AI Overviewとは?SGEとの違いやSEOへの影響を解説

AI Overviewについて解説

2023年5月に米国で発表され、日本でも試験的に運用されていたGoogle検索の生成AI機能SGEが、2024年5月14日に正式版となって発表されました。名前は「AI Overview」。

一般公開されているのはアメリカのみでまだ日本には展開されていませんが、SGEを超える利便性の高さで導入が待ち望まれています。

そこで今回は、AI Overviewの概要について紹介していきます。SGEとの違いや新機能、SEOへの影響についてもお話していくので、ぜひご参考にしてください

目次

AI Overviewとは

AI OverviewとSGEの違い

AI Overviewに追加された新機能

AI Overviewの誤回答が問題視されている?

AI OverviewがSEOに与える影響

AI Overviewの日本への展開時期は未定

まとめ

 

AI Overviewとは

AI Overviewとは、Google検索におけるユーザーの検索に対してAIが最適な回答を生成し、検索結果のトップに表示する機能「SGE(Search Generative Experience)」の正式版としてリリースされたものです。

SGEは2023年5月にアメリカで試験運用が開始され、同年8月からは日本でも試験的にサービスが提供されていました。

試用期間中にユーザーからのフィードバックをもとに改良を重ねたうえで2024年5月14日に正式リリースに至ったようです。

現在、AI Overviewはアメリカの全ユーザーに向けて展開されており、徐々に展開範囲を広げていくようですが日本にはまだ導入されていません。

AI OverviewはGoogleが提供しているチャット型の最新生成AIモデル「Gemini」の技術を活用し、より検索エンジンに適応するように新たな機能が追加されています。

AI OverviewとSGEの違い

SGEは試験運用中に世界中で何十億回と使用され、改良が繰り返され、その結果できたものがAI Overviewです。

よって、AI OverviewはSGEにもともとあった機能がバージョンアップし、さらにユーザーの満足度を高めるための優れた機能が搭載されたものと考えていいでしょう。

SGEはGoogle検索のトップページからアクセスできるSearch LabsからAI機能をオンにすることで適用される仕様になっていましたが、AI OverviewはGoogle検索のデフォルト機能となり、Google検索を使用する全員の検索結果ページトップに生成AIの回答が表示されます。

SGEのときのように選択式の方がよかったユーザーとデフォルトになってよかったユーザーで分かれそうですが、AI Overviewの精度の高さを実感できるようになればデフォルト仕様に満足するユーザーも増えるでしょう。

AI Overviewに追加された新機能

では、具体的にSGEからどんな進化を遂げたのかを知るために、AI Overviewに追加された新機能をご紹介していきます。

回答の粒度を設定できる

AI OverviewではAIの回答が「Original(標準)」「Simple(簡潔)」「Break it down(詳細)」の3種類に展開されており、自分の好きな粒度に選択できるようになっています。

AI Overviewについて解説1出典:https://blog.google/products/search/generative-ai-google-search-may-2024/

この機能によって、トピックの大枠をすぐに知りたいときはSimple、トピックについての知識が何もなく、深堀りしたい場合はBreak it downを選択することで満足度の高い回答が得られます。

複雑な質問にも1度に回答可能

AI Overviewは、Geminiの強みである複雑な文字・視覚情報を理解する高度な推論性能を活かし、複数の回答が必要な質問にも1度で情報を提供してくれます。

例えば、「ボストンにある一番良いヨガまたはピラティススタジオを探して、入会特典の詳細とビーコンヒルからの徒歩時間も見せて」という3つの情報を求める複雑な質問でも、AI Overviewは評価の高い各スタジオの詳細と入会特典・徒歩時間を表示してくれます。また、各スタジオの位置関係や距離感が掴めるように地図も表示してくれます。

 

AI Overviewについて解説2

出典:https://blog.google/products/search/generative-ai-google-search-may-2024/

わざわざ質問を分けなくても欲しい情報を瞬時にすべて得られるため、情報収集にかける時間や自分で選定する時間を大幅に短縮できます。

プランの提案

AI Overviewは、優れた計画機能によって食事や旅行などのプランを提案してくれます。

例えば、「グループ向けの3日間の食事プランを作成する」と検索すると、WEB上にある様々なレシピから適切なレシピを朝・昼・夕食に分けて表示してくれます。

また、夕食はカロリーを抑えたいなと思えば「夕食は野菜や魚メインで」などと依頼をかければ再び適切なレシピが表示されるなど、要望に応じて柔軟に対応してくれます。

AI Overviewについて解説3

出典:https://blog.google/products/search/generative-ai-google-search-may-2024/

作成された食事プランはGmailやドキュメントにエクスポート可能なため、いちいちメモをとったりスクショする必要はありません。

アイデア出しのサポート

AI Overviewはユーザーが何かアイデアのヒントを得たいときにブレインストーミングを行い、情報を整理します。

あらゆるユーザーがあらゆる視点で発信したコンテンツを独自につけた見出しごとに分類して表示してくれます。

ひとつだけの視点ではなく幅広い視点で提示してくれるため、ありふれていない魅力的なアイデアが生まれるでしょう。

AI Overviewについて解説4

出典:https://blog.google/products/search/generative-ai-google-search-may-2024/

動画検索

AI Overviewでは、音声と動画を使って検索が可能です。検索というとテキスト入力が基本でしたが、GeminiやChatGPT-4oがリリースされ音声処理が可能に。

そして、今回は動画での検索もできるようになったのです。

動画検索とはどういうことかというと、例えばレコードプレーヤーを購入したのに正常に作動せず、アームが勝手に動いてしまう困った事態になった際に、その様子を動画で撮影し「なぜこれは動くの?」などと話して質問するだけで考えうる原因や対処法を表示してくれます。

AI Overviewについて解説5

出典:https://blog.google/products/search/generative-ai-google-search-may-2024/

AI Overviewの動画検索機能により、文章ではなかなか説明しづらいことでも簡単に検索をかけることができ、スピーディーな解決が可能になります。

「○○ 動かない なぜ」などと検索してもなかなか自分が陥っている状況に最適な解決法が見つからないことも多いため、動画で正確に情報を読み取ってくれれば検索体験が非常に有意義なものになるでしょう。

広告表示

AI Overviewでは、検索結果の上部または下部にリスティング広告及びショッピング広告を表示するテストを行っています。

例えば、「服のしわを伸ばすにはどうすればいいか」と検索をかけた場合、AI Overviewの下やWEBサイトの間にしわ伸ばしスプレーの広告が表示されるようになります。広告にはスポンサーと表示され、きちんと広告であることがわかるようになっています。

広告主は特別に何かする必要はなく、既存のキャンペーンに設定した広告がユーザーの検索内容と関連性が高い場合に表示される可能性があります。

AI Overviewについて解説6

出典:https://blog.google/products/ads-commerce/ai-creativity-google-marketing-live/

Googleサーチコンソールで計測可能に

SGEによって獲得したアクセスや行動履歴はGoogleサーチコンソールのデータには計測できませんでしたが、AI Overviewでは計測可能になります。

しかし、SEOからの流入とAI Overviewからの流入は一緒に計測されてしまうため、どれだけのユーザーがAI Overviewから流入したのか把握することはできない点は注意が必要です。

AI Overviewの誤回答が問題視されている?

ここまで、AI Overviewに追加された機能を紹介してきましたが、便利な一方で誤った回答を生成してしまう“ハルシネーション”が問題視されているのも事実です。

しかし、Googleによると誤った回答を引き出すために無意味な検索を行ったり、回答のスクリーンショットを偽造して「誤回答だ!」と騒ぎ立てている人の仕業だと分析しています。

「石を何個食べればいいですか?」といった質問を投げかけたスクリーンショットを掲載した人もいたようで、確かにそのような質問に対する正しい回答があるはずもなく、質問と回答のスクリーンショットも簡単に偽造できてしまいます。

無意味な質問に正しい回答を示しているコンテンツはあまりないため、AI Overviewが信頼できないソースを引っ張ってきてしまい、不正確な情報を提示するケースがあるようです。

Googleはこれらの事態を改善するために、無意味なクエリを検出する優れたメカニズムを構築し、風刺やユーモアのコンテンツの組み込みを制限するなどの対策をとることを発表しました。

出典:https://blog.google/products/search/ai-overviews-update-may-2024/

対策についてはまだテストの段階でしょうが、日本にAI Overviewが導入されるまでにハルシネーション問題が解決されるよう期待したいですね。

AI OverviewがSEOに与える影響

AI Overviewが本格的に導入されればSEOへの大きな影響が予想されます。

AI Overviewは検索結果のトップに表示され、表示される情報もネット上の膨大な情報から最適だと判断した、ユーザーの複雑なニーズを1度に満たしてくれるものです。

そうなると、わざわざ下の方にスクロールして自分から情報を探す必要がなくなるため、SEOからの集客数は減少するでしょう。

AI Overviewによる集客数の減少を食い止めるためには、E-E-A-Tを意識した信頼性の高いコンテンツを発信して上位表示を狙うこと、SNSマーケティングに力を入れて検索エンジン以外からの流入を増やすことがこれまで以上に重要になってきます。

SEOの重要性は変わらない

とはいえ、前述したようにAI Overviewにはハルシネーション問題が存在するのも事実。対策が適切に講じられ、誤回答の可能性がゼロに近づくまではSEOで上位に表示されたコンテンツを参考にするユーザーは多いでしょう。

また、ユーザーファースト且つ関連性の高いコンテンツはAI Overviewの回答にもピックアップされやすくなるため流入増加を図れますし、お金や健康など信頼性が重要なコンテンツはAIの回答よりも自分で信頼できるコンテンツを探そうとするユーザーが多いため、SEOは変わらず重要で取り組むべき施策となります。

AI Overviewの日本への展開時期は未定

AI Overviewは現在アメリカのみでの展開に限られています。まもなく他の国にも展開され、年末までに10億人以上のユーザーに提供予定と発表してはいますが、具体的にいつ頃になるかは明らかになっていません。

AI Overviewが日本でもデフォルト設定になったらユーザーの検索行動はどう変化するのか、今後の動向を注視していきましょう。

まとめ

今回は、Googleが開発したSGEの正式版AI Overviewの新機能とSEOに与える影響について解説しました。

複雑な質問へのスムーズな回答やプランニングのサポートをしてくれるうえに動画での検索も可能になるAI Overviewは私たちの検索体験をより有意義なものにしてくれるでしょう。

しかしまだ課題も残っているため、日本に導入された際にどれだけ改善されたのか、SEOへの影響はどれほどになるのかを調査し、AI OverviewありきのWEBマーケティング施策を実施していく必要があるでしょう。

AI Overviewについて解説7

ジャリアでは、SEO内部対策、外部対策、コンテンツSEOすべてに精通しており、包括的なサポートが可能です。

お客様の事業、要望などをヒアリングしながら、事前調査、サイト構築、キーワード選定、コンテンツ作成、効果測定までワンストップで承ります。

本格的にSEO対策に取り組みたい方は、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。

WRITER / HUM
株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター

株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。