採用ピッチ資料の作り方|応募者を動かすプレゼンテーション戦略

採用ピッチ資料の作り方についてイメージ

企業が自社の魅力をいかに効果的に伝えるかが、採用成果を左右する時代になりました。単に情報を並べるだけではなく、求職者の感情に訴え、共感を引き出す「ストーリー設計」がますます重要になっています。特に採用ピッチ資料は、説明会や面接、オウンドメディアなど多くの接点で活用される、企業の“顔”とも言える存在です。

この記事では、採用ピッチ資料の役割と構成、デザインの工夫や配布の工夫まで、Z世代にも伝わるピッチ資料の作り方を丁寧に解説します。

目次

ピッチ資料が採用の“決め手”になる時代へ

採用ピッチ資料の目的と使いどころ

応募者を惹きつける構成設計

デザインのポイントとビジュアル戦略

スライド制作時に陥りがちなNG例

配布・運用のベストプラクティス

よくある質問(FAQ)

まとめ|ピッチ資料は“応募の背中を押す”ための一手

採用オウンドメディアについて解説6

ピッチ資料が採用の“決め手”になる時代

従来の採用活動では、求人票や会社説明会の内容が主な情報提供手段でしたが、近年では応募者の意思決定において「ピッチ資料」が果たす役割が格段に大きくなっています。特にZ世代を中心とした求職者層は、情報量が多く理路整然とした資料よりも、「一目で伝わる」「印象に残る」「共感できる」コンテンツに心を動かされる傾向があります。

採用ピッチ資料とは、企業の価値観・ビジョン・働く人のリアル・働き方・カルチャーを可視化する“ストーリーテリング型のプレゼン資料”です。会社説明会や面接時に使用されるほか、エージェント向けやオウンドメディア、SNSからの資料ダウンロードなどでも活用されています。本記事では、応募者の心を動かすピッチ資料の構成設計から、デザイン・運用方法までを解説します。

採用ピッチ資料の目的と使いどころ

応募者が企業を知る手段が多様化する中で、ピッチ資料は“自社の思いを最も強く届けられる資料”として注目されています。ただ情報を伝えるのではなく、「応募したくなるきっかけ」をつくるツールとして、資料設計には戦略的な視点が求められます。

実際、2024年7月に実施された「中途採用実態調査」では、ベンチャー企業のうち約56.9%が採用ピッチ資料を導入済みと回答しています(出典:FNNプライムオンライン)。
また、ピッチ資料を閲覧した求職者の82.8%が「企業理解が深まった」と答え、99.1%が「志望度が上がった」と感じたという調査結果も報告されています(出典:marugotoinc.jp、2024年時点)。

さらに、SmartHRの活用事例では、ピッチ資料の導入によって応募数が従来比5.3倍、閲覧数が40万回を超えたという成果が報告されています(出典:hypex.jp)。
他にも、会社説明会での資料活用によって応募率が前年比4%増加、内定承諾率が改善したとする事例もあり(出典:
axia-ag.co.jp)、採用ピッチ資料が単なる説明ツールではなく、“応募・内定の背中を押すメディア”として機能していることがわかります。

加えて、2024年6月に発表された調査では、導入企業の68%が「入社後3ヶ月以内の早期離職が減った」と回答しています(出典:dream-up.co.jp)。
同調査では、54%の企業が「面接や書類選考の工数・費用を削減できた」とも回答しており、採用業務の効率化にも寄与していることが示唆されています。また、まるごと人事の運用実績では、スカウトメールにピッチ資料を添付したことで返信率が2〜3%向上したという事例もあり(出典:
marugotoinc.jp)、ピッチ資料は母集団形成やスクリーニング精度の向上にも効果があることがわかります。、2024年時点)。

企業理解の深化と共感を生むツール

採用ピッチ資料は、企業の情報を単に“伝える”のではなく、“伝わる形で共感を得る”ことが主目的です。求人票では語りきれない「企業らしさ」や「働く人の魅力」「事業の未来像」などをビジュアルと言葉で伝え、応募者の意思決定を後押しします。

活用シーンの一例

採用ピッチ資料は、社内でのプレゼンだけでなく、オンラインや外部パートナーとの接点にも広く活用できます。形式にとらわれず柔軟に設計することで、採用活動全体の一貫性を保ちながら接触機会を増やすことができます。

  • 会社説明会でのプレゼン資料として使用
  • オンライン説明会での事前共有資料
  • 採用エージェント向け資料として
  • 採用オウンドメディアでのDL資料
  • SNS広告でのリード獲得資料

応募者を惹きつける構成設計

企業が伝えたいことと、応募者が知りたいこと。その両者を自然につなぐ構成が、良質なピッチ資料のカギです。構成の基本は「ストーリー性」。求職者が読み進める中で企業の価値観に共感し、“自分がここで働く未来”を思い描ける構成にする必要があります。

採用ブランディングの株式会社ジャリアの求人募集データイメージ

構成例(全8ページ構成を想定)

以下はあくまで一例ですが、ストーリー性と情報の優先順位を意識して構成することで、応募者に自然とメッセージが伝わります。

  1. 表紙(企業ロゴ+キャッチコピー)

  2. 企業ビジョン・ミッション・価値観

  3. 事業紹介と成長性

  4. 働く人のリアル(インタビューや1日密着)

  5. カルチャー・働き方の特徴

  6. 募集職種・求める人物像

  7. キャリアパス・評価制度

  8. 応募方法・説明会情報・連絡先

情報過多にならないよう1スライド1メッセージを原則に構成し、視覚的な余白と動線を意識した設計にすることが重要です。

デザインのポイントとビジュアル戦略

ピッチ資料は“読む資料”であると同時に、“感じ取る資料”でもあります。求職者に視覚的にも印象に残るよう、デザインやコピー、写真素材まで含めてトータルに設計することが大切です。

採用ブランディングと一貫性を持たせる

ピッチ資料は、LPやパンフレット、SNS投稿などとトーン&マナー(トンマナ)を統一することが理想です。「会社らしさ」がデザインににじみ出ていることで、資料そのものがブランディングツールとしても機能します。

写真とコピーのバランス

写真やコピーは、企業文化を象徴的に表現する重要な要素です。働く人の表情が見える写真や、等身大のメッセージを意識した言葉選びが、資料全体の“温度感”を左右します。

  • 社員の表情が見える写真(集合ではなく“1人”を切り取る)
  • 決まり文句より“本音”のコピー(例:「やりがい」より「なぜ今ここにいるか」)
  • 図やグラフよりも、言葉と人物が主役

フォント・色・レイアウトの設計

視認性の高さと、ブランドとの一貫性を両立するデザイン設計が理想です。資料が長くなる場合でも、読み疲れしない構成を目指しましょう。

  • 見出しと本文フォントを差別化(視認性重視)
  • ブランドカラーをアクセントに使いすぎず配置
  • ページ単位の情報整理ではなく「流れ」で伝える

スライド制作時に陥りがちなNG例

採用ピッチ資料は、ビジュアル表現が中心になるぶん、作り手の主観や“情報の詰め込み癖”が反映されやすいものです。ここでは、よく見られるNG例とその対策を紹介します。

NGパターン 理由 改善ポイント
情報を詰め込みすぎる 応募者が途中で読むのをやめてしまう 1スライド1メッセージで構成
写真が少ない・人物が写っていない “人となり”が見えず無機質な印象に 実際に働く人の写真を活用
フォントが小さく読みにくい オンライン配信時に視認性が低下 PC・スマホ両方での可読性を確認

配布・運用のベストプラクティス

良いピッチ資料を作っても、それが求職者の目に届かなければ意味がありません。効果を最大化するには、適切な配布設計と運用フローが必要です。

ピッチ資料は“作って終わり”ではなく、届け方と使い方が重要です。求職者に届く設計と、営業資料のような丁寧な配布運用が成果を左右します。

採用ブランディングの株式会社ジャリアの働く人のイメージ

配布経路の多様化

デジタルツールが進化した今、紙やメールだけでなく、SNSや採用サイトを通じた配布も効果的です。複数の経路を設計しておくことで、様々な接点から候補者にリーチできます。

  • 採用サイトやオウンドメディアでのDL設置
  • SNS広告からの資料請求導線設計
  • エージェント・学校・就活イベントへの共有
  • 面接時のQRコード提示・URL送付

運用上の工夫

配布後の活用フェーズでは、「どこで・誰が・どう活用するか」を明確にしておくことがポイントです。特にオンライン説明会などでは、リアルタイムで見せながら説明できる工夫が求められます。

  • NotionやGoogleスライドでのオンライン閲覧対応
  • 説明会プレゼンとの併用で理解促進
  • アナリティクス設計(開封率・DL率・資料経由応募率)

よくある質問(FAQ)

Q. 採用パンフレットと何が違いますか?

A. パンフレットは紙での配布を想定したビジュアル重視の冊子である一方、ピッチ資料はプレゼンテーション用途やダウンロード活用を前提とした“デジタル発信型”のドキュメントです。

Q. 自社にデザイナーがいなくても制作できますか?

A. PowerPointやCanva、Googleスライドなどを使えば、一定レベルの資料は自社でも制作可能です。外注やテンプレート活用も検討すると効果的です。

Q. 採用数が少ない企業にも必要ですか?

A. はい。少人数採用であっても、応募者に「どんな会社か」を一貫して伝えるピッチ資料は、ミスマッチを防ぎ、採用の質を高めるうえで重要です。

まとめ:ピッチ資料は“応募の背中を押す”ための一手

採用ピッチ資料は、会社の魅力を整理するだけでなく、応募者の共感と信頼を獲得する「最後のひと押し」となる重要なコンテンツです。紙のパンフレットや求人票では伝えきれない“空気感”や“価値観”を、ビジュアルとメッセージで届けましょう。

資料単体で応募を生むというよりは、動画・SNS・パンフレット・LPといった他の採用ツールと連動しながら活用することで、最大の効果を発揮します。エントリー率や選考辞退率の改善に向けて、今こそピッチ資料の設計・活用に取り組むべきタイミングです。

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採用ブランディングの株式会社ジャリアの会社タイメージ

弊社では、採用オウンドメディア運用における事前調査から戦略立案、コンテンツ制作、配信設定、効果測定までワンストップで承ります。

事前調査を通して各企業様が打ち出すべき強みやターゲットが求めている情報を把握し、求職者と企業の双方にとって価値のある採用オウンドメディア運用を実現します。

効果の出る採用活動に取り組みたい方は、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。

WRITER / HUM
株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター

株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。

 

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