キャラクターを商標登録するには?ブランドを守る基本ガイド

企業や自治体、イベントなどでキャラクターを使うケースが増えています。広報や販促の場面で活躍するキャラクターは、単なる「デザイン」ではありません。見た人に親しみを与え、ブランドの顔となる大切な存在です。
しかし、せっかく時間や費用をかけて制作したキャラクターでも、商標登録をしていなければ他の企業からデザインや名前を模倣される可能性があります。キャラクターを守るためには、商標登録という手続きを通じて「権利」を持っておくことが大切です。
本記事では、キャラクターを商標登録する際の基本的な流れと、注意点を分かりやすく紹介します。
目次 |
商標登録とは?キャラクター登録の前に知っておきたい基本
まず、商標とは、自社の商品やサービスを他社のものと区別するために使用するマークのことを指します。これを識別標識と呼び、企業名やロゴ、ブランド名などが該当します。
これらを登録しておくことで、他の企業が同じ名前やデザインを使えなくなります。
キャラクターの商標登録の対象
キャラクターも、企業や団体のイメージを象徴するものとして商標登録が可能です。
登録の対象には、次のようなものがあります。
- キャラクターの名前
- キャラクターのロゴやシルエット(例:顔や体の輪郭を図形化したもの)
- キャラクターの名前と絵柄を組み合わせたもの
このように、キャラクターを商標登録することで、デザインや名前を他社の模倣から守ることができます。
キャラクターを商標登録することで得られるメリット
他社からの模倣を防ぐ他にも、商標登録をすることで得られるメリットがあります。
公式キャラクターとして信頼感を深められる
商標登録を行うことで、「このキャラクターは正式なものである」と示すことができます。
これは企業や自治体の広報活動において、信頼性を高める大きなポイントになります。
ビジネス資産として活用できる
商標登録されたキャラクターは、ライセンス契約やコラボ展開など、知的財産としての価値を持ちます。
商標登録しておくことで、安心して長期的なキャラクタービジネスが展開可能になります。
4つのステップで理解するキャラクター商標登録の流れ
キャラクターの商標登録は、他の商標と基本的な流れは同じですが、デザインと名前の両方を守るケースが多いため、きちんと情報を整理して進めることが大切です。
登録する内容の整理
まずは、商標としてどの部分を登録するかを明確にします。
キャラクターの「名前」だけにするのか、「デザイン」や「ロゴ」も含めるのかを整理しましょう。
名前・図柄・ロゴを一体で使用している場合は、セットで出願する方法もあります。
登録前の調査
すでに似た名前やデザインが登録されていないかを確認します。
特許庁の商標検索システムを使えば、無料で確認できます。
ただし、見た目が違っても読み方や意味が似ていると拒絶される場合があります。
(例:「ハッピーくん」と「ハピィーくん」など)
出願手続きと区分
調査が終わったら、特許庁に出願します。
出願には、出願人情報(企業名・住所など)、登録したい商標の図柄・名称、使用する商品やサービスの区分を記載します。
商標を登録するとき、「どの分野の商品・サービスで使うか」を明確にする必要があります。
この分野を示すのが「区分(類)」で、世界共通の基準(国際分類:ニース分類)に基づいて
第1類〜第45類までに分かれています。
1〜34類は「商品(モノ)」、
35〜45類は「役務(サービス)」に関する区分です。
例えば、ぬいぐるみやTシャツに使用する場合は第25類・第28類、広告やイベントで使用する場合は第35類といったように、用途によって分類が異なります。
審査・登録
出願後は特許庁で審査が行われます。
問題がなければ「登録査定」が通知され、登録料を納付すると商標権が発生します。
商標権の有効期限は10年間で、更新をすれば継続的に保護することができます。
商標登録時に気をつけたいこと
キャラクターの商標登録は、名前や見た目を守るだけではありません。
登録の仕方や管理の仕方によっては、せっかくの権利を失ってしまう場合もあります。
次の点に注意しましょう。
よくある見落としと注意点
- キャラクターの「見た目」だけでは登録できないことがあります。商標は「商品の出どころを示す」役割があるため、単なるイラストや装飾では対象外になることがあります。
- キャラクターの「名前」と「デザイン」は別々に登録することもできます。例えば、まず名前を商標登録し、後からロゴ付きのデザインを追加で出願する方法もあります。
- 登録しても使用していなければ権利を失うことがあります。登録後3年以上使っていない場合、「不使用取消」の対象となることがあります。定期的に使用実績を残し、更新手続きを忘れないようにしましょう。
商標登録にかかる費用と手続きのポイント
商標登録には、特許庁に支払う手数料と、弁理士に依頼する場合の報酬がかかります。
区分の数や登録内容によって異なりますが、一般的な目安は次の通りです。
商標登録にかかる費用の目安
項目 | 納付方法・条件 | 料金(区分数×) | 補足事項 |
---|---|---|---|
出願料 | 出願時 | 3,400円 + (8,600円 × 区分数) | 電子出願/書面出願により別途電子化手数料がかかることがあります |
登録料(10年分 一括納付) | 登録査定後 | 32,900円 × 区分数 | 登録料の納付により商標権が発生します |
登録料(5年ごとの分割納付) | 前期/後期に分けて納付 | 17,200円 × 区分数(前期) / 後期分も同額 | 分割納付を選ぶと、一括納付より割高になることがあります |
更新登録料(10年分 一括納付) | 商標権存続期間満了時 | 43,600円 × 区分数 | 更新は満了日の6か月前〜満了日までの間に申請可能 |
更新登録料(5年ごとの分割納付) | 前期/後期に分けて納付 | 22,800円 × 区分数(前期) / 後期分も同額 | 分割納付による制度あり |
参照:特許庁ホームページ
キャラクターは複数の用途(広告・グッズ・イベントなど)で使われることが多く、
複数区分で出願するケースが一般的です。
事前にどの範囲まで保護したいのかを明確にしておきましょう。
まとめ
キャラクターを守ることは、ブランドを守ること。
キャラクターは、企業や地域の「顔」として、ブランドの印象を形づくる大切な要素です。
制作したキャラクターは、できるだけ早い段階で商標登録を検討しましょう。
名前・デザイン・活用範囲を整理して登録しておくことで、長く安心して活用できます。
WRITER / TOMO 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 企画営業 アカウントプランナーグループ 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部は、ジャリアの中でもブランド構築などブランディングに特化したチームです。企業のブランドはもちろん、採用関連も含め、ブランディングを軸に動画やWebサイト設計、パンフレットなど様々なツールの制作、広告代理店だからできる設計するだけで終わらない伴走しながらブランド再生と再認を作り上げるためにクライアントのブランドアイデンティティとブランドイメージの一致を目指し、日々活動しています。 |