ブランドストーリーの作り方と企業ブランディングへの活かし方

検索行動が企業の第一印象を決定づける時代、単なる機能説明や価格訴求だけでは顧客の心を動かすことはできません。特に、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)やユーザーファーストを評価軸とするGoogleのアルゴリズムでは、“誰が何の目的で語っているか”がコンテンツ評価において重視されます。
その中で、ブランドストーリーは企業の信念や歴史、姿勢、価値観を“物語”として伝える手段として注目を集めています。これは単なるブランディング手法ではなく、採用活動、営業、広報、SEO、動画マーケティングなど、すべてのタッチポイントに活用できる「ブランドの骨格」となる存在です。本記事では、ブランドストーリーの定義や構成、実践ステップからSEOや検索意図との関係性までを網羅的に解説します。企業の「らしさ」を言語化し、検索体験を通じて共感されるブランドへと昇華させるための実践知をお届けします。
目次 |
ブランドストーリーとは何か?企業が言語化すべき「らしさ」
ブランドストーリーとは、企業が持つ価値観や想い、過去の経験、そして未来への展望を“物語”として伝えるブランディング手法です。ロゴやスローガンのような視覚的要素とは異なり、言葉によって人の感情に働きかけ、記憶や共感に深く残るのが特徴です。
現代のユーザーは、機能や価格だけで商品・サービスを選ぶのではなく、「その企業がどんな想いで取り組んでいるか」「どんな人たちがつくっているか」といった背景に共感する傾向が強まっています。そのため、企業にとって“らしさ”を言語化し、明確なストーリーとして伝えることが、信頼の獲得や選ばれる理由の創出につながるのです。
ブランドストーリーの定義と目的
ブランドストーリーは単なる会社紹介や沿革ではなく、「なぜその事業を始めたのか」「どんな壁を乗り越えてきたのか」「どのような価値を提供し続けたいのか」といった企業の“背景”を、物語構造で伝えるコミュニケーション手法です。
その目的は、ユーザーや取引先、採用候補者など、あらゆる関係者との間に“共感”を生み出すことにあります。ストーリーによって企業の個性が浮かび上がり、記憶に残りやすくなり、指名検索やリピート行動へとつながるのです。
なお、私たちジャリアでは、こうしたブランドの中核を明文化するステップとして「ブランドステートメント」の作成を必ず行っています。これは、単なるキャッチコピーではなく、企業の価値観・人格・約束・行動の軸を言語化したものであり、ストーリー設計・コンテンツ制作・SNS運用・インナーブランディングなど、あらゆる施策における“ブランドの核”として機能します。
「共感」を生むストーリーテリングの構造
効果的なブランドストーリーには、起承転結やヒーローズジャーニー(英雄の旅)といった“物語の型”が取り入れられています。これは、読者の感情に訴えかけ、自然と引き込むための構造です。
特に注目すべきは「葛藤」と「変化」の描写です。例えば「創業当初は無名で資金もなかったが、ある出会いをきっかけに事業が大きく転換した」という展開は、読者にリアリティと希望を感じさせます。このように、ブランドストーリーは企業の“成長ドラマ”として構成されることで、人の心に残る力を持ちます。
ビジョン・ミッション・バリューとの違いと関係性
ブランドストーリーと混同されやすいのが、ビジョン・ミッション・バリュー(MVV)です。MVVは企業が掲げる理念や方向性を論理的・体系的に整理したものであり、社内向けの意味合いも強い要素です。
一方、ブランドストーリーはそのMVVを“外部に感情を込めて伝える”ための語り口です。たとえば、「私たちは地域に根ざした暮らしを支えることを理念としています」というミッションを、「ある高齢者の困りごとを解決する中で気づいた地域の課題と、その後の取り組み」としてストーリー化することで、読み手の共感や納得を得られるのです。
さらにジャリアでは、MVVとストーリーを分断せず、それらを統合的に伝える手段として「ブランドステートメント」を活用しています。ステートメントは論理と感情、理念と体験をつなぐ接点となり、社内外におけるブランドの“一貫性”を担保する重要な起点です。
このように、MVVは企業の「軸」であり、ブランドストーリーはその軸を「人に伝えるための物語化」、そしてブランドステートメントはそれらを「可視化し、実践につなげる媒体」として相互に機能させていく必要があります。
なぜ今、ブランドストーリーが注目されているのか?
近年、ブランディング施策の中でも「ブランドストーリー」というワードが急速に注目を集めています。その背景には、デジタルシフトとユーザー行動の変化、そしてGoogleのアルゴリズム評価軸の進化が密接に関係しています。つまり、企業が一方的に発信するだけの時代は終わり、検索という能動的な接点からブランドを知る時代に移行しているのです。
ここでは、なぜ今ブランドストーリーが求められているのか、その理由を多角的に整理します。
検索行動の変化と「共感ベース」の意思決定
かつての検索行動は「価格」「機能」「スペック」といった比較検討が主でした。しかし現在は、「どんな想いでこのサービスを提供しているのか?」「この会社に任せて安心なのか?」といった“背景”や“姿勢”に触れるための検索が増加しています。
実際、検索クエリには「◯◯ 企業理念」「◯◯ 社風」「◯◯ ストーリー」といった文脈的なワードが増加傾向にあり(Googleトレンド調査より)、ユーザーは商品選定だけでなく、その提供者の信頼性・価値観に共感できるかを重視しているのです。
この流れは、SNSや動画といったメディアの登場によりさらに加速。企業の“顔”が見える発信が評価される中で、単なる商品説明以上の「語り」が必要とされています
Googleの検索評価軸における「E-E-A-T」の強化
Googleが検索品質評価ガイドラインで定義する「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」においても、ブランドストーリーは極めて重要な要素です。
特に“経験(Experience)”の評価が強化されて以降、ユーザーとの接点やエピソード、リアルな背景を持つ情報が上位表示される傾向が見られます。企業の歩みや挑戦、失敗から学んだことなどが丁寧に語られているページは、「この情報はリアルで信頼できる」と判断されやすくなっているのです。
ジャリアでは、こうした文脈を重視し、ブランドステートメントをベースにコンテンツやWebサイト全体に“物語の整合性”を持たせる設計を実施しています。検索結果においても、企業視点とユーザー体験が一致しているページの方が、より高評価を得やすくなります。
採用・営業・動画施策への派生と一貫性の確保
ブランドストーリーはWebコンテンツだけにとどまらず、採用動画や企業紹介映像、営業資料、SNSなど、あらゆる接点に転用できる拡張性を持っています。
しかしその際に“軸”となるストーリーが不在だと、メッセージやトーンが分散し、ユーザーに一貫性のない印象を与えるリスクがあります。その点、ブランドステートメントを起点にしたストーリーは、各施策間でのトーン&マナーの統一や、ユーザーとのタッチポイント全体の整合性を確保する基盤として機能します。
つまり今、ブランドストーリーが注目されている理由は、「SEOに効くから」ではなく、「顧客体験を起点とした一貫したブランド構築が求められているから」に他なりません。
企業の信頼獲得とファン形成を目指すうえで、ブランドストーリーは単なる“演出”ではなく“基盤”としての役割を持ち始めているのです。
ブランドステートメントとブランドストーリーの関係
ブランドストーリーを実践的に展開していくためには、その“核”となる価値観や方向性を明文化する必要があります。その役割を担うのが「ブランドステートメント」です。
私たちジャリアでは、ブランディング支援の初期段階においてこのブランドステートメントの策定を重要なステップと位置づけています。なぜなら、ステートメントがないままストーリー設計を始めてしまうと、軸がぶれてユーザーとの接点で一貫性が失われてしまうからです。
ブランドステートメントとは何か?
ブランドステートメントとは、企業の存在意義・信念・目指す社会・ユーザーへの約束を一文または短い文脈で定義したものです。ロゴやビジュアルのように目に見える要素ではなく、言葉で表されるブランドの「人格」ともいえる存在です。
たとえば「私たちは、挑戦する人の背中をそっと押す存在でありたい」というステートメントがあれば、その後のブランドストーリーにおいても“挑戦”や“応援”が一貫して語られる軸となります。
ブランドストーリーとの違いと役割分担
ブランドストーリーとブランドステートメントは混同されやすい概念ですが、実務的には明確な役割の違いがあります。
ブランドステートメント:理念・価値観・約束を凝縮した“宣言”ブランドストーリー:その宣言をエピソードや歴史、体験を通じて“伝える語り”
つまり、ブランドステートメントは「軸」、ブランドストーリーは「展開手段」という関係性にあります。ストーリーが感情に訴える手段である一方、ステートメントはあらゆるクリエイティブや発信活動の“原点”となるものです。
ジャリアの支援プロジェクトにおいても、ステートメントを基盤に設計されたブランドストーリーは、Webサイト・映像・SNS・採用ページなど複数のチャネルで活用されており、施策間でぶれのないブランド体験の提供につながっています。
ブランドガイドライン・トーン&マナーとの連携
ブランドステートメントは、ブランドガイドラインの言語的な要素としても活用されます。トーン&マナー(発信の語り口や表現トーン)や、表記ルール、コンテンツの整合性設計においても、ステートメントが“言葉の基準”となることで、社内外に統一感をもたらします。
また、クライアント企業のインナーブランディング施策においても、ステートメントは社内共有用資料・動画・人事制度の言語設計などに応用され、組織全体でのブランド理解の深化に寄与します。
このように、ブランドストーリーとブランドステートメントは、決してどちらか一方だけで機能するものではなく、“一体として設計されるべき”ものです。ブランドの軸を明文化し、それを体験として届ける物語に昇華する──この流れこそが、現代のブランド構築における本質的な手法だと私たちは考えています。
ブランドストーリーが検索体験に与える影響
私たちはこれまで、ブランドストーリーの重要性を語る際に“情緒的価値の強化”や“共感の創出”という観点からの説明が主流でした。しかし、2025年6月のGoogleコアアップデート以降、「ブランドストーリーが検索体験(Search Experience)そのものに与える影響」がより明確に可視化されてきました。
このセクションでは、検索行動とブランド体験をつなぐ構造として、ブランドストーリーがどのようにユーザーファースト設計やSEOに寄与するのかを深掘りしていきます。
検索行動は「ニーズの言語化」である
検索行動とは、ユーザーが自身の課題や目的を言語化し、最適な情報や企業にたどり着こうとする“意思表示”です。そのため、検索クエリの背後には常に「何かを解決したい」「選択肢を比較したい」「納得したい」という心理が存在します。
この時、企業側が発信する情報がただのスペックや一覧にとどまっていては、ユーザーの共感や記憶には残りません。必要なのは、「この会社は、なぜこの事業をしているのか?」「どういう人たちが、どんな想いで届けているのか?」といった“背景の物語”に触れることによる安心感と納得感です。
つまり、検索という顕在化されたニーズに対して、企業が提供すべきは“共感できる物語としてのブランド体験”なのです。
遷移先ページにおける「ストーリー体験」の重要性
ユーザーが検索結果から遷移した先のページで、どれだけブランドの“らしさ”に触れられるか──この点が、今後のSEOやCVR(コンバージョン率)において非常に重要な評価軸となります。
たとえば、「採用 ブランディング」というキーワードで検索したユーザーが、ただのサービス概要やパッケージ料金を並べたページを見ても、即離脱してしまうでしょう。一方で、「なぜその企業が採用支援に取り組んでいるのか」「どんなストーリーでそれを磨いてきたのか」が描かれていれば、興味喚起・信頼醸成・問い合わせ誘導へとスムーズに導けるのです。
ジャリアの設計思想では、こうした検索行動とブランド体験の接続点を「ストーリー接点」と定義しています。ブランドステートメントを核にしながら、遷移先のページ全体で“読む・見る・感じる”を一体化させることで、印象に残る検索体験=記憶に残るブランド設計を行っています。
LLMO・AIO時代における「文脈整合性」の設計
さらに、生成AI時代のSEO、すなわちLLMO(Large Language Model Optimization)やAIO(AI Overviews)を意識するうえでも、ブランドストーリーの設計は極めて重要です。
AIは、単なるキーワードの羅列ではなく「意味のつながり」や「文脈整合性」を評価します。つまり、検索クエリと遷移先のページが“なぜその話が出てくるのか”を説明できているか、全体構造に無理がないかが問われるようになっています。
ブランドストーリーがページ全体に通底していれば、文脈の一貫性が保たれ、AIにも人にも優しい構造になります。これは滞在時間や直帰率といった行動指標にも好影響を与え、検索順位だけでなく実際のビジネス成果にも直結する施策です。
このように、ブランドストーリーは「ユーザーの心に響く語り」だけでなく、「検索体験とブランド想起をつなぐ設計」の中核となっているのです。
ブランドストーリー設計のステップと考え方
ブランドストーリーは感覚的・抽象的なものと思われがちですが、実際には明確な設計ステップに基づいて言語化・構造化されるべきものです。ここでは、私たちジャリアが実務で用いている設計プロセスをもとに、企業が自社のブランドストーリーをつくる際の視点と手順を紹介します。
ステップ1:ブランドステートメントの策定
ブランドストーリーの出発点は、ブランドステートメントの明文化です。企業の価値観・社会的意義・顧客への約束などを言語化し、ブランドの“人格”を定義します。
このフェーズでは、経営者インタビューや社員ワークショップなどを通じて、企業内部に眠る“言語化されていない信念”を可視化していきます。理念の再定義とも言えるこのプロセスは、社内外の発信全体の一貫性をつくる核となります。
ステップ2:ヒストリーと“分岐点”の整理
次に行うのは、企業のこれまでの歩みをストーリーとして整理することです。単なる年表ではなく、「どんな壁にぶつかり、どう乗り越えたのか」「何を選び、何を手放したのか」といった分岐点にフォーカスします。
特に強調すべきは、葛藤や選択の場面です。成功談だけでなく、試行錯誤や転換点を盛り込むことで、ストーリーに厚みが生まれ、共感や信頼を得やすくなります。
ステップ3:ペルソナとの“交点”を設計する
ブランドストーリーは自社の語りであると同時に、読み手(ペルソナ)との“接点”でもあります。そのため、ペルソナの関心や課題に応じたストーリーの構成が不可欠です。
たとえば、「若手採用を強化したい企業」であれば、「なぜ新卒採用に注力するようになったか」「どんな想いで若手人材を育てているか」という物語が軸になります。ブランドストーリーは“誰に語りかけるのか”を明確にしたうえで構築する必要があるのです。
ステップ4:構成フレームに落とし込む
構築した素材をストーリーとして伝えるには、型に落とし込むことが重要です。以下のような構成を使うことで、読みやすく、感情移入しやすいストーリーが可能になります。
- 起:創業時の背景と価値観
- 承:課題や壁、外部環境の変化
- 転:意思決定や転換点
- 結:今後に向けた展望と社会への約束
この構成に沿うことで、ただの紹介文ではなく、読み手にとって“意味ある物語”となるのです。
ステップ5:施策ごとの“翻訳”と展開
最後のステップは、完成したブランドストーリーをさまざまなチャネルやコンテンツに展開していくことです。Webサイトや採用ページ、SNS投稿、動画シナリオなど、それぞれのフォーマットに応じてストーリーを翻訳・再構成します。
このとき軸となるのが、冒頭で策定したブランドステートメントです。どのチャネルにおいても、ステートメントの世界観が反映されるよう翻訳することで、ユーザー体験全体における一貫性が保たれます。
私たちジャリアは、この5ステップをもとに、単なる装飾ではない“構造ある物語”としてブランドストーリーを設計しています。企業ごとに異なる“らしさ”を見つけ出し、検索行動や発信チャネルと結びつけていくことこそが、今求められているブランディングの姿だと考えています。
ブランディングに活用できるストーリーフォーマット例
ブランドストーリーは、ターゲットや目的、タッチポイントに応じて構成を変える必要があります。ここでは、実務で特によく活用される3つのストーリーフォーマットを紹介します。
フォーマット①:企業ヒストリー型
創業から現在に至るまでの歩みを時系列で構成する形式です。スタートアップ企業や中小企業のWebサイトにおいて、「想いの詰まった歩み」を語る際によく使用されます。
- 起点:創業のきっかけや原体験
- 転機:事業の方向性が変わった出来事
- 信念:困難を乗り越えるなかで確立された想い
- 現在:今の事業の意義やビジョン
このフォーマットは特に、経営者の人柄や価値観を重視するペルソナに対して効果的です。
フォーマット②:ユーザー体験起点型
顧客視点でのブランド体験を中心に据える構成です。商品の説明ではなく、「このブランドと出会ってどう変化したか」を描くことで、よりリアルな共感を誘発します。
- 状況:ユーザーが抱えていた課題
- 出会い:ブランドとの接点
- 変化:サービス体験による心理や行動の変化
- 共感:そのブランドを選び続ける理由
主に採用広報・D2C・教育業界・ヘルスケア系の事例で多く見られるスタイルです。
フォーマット③:社会的意義/理念型
企業が取り組む社会課題やビジョンを前提に語るフォーマットです。商品・サービスという“手段”ではなく、その背景にある“思想”や“目的”を語ることで、深いブランド信頼を得る構造です。
- 問題提起:社会や業界が抱える課題
- 認識:それに対する企業の問題意識や仮説
- 行動:取り組みの具体的な内容
- 意義:中長期的なビジョンや影響
特にBtoB領域、社会貢献事業、行政・NPOとの連携企業などに効果的です。
これらのフォーマットは、ブランドステートメントを基点として構成されることで、一過性のプロモーションではなく“継続的に共感される語り”として活かすことができます。
ジャリアでは、ブランドの背景にある構造や感情に焦点を当てながら、目的・媒体に応じた最適なストーリーフォーマットを選定し、検索体験とブランド体験を結びつけています。
ブランドストーリーの社内外への浸透・活用方法
ブランドストーリーは作って終わりではなく、社内外のタッチポイントに一貫して展開されてこそ、意味を持ちます。つまり、「語るべき内容」を整理したあとは、「誰に、どこで、どのように伝えるか」の設計が不可欠です。
このセクションでは、社内と社外、それぞれの視点でブランドストーリーの具体的な活用方法と効果を解説します。
社内への浸透:ストーリーは“文化”を育てる土壌
ブランドストーリーは、単なる外部向けのコピーではありません。企業文化の根幹をつくるものとして、社内浸透が最優先事項となります。社員一人ひとりが「なぜこの事業をやっているのか」「私たちは何者であるか」を自らの言葉で語れることが、組織の軸になります。
ジャリアでは、ブランドステートメントやストーリーを以下のような場で活用・共有しています。
採用時のピッチ資料社内イントラネットや社長メッセージ
部門別ミーティングや1on1での共有
クライアント向け提案書の冒頭
これにより、社員が単に“役割をこなす存在”ではなく、“ブランドの一部として生きる存在”となり、エンゲージメントの向上や理念共感型の採用へとつながっています。
社外への展開:チャネルと文脈に応じたストーリーの翻訳
社外に向けては、ブランドストーリーを“読み物”として展開するだけではなく、チャネルごとに最適化された伝え方が求められます。
たとえば、
Webサイト:企業概要ページに、創業ストーリーや代表メッセージを組み込む採用広報:若手社員や創業メンバーを登場人物とした物語形式で構成
SNS:ストーリーの一部をスナップショットで切り取り、シリーズ化して配信
映像コンテンツ:経営者インタビューやドキュメンタリースタイルで演出
これらの展開時に常に意識すべきは、「ユーザーがどの接点で、どんな情報を求めているか」。すべてのタッチポイントで語り口が一致し、ブランドの価値観が伝わることが、信頼形成と記憶定着に直結します。
社内外をつなぐ“共通言語”としての役割
ブランドストーリーは、「社内の文化」と「社外の発信」の間をつなぐ“共通言語”です。部門や職種を越えて、すべての関係者が同じ物語を語れるようになることで、企業全体としての一貫性が生まれます。
その結果、プロジェクトの意思決定スピードが上がり、デザイン・コピー・プロモーションなど各施策で“なぜこれを選ぶのか”を迷わず判断できるようになります。
私たちジャリアは、ブランドストーリーをこの“共通言語”として設計・運用し、社内外のあらゆる発信がバラバラにならない構造をつくっています。
FAQ|ブランドストーリーに関するよくある質問
Q1. ブランドストーリーと企業理念は何が違うのですか?
A. 企業理念は「存在理由」や「価値観」を端的に示す言葉であり、ブランドストーリーはそれを背景とした“物語”です。ストーリーには過去・現在・未来の文脈が含まれ、理念をより共感的に伝える役割があります。
Q2. 中小企業やスタートアップでもブランドストーリーは必要ですか?
A. 必要です。むしろ規模が小さい企業ほど「どんな想いで事業を始めたのか」「なぜ今の方向性を選んだのか」といった背景がブランドの差別化になります。自社の“らしさ”を伝えるストーリーは、共感獲得の鍵です。
Q3. ブランドストーリーを作っても社内に浸透しません。どうすればいいですか?
A. 社員の“自分ごと化”がカギです。一方的な共有ではなく、ステートメント策定時からメンバーを巻き込むことが重要です。また、日常的にブランドストーリーを使う場面(採用資料、ミーティングなど)を設けることで浸透が促されます。
Q4. ブランドストーリーはどこに掲載・活用すべきですか?
A. Webサイト(会社概要や代表メッセージ)、採用ページ、SNS、提案資料、映像コンテンツなど多様な場面で活用できます。媒体ごとにストーリーを“翻訳”して展開することで、全体として一貫性のある発信になります。
Q5. ブランドストーリーの作成に必要な期間とプロセスは?
A. ジャリアでは、ステートメント策定〜ストーリー構築〜展開設計までを1〜2か月程度で設計するケースが多いです。企業の状況や関係者の数によって前後しますが、「全社で共有できる核をつくる」ことを重視しています。
まとめ|ブランドストーリーが企業価値を高める本質的理由
ブランドストーリーは単なる装飾や情緒的な表現ではなく、「ブランドとは何か」を可視化し、内外に共有するための“戦略的言語設計”です。
私たちジャリアでは、ブランドストーリーを「検索行動」や「流入チャネル」の設計と一体化させることで、企業にとって本質的な価値提供を実現しています。その本質とは、“らしさ”を構造化し、体験として伝えることで、ユーザーの記憶と選択の中に深く根づかせる力です。
ブランドステートメントの策定からはじまり、ユーザーとの交点、ペルソナ設計、構造設計、社内外の活用、そして翻訳展開まで——ブランドストーリーは「企業らしさの設計図」であり、「選ばれる理由の言語化」と言えるでしょう。
2025年のGoogleコアアップデートをはじめとした検索体験の変化により、“誰にとって、どのような意味を持つ存在なのか”を語れる企業だけが評価される時代に突入しています。これはSEOの領域にとどまらず、ブランディング全体においても同様です。
ブランドストーリーは、単なる情報発信を超えた「信頼獲得の基盤」であり、「ブランド体験の軸」です。正しく設計し、戦略的に発信することで、企業の価値は検索でも記憶でも選ばれるものへと変わっていきます。
最後に、私たちが考えるブランドストーリーの価値を一言で表すなら、
「共感され、選ばれ、語り継がれるブランドをつくる」こと。
ブランドの根幹から見直す今、ブランドストーリーは最も強く、最も長く効く“資産”となるでしょう。
弊社では、広告代理店だからこそできるブランディング計画から始まり、伴走型のブランド醸成を行います。中長期的なビジョンを持ち、プロモーション計画とサイトSEOを行いつつ、貴社のブランド発信のPDCAを行っていきます。
ブランディングを通して企業の価値を高めたい、ブランディングとマーケティングの相乗効果で売上アップを図りたいという方は、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
WRITER / HUM 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |