブル広告 |
400〜800円(CPM) |
ブランド訴求やCM代替向き |
インフィード広告 |
10〜50円(CPC) |
サムネ・タイトル設計が重要 |
マストヘッド広告 |
数百万円/日(CPD) |
圧倒的なリーチ、要事前予約 |
運用で意識すべきこと
- 単価は配信先、競合、ターゲット設定の影響を受けて常に変動します
- 費用対効果(ROAS)を最大化するには、KPIに応じた課金形式の選定が必須
- YouTube広告は少額からでも出稿可能だが、目標とのバランスを考えた予算設計が重要 。
オークション方式と入札戦略の違い
YouTube広告は、Google広告と同じくリアルタイムの広告オークション制で配信されます。つまり、広告枠は「最も高い金額を提示した者が必ず獲得する」わけではなく、入札単価 × 品質スコア(広告ランク)によって決定されます。
オークションの基本構造
- 広告ランク = 入札単価 × 品質スコア
- 品質スコアには、視聴維持率・クリック率・関連性・視認性などが影響
- 単純な金額勝負ではなく、「広告としての価値」が重視される仕組み
主な入札戦略(YouTube動画キャンペーン)
入札戦略 |
特徴 |
向いている目的 |
最大視聴数(CPVベース) |
視聴単価を最小限に抑える |
視認率・動画再生回数重視 |
目標インプレッション単価(CPM) |
1,000回表示あたりの目標単価を指定 |
認知拡大・テレビ代替 |
コンバージョン重視(tCPA) |
自動で最適な視聴者に配信しCVを狙う |
見込み顧客の獲得 |
広告表示回数の上限設定 |
1人あたりの表示回数を制限できる |
ユーザー体験を損なわず広く配信したい場合 |
ポイント:高品質な広告がコストを下げる
高評価の広告は、品質スコアが高いため、同じ入札額でもオークションで優先されやすく、実質的な単価が下がるというメリットがあります。つまり、「広告の質」がそのまま配信効率に直結します。
そのため、入札額だけでなく、
- 動画の内容(視聴維持率・関心度)
- サムネイルや説明文の品質
- ランディング先の設計
なども含めて最適化することが、長期的なコスト最適化につながります。
フォーマット別の配信事例と成功パターン
スキッパブル広告の活用成功事例
スキッパブルインストリーム広告は、低リスクで広範囲にリーチできる柔軟性の高いフォーマットで、多くの企業で成果を上げている代表的な広告形式です。ここでは実際の活用事例を通じて、どのように成果を出しているのかを解説します。
事例①:D2Cブランドのコンバージョン向上
ある美容系D2Cブランドでは、スキッパブル広告を使って視聴者に無料トライアルの申込を訴求。広告冒頭に「〇〇%の方が変化を実感」の実績コピーを入れ、興味を引いたことで視聴完了率が20%以上に。さらに、動画後半にLPへの誘導CTAを明確に設置した結果、CVRが通常のディスプレイ広告の約1.8倍に改善されました。
事例②:BtoBサービスのリード獲得
あるSaaS企業では、サービスの導入事例動画を活用し、スキッパブル広告で配信。スキップされることを前提に、5秒以内でターゲット業種・課題・解決策を示す構成にしたことで、再生完了率が平均を大きく上回る結果に。LPへの遷移率も高く、初月で100件以上の見込みリードを獲得しました。
成功のポイント
- 「誰に、何を、なぜ今」伝えるのかを冒頭で明確にする構成
- スキップされても記憶に残る印象的なキーフレーズや映像
- CTA(行動喚起)を動画内とランディング先で一致させる設計
このように、スキッパブル広告は適切な構成とクリエイティブで設計することで、高い成果を出すことができるフォーマットです。特に限られた予算でも高効率な配信を行いたい場合には、優先的に検討すべき選択肢と言えます。
バンパー広告で印象に残す工夫
バンパー広告は、6秒という超短尺の動画で構成されるスキップ不可フォーマットであり、「記憶に残す」ことが主目的のブランディング施策に最適です。ただし、6秒間では多くを語れないため、構成や演出に高度な工夫が求められます。
印象に残るバンパー広告の基本設計
- 冒頭0.5秒でブランドを明示
ロゴ・商品・カラー・キャッチフレーズを画面に表示することで、視認タイミングを逃さず記憶に定着させます。
- 「1メッセージ・1ビジュアル」の原則
複数の要素を詰め込まず、1つのメッセージを絞り込んで強く打ち出すことで印象が鮮明になります。
- テンポ感とリズムの演出
BGMや映像カットのテンポを整えることで、視覚・聴覚の両面で感情に訴求できます。特に若年層向けでは効果が高い要素です。
成功事例の共通点
- 有名ブランドが「キャッチフレーズだけを見せて終わる」シンプルな構成で大量配信
- アニメーションやインフォグラフィックスを用いて視覚的に差別化
- 商品の形・動き・音を用いた記憶に残る“クセになる”演出
活用上のヒント
- バンパー広告は1本で完結させようとせず、シリーズ化や他フォーマットとの併用で真価を発揮します。
- たとえば、インストリーム広告で詳細訴求 → バンパーで想起強化という流れで設計することも有効です。
6秒という限られた時間を逆手に取り、“記憶のトリガー”として設計することが、バンパー広告の成功における最大の鍵です。
マストヘッド活用で注目を集めた企業事例
マストヘッド広告は、YouTubeのトップページ最上部に24時間固定で表示される強力な認知拡大型フォーマットです。配信費用は高額ですが、それに見合うインパクトを持っており、数多くの大手企業が注目施策として活用しています。
事例①:自動車メーカーの新型車ローンチ
大手自動車メーカーでは、新型車の発表にあたりマストヘッド広告を活用。前日夜にテレビCM、翌日にYouTubeマストヘッドで動画を一斉展開することで、デジタルとマスメディアを連携したクロスチャネル施策を実施。結果、わずか1日で1,000万回以上のインプレッションと20万回超の動画視聴を達成しました。
事例②:ゲーム会社による事前登録キャンペーン
人気ゲームアプリの事前登録キャンペーンでは、マストヘッド広告とリーチキャンペーンを併用。ティザー映像をマストヘッドで強制表示し、その後インストリームやバンパーで継続訴求することで、登録ページへの流入を促進。CTR(クリック率)は通常バナーの2.5倍を記録しました。
成功のポイント
- 話題性・ビジュアルインパクトのある動画が必須
- SNS拡散やニュースリリースと同時展開することで相乗効果を生む
- マストヘッドは「目立つ場所」ではあるが、“クリックしたくなる理由”が必要
マストヘッド広告は、単独での効果だけでなく、他の広告施策やメディア展開と組み合わせたときに最大の効果を発揮するフォーマットです。リーチだけでなく、話題形成・検索数増加・エンゲージメント向上など、複合的な成果を期待できます。
インフィード広告で成果を出す動画構成
インフィード広告(旧:TrueView Discovery)は、ユーザーが自ら動画を選んで視聴する“能動型広告”であり、視聴意欲の高いユーザーにアプローチできる点が最大の特徴です。しかし、選ばれなければ再生されないため、サムネイル・タイトル・構成設計すべてに工夫が必要です。
成果を出すための構成ポイント
- サムネイルとタイトルで興味を引く
- サムネイルは「人の顔」「強調された文字」「商品が主役」の3タイプが効果的
- タイトルには「〇〇とは?」「〇〇の使い方」など検索意図にマッチしたワードを含める
- 冒頭でユーザーの課題や悩みに言及
- 冒頭5秒で「誰の、どんな悩みに応えるか」を明確に示すことで、視聴者の離脱を防ぐ
- 例:「営業のアポ率が上がらない?その原因は〇〇です。」
- 中盤で具体的な解決策・メリットを提示
- サービスの機能や特徴を紹介しつつ、数値や事例を用いて納得感を高める
- 「導入企業は前年比120%成長」「実際の画面を操作しながら紹介」などが有効
- 終盤で行動を促すCTA(Call to Action)
- 資料請求・無料トライアル・Webセミナーなど、“次にしてほしい行動”を明示
- CTAボタンとナレーションを一致させ、視聴者に迷いを与えない導線設計を心がける
実例:SaaS企業のBtoB広告
- サムネイルに「失敗しないDX導入のコツ」と配置し、高CTRを獲得
- ストーリー構成を「課題 → 解決策 → 利用の流れ → CTA」の順で構築
- 動画内のCTAリンクをクリックしたユーザーのCV率は約3.2倍に向上
インフィード広告では、「視聴してもらえるかどうか」=サムネイルと構成設計が9割を握っています。検索連動型や関連動画表示を活用した導線設計と合わせて、戦略的に設計することが成果最大化の鍵です。
目的別でのベストな広告種類の選び方
広告目的別表
YouTube広告を成功させるためには、目的に合った広告フォーマットを選定することが最重要の設計要素です。認知から検討、購入に至るまでのユーザーの意思決定プロセスに沿って、最適な広告種類をマッピングすることで、無駄なコストを抑えながら高い効果を発揮できます。
以下は、ファネル(購買段階)別に最適なYouTube広告フォーマットを整理したマトリクス表です。
目的別広告フォーマットマトリクス
目的 |
ユーザーの状態 |
推奨フォーマット |
備考 |
認知拡大 |
商品やサービスを知らない層 |
バンパー広告 マストヘッド広告 リーチキャンペーン |
広範囲に短時間で接触させる設計 |
情報収集・比較 |
関心があり、他社とも比較中 |
スキッパブル広告 インフィード広告 |
ストーリー性のある訴求や導入事例が効果的 |
購入・申込 |
すでに購入意欲がある |
インフィード広告 リターゲティング広告 |
CTA・LP連携を重視し、確実に行動につなげる |
マッピング設計のポイント
- 認知段階では「量を確保」し、印象づけることを最優先に
- 検討段階では「興味を引き続けるコンテンツ」が鍵
- 購入段階では「行動を促すCTA+オファー設計」で背中を押す
このように、YouTube広告は単発施策ではなく、ファネルごとの役割を分担して段階的に構成するのが理想です。一つのフォーマットで完結しようとするのではなく、組み合わせ戦略(フルファネル設計)を視野に入れることで、最終的なROASを最大化できます。
目的から逆算して最適な種類を選ぶ方法
YouTube広告で成果を出すためには、まず「何を達成したいのか(広告の目的)」を明確にし、その目的に適したフォーマットを選定することが重要です。動画があるから出す、予算があるから出稿する、といった場当たり的な運用では、十分なROIを得るのは難しいのが現実です。
ステップ①:広告の目的を具体化する
広告の目的を「なんとなくの認知」ではなく、次のように定量的・定性的に言語化します。
- 例1:新商品の存在を知ってもらい、3万人に視聴させたい → 認知重視
- 例2:資料請求数を月200件に伸ばしたい → コンバージョン重視
- 例3:競合比較される中で、商品理解を深めたい → 検討層への訴求
ステップ②:目的ごとに広告タイプを選ぶ
目的 |
最適な広告タイプ |
補足 |
認知拡大 |
バンパー広告、マストヘッド広告 |
短期間・広範囲なリーチを重視 |
興味・検討喚起 |
スキッパブル広告、インフィード広告 |
内容理解・差別化が目的 |
購入・問い合わせ促進 |
インフィード広告、リターゲティング広告 |
LP連携・行動喚起が必須 |
ステップ③:KPIに落とし込む
広告目的に応じたKPIを設定し、最適な指標で評価できるようにしておきましょう。
目的 |
主なKPI |
認知 |
インプレッション数、VTR(視聴維持率) |
興味・検討 |
CTR、サイト遷移率、視聴完了率 |
購入 |
CVR、CPA、ROAS |
このように、目的→フォーマット→構成→KPI設計という一連の流れを事前に定めておくことで、施策の精度が大幅に向上します。選定の根拠があいまいなままでは、動画制作や配信予算の使い方もブレてしまいます。
YouTube広告の種類に関するよくある質問
初心者におすすめの広告フォーマットはありますか?
はい、初めてYouTube広告を出稿する場合は、スキッパブルインストリーム広告(TrueView)がおすすめです。再生5秒後にスキップ可能なため、興味のあるユーザーに絞って配信でき、無駄なコストが発生しにくいのが特徴です。また、インフィード広告(検索や関連動画欄に表示)も、能動的に動画を選ぶユーザーに届くため、コンバージョンが取りやすく効果的です。
費用対効果の高い広告形式はなんですか?
費用対効果を重視するなら、クリックや視聴されたときのみ課金される形式の広告が有効です。スキッパブル広告はCPV(1視聴ごと)で課金されるため無駄が少なく、広告改善のPDCAも回しやすいです。CV(コンバージョン)重視なら、CPC課金のインフィード広告が優れています。ターゲットや商材に合わせて組み合わせるのもおすすめです。
広告の効果が出ない原因と対処法はありますか?
主な原因としては、ターゲティングの精度不足、動画冒頭の訴求弱さ、CTAの不明確さなどが挙げられます。改善のポイントは「誰に・何を・なぜ今伝えるか」を冒頭3秒で明確に示すこと、動画構成にストーリー性を持たせること、明確な行動導線(CTA)を設けることです。動画の内容だけでなく、配信設定や評価指標の見直しも重要です。
配信後に種類を切り替えることはできますか?
はい、既存のキャンペーンを停止せずに新しい広告フォーマットを追加することが可能です。たとえば、スキッパブル広告を運用しながらインフィード広告を並行配信することで、比較検証もできます。単に形式を変えるのではなく、目的やKPIに合わせた設計を再確認したうえで切り替えるのが成功のカギです。
まとめ|広告の種類選びがYouTube運用の成果を左右する
YouTube広告は、動画という圧倒的にリッチな表現力を持ちながらも、出稿者の目的やターゲットに合わせて多様な広告種類を選べる柔軟性を持っています。
しかしその一方で、種類選びを誤ると“広告は出ているのに成果が出ない”という事態にもなりかねません。
本記事では、以下の点を中心に解説してきました。
- 広告フォーマットごとの仕組みと表示形式
- 各フォーマットが向いている配信目的やターゲット
- 成果を出すための構成・設定・運用ポイント
- 今後注目すべき新フォーマットやAI活用の動向
特に、認知・検討・購入の各段階に応じて最適な広告形式を選定し、それぞれに合わせた動画クリエイティブを用意することが、広告運用の成功には不可欠です。最初はスキッパブル広告やインフィード広告など扱いやすいフォーマットから始め、成果やデータを元に段階的に戦略を進化させていくのが王道です。
弊社では、 YouTube動画広告を配信するにあたって、配信プランの設計・動画制作・広告設定・広告配信・WEBレポートまで、ワンストップで承ります。
動画広告に興味がある方や、配信効果を改善したい方は、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
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