韓国人インフルエンサーを活用したインバウンド施策の可能性と進め方

インバウンド需要が再び高まりを見せている中、福岡の観光・宿泊・飲食業界において注目されているのが「韓国人インフルエンサー」の存在です。特に福岡は、韓国・釜山から飛行機でわずか1時間程度という地理的な近さもあり、週末旅行の目的地として人気が高まっています。
ジャリアでも、ここ1〜2年で韓国人インフルエンサーを起用したPR施策のご相談が急増。観光施設、飲食店、ホテルなど、さまざまな業種から「韓国市場へのアプローチを強化したい」というお声をいただいています。
本記事では、福岡の広告代理店として私たちが実際に関わってきた経験をもとに、韓国人インフルエンサーを活用する際の注意点や、成功するためのポイントを詳しくご紹介します。
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なぜ今、韓国人インフルエンサーに注目が集まっているのか?
日本と韓国の間で最も多くの航空便が就航しているのは、東京ではなく「福岡〜釜山」や「福岡〜ソウル」路線です。距離が近いことから、韓国では福岡が“気軽に行ける海外旅行先”として定着しています。
福岡に来る韓国人観光客の多くは、20〜30代の女性が中心で、彼女たちは旅行先を決める際、韓国人インフルエンサーのInstagramやYouTube、NAVERブログ、TikTok、X(旧Twitter)などを参考にする傾向があります。検索エンジンよりも、感覚的な共感を呼ぶSNSの投稿が、次の旅行先を決定する大きな要因となっているのです。
資料:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2022年年間推計値)」
:法務省「出入国管理統計」
韓国人旅行者のSNS利用傾向と消費行動
韓国ではSNSを通じた“体験共有”が生活の一部になっており、特にInstagramのストーリーズやリール、YouTubeのVlogなど、リアルな体験に基づく情報発信が主流です。
そのため、韓国人インフルエンサーが実際に福岡を訪れ、店舗や観光施設を紹介することで、フォロワーの「行ってみたい!」という感情を直接刺激します。
拡散力と即効性
韓国人インフルエンサーによる投稿は、拡散力が高いだけでなく、購買や来店など行動への転換スピードが非常に早いのが特徴です。これは、SNSを日常の意思決定に活用している韓国ユーザーの文化とも深く関係しています。
韓国人観光客が福岡を選ぶ理由
近年、福岡は韓国からの観光客にとってもっとも身近で人気のある日本の旅行先のひとつとなっています。釜山やソウルから福岡への直行便は多く、移動時間は約1時間程度と短いため、週末を利用した弾丸旅行も盛んです。
資料:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2022年年間推計値)」
:法務省「出入国管理統計」
旅行目的は「グルメ×ショッピング×SNS映え」
「福岡カフェ巡り」は韓国人の間で一種のトレンドになっており、天神・今泉・警固エリアの個性派カフェやスイーツ店はSNS上で多くシェアされています。韓国では「日本の丁寧な空間デザイン」や「洗練されたパッケージ・器」に強い関心があり、写真を撮ってSNSに投稿することも旅の楽しみのひとつです。こうした投稿がさらに他の旅行者を刺激し、「自分も行ってみたい」という動機につながるのです。
また、日本製コスメや医薬品、キャラクターグッズなども韓国では依然人気が高く、韓国語で接客ができるドラッグストアや、免税対応店舗は韓国人観光客にとって「訪問すべき場所」とされています。買い物や食事、観光すべてがコンテンツになるのが福岡観光の魅力です。
韓国人にとってインフルエンサーの存在価値
韓国のZ世代・ミレニアル世代にとって、インフルエンサーは「広告をする人」ではなく「同じ目線で体験を共有してくれる人」として認識されています。彼らの言葉や映像にはリアリティがあり、親しみが湧くため、企業発信よりも影響力が高くなりやすいのです。実際、韓国では「広告かどうかより、その人が本当に楽しんでいるか」が判断の基準になることが多くあります。
また、韓国のユーザーは複数SNSを横断的に活用する情報収集スタイルを持っており、1人のインフルエンサーがYouTube・Instagram・NAVERブログの3つすべてを活用しているケースも珍しくありません。そのため、ひとつの投稿が波及的に複数メディアで拡散され、影響範囲が広がるという構造が生まれています。
福岡における韓国人インフルエンサー活用のメリット
韓国語対応のスタッフやメニュー、韓国からの旅行者向けの交通案内など、福岡はすでに「韓国にやさしい都市」として一定の地位を築いています。
韓国人インフルエンサーが福岡の観光・消費を動かす理由
韓国からの渡航者数は年々増加しており、SNSでの情報収集を重視する傾向が強い韓国人旅行者にとって、信頼するインフルエンサーの発信は旅行先選びや行動に大きな影響を与えます。特に、現地でのリアルな体験を伝えるコンテンツは、「行ってみたい」「買ってみたい」という感情を喚起しやすく、観光・飲食・小売など幅広い分野で効果を発揮します。福岡ならではの魅力を韓国語で丁寧に伝えることで、潜在的な訪日需要を具体的な来訪・購買行動につなげることが可能です。
つまり、韓国人インフルエンサーを活用することは、ただ紹介してもらうのではなく、「福岡に来たくなる気持ち」をリアルに喚起する、強力なマーケティング資源なのです。
クチコミ効果の波及力
韓国人旅行者は旅行中にSNSで積極的に情報を発信する傾向があり、InstagramやYouTube、ブログなどを通じてリアルタイムで体験をシェアします。特にインフルエンサーが訪日中に福岡の飲食店や観光スポットを紹介した場合、その投稿はフォロワーに大きな影響を与え、同じ場所への訪問意欲を喚起します。これにより、インフルエンサーの影響で訪れた一般旅行者も自身のSNSで体験を投稿するようになり、口コミがさらに広がっていく好循環が生まれます。こうした投稿の積み重ねは、情報の信頼性や魅力の訴求力を高め、SNS上での認知度が継続的に拡大します。特に韓国市場においては、旅行者同士の情報共有が重要視されているため、インフルエンサーの起用は波及力のあるプロモーション施策といえます。
中長期的なPR効果
韓国人インフルエンサーの活用は一過性のPR効果にとどまらず、中長期的なブランド認知やリピーターの獲得にもつながるという点です。
韓国のSNSユーザーは「体験の共有」や「共感」を重視する傾向が強く、インフルエンサーを通じて発信された福岡の魅力が継続的に拡散されることで、訪問先としての福岡のイメージが定着しやすくなります。また、インフルエンサーとの関係性を継続的に構築することで、シーズンごとの情報発信や再訪を促すキャンペーン展開も可能になり、より効果的なプロモーション活動が期待できます。さらに、韓国語対応スタッフの有無や、受け入れ体制の整備といった情報を組み合わせることで、韓国市場への信頼感を一層高めることができます。
韓国人インフルエンサー施策の進め方と注意点
目的の明確化
まず重要なのは、「何を誰に伝えたいか」を明確にすることです。韓国人インフルエンサーに依頼する目的が曖昧だと、選定するインフルエンサーや投稿内容もブレてしまいます。
例えば、 飲食店の場合:来店促進/限定メニューの認知拡大、 ホテル・宿泊施設の場合:予約導線の強化/宿泊体験のレビュー、 観光施設の場合:季節イベントの告知/フォトスポット紹介など、目的によって起用すべき韓国人インフルエンサーのジャンルや投稿フォーマット(写真/リール/Vlogなど)も異なります。
インフルエンサーの選定
韓国人インフルエンサーには以下のようなタイプがあります。
- 韓国在住で旅行好きな女性インフルエンサー
- NAVERブログ中心のグルメブロガー
- YouTubeで人気のカップルVlogger
インフルエンサーを選定する際には、いくつかの重要なチェックポイントがあります。まず、フォロワーの属性を確認することが重要です。
韓国在住で、ターゲットが狙いたいフォロワーの年齢層を抱えているかどうかが、訴求力の高さに直結します。また、投稿ジャンルも必ず確認すべき項目です。旅行、グルメ、美容、ファッション、ライフスタイルなど、施策の内容に合ったジャンルで日常的に投稿しているインフルエンサーであるかを見極めましょう。
加えて、インプレッション数や保存数など、単なるフォロワー数ではなく、実際のエンゲージメント率の高さを重視することが、効果的な起用につながります。過去に日本関連のプロモーションを行った実績の有無も信頼性のひとつの指標です。中には、日本語がある程度できるインフルエンサーもおり、現地スタッフやクライアントとのコミュニケーションがスムーズに進められるケースもあります。
ジャリアでは、実際の投稿パフォーマンスを詳細に分析した独自のデータベースを構築しています。このデータを活用し、目的や業種、ターゲットに最適な韓国人インフルエンサーをご提案しています。
条件のすり合わせと契約
韓国人インフルエンサーにプロモーションを依頼する際には、あらかじめ伝えるべき条件や確認すべき内容を明確にしておくことが非常に重要です。とくに国をまたぐ案件では、双方の認識違いが後のトラブルに繋がるリスクもあるため、事前に丁寧なすり合わせと契約の取り交わしが求められます。
まず、撮影内容については具体的に共有する必要があります。例えば、静止画中心なのか、ショート動画やVlogの撮影も含めるのか、必要なカット数やイメージも可能な範囲で示すことで、完成イメージに近いコンテンツ制作が可能になります。また、投稿本数やその投稿のタイミングも明確にしておくべきです。
さらに、報酬体系についても明文化が必要です。旅費や宿泊費のサポートがあるかどうか、ギャラの内訳(交通費含むか否かなど)をクリアにしておくことが信頼関係の構築に繋がります。韓国ではインフルエンサーのプロモーション投稿には「#광고(広告)」「#협찬(協賛)」といったPR表記が法的に求められる場合があるため、これらのガイドラインも事前に理解し合い、投稿時の表記ルールを契約書内に明記しておくと安心です。
また、投稿された素材を自社の公式HPや紙媒体、デジタル広告などに二次利用する予定がある場合には、その可否や範囲についても必ず合意を取り付けておくべきです。韓国ではインフルエンサーの肖像権に対する意識が非常に高いため、無断使用は信頼関係の破綻に繋がりかねません。
こうした細かな条件を正しく共有するためにも、韓国語による契約書や依頼書の作成は必須です。また、言語だけでなく、文化的な配慮やビジネスマナーを押さえた上でのコミュニケーションが、成功の鍵を握ります。
ビザ・入国管理の確認
韓国人インフルエンサーを日本に招聘して有償で活動してもらう場合、注意すべき重要な法的ポイントがあります。特に「報酬を伴う業務」と見なされる場合、通常の観光ビザ(短期滞在90日)での入国は原則認められていません。このようなケースでは、「短期商用ビザ」や、撮影・出演などが主目的であれば「興行ビザ」など、活動内容に応じた適切なビザの取得が必須となります。
実際には、「数日間の撮影だけだから」「SNS投稿だけで報酬も少額だから」と軽視されがちですが、入国審査や出入国管理局の判断次第では入国拒否、今後の入国制限、招聘側の法的責任など、深刻なリスクに発展する可能性も否定できません。
私たちジャリアでは、こうした入国管理法への適切な対応を行い、クライアントおよびインフルエンサー双方にとって安心できるプロジェクト設計を支援しています。必要に応じて、ビザ取得サポートや弁護士・行政書士との連携体制も整えており、法令順守を前提とした安全な施策の実施を徹底しています。
韓国との文化的な親和性が高い福岡だからこそ、適切な手続きを踏むことで長期的な信頼関係を築き、持続可能なインバウンド戦略へと繋げていくことが大切です。
ステルスマーケティングに要注意
韓国でも日本と同様に、インフルエンサーによるPR投稿には「ステルスマーケティング(ステマ)」を防ぐための表示義務が厳しく定められています。
韓国公正取引委員会のガイドラインにより、報酬や無償提供がある場合には、投稿内に明確に「#광고(広告)」「#협찬(協賛)」「#AD」などのハッシュタグを記載する必要があります。これを怠ると、インフルエンサー本人だけでなく依頼企業も処罰の対象になる可能性があります。見落としがちな部分ですが、韓国市場向けの施策を行う際は、現地ルールに基づいた透明な表示を徹底することが信頼獲得と法令順守の鍵となります。
まとめ
ジャリアでは、福岡を拠点に地域の魅力を最大限に引き出す韓国向けインフルエンサーマーケティングを、戦略設計から実行・検証までトータルでサポートしています。インフルエンサーの選定、投稿ディレクション、入国手続きのアドバイス、施策後のインサイト分析まで一貫して対応します。韓国市場へのアプローチを検討中の方は、ぜひジャリアにお任せください。
インフルエンサーマーケティングを実施する魅力は、やはり短期間で効果を感じる点にあります。
韓国初進出のタイミングや、韓国市場へ参入する足掛かりとして、インフルエンサーマーケティングを行うことで、短期的にベース構築が実現します。
韓国向けインフルエンサーマーケティング、海外マーケティングにお悩みの企業様は、福岡の広告代理店ジャリアへご相談ください。
WRITER / YUME 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 企画営業 アカウントプランナーグループ 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部は、ジャリアの中でもブランド構築などブランディングに特化したチームです。企業のブランドはもちろん、採用関連も含め、ブランディングを軸に動画やWebサイト設計、パンフレットなど様々なツールの制作、広告代理店だからできる設計するだけで終わらない伴走しながらブランド再生と再認を作り上げるためにクライアントのブランドアイデンティティとブランドイメージの一致を目指し、日々活動しています。 |
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