ステルスマーケティング(ステマ)とは?10月に景品表示法改正で規制強化!
マーケティングにおいて「ステマ」という言葉をよく耳にすると思いますが、みなさんの中には「ステマって良くない印象があるけど、何がだめなんだろう?」と具体的な部分まではわかっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ステマは消費者を騙す行為であり、リスクの大きさをしっかり理解しておかなければ取り返しがつかない状況になってしまうこともあります。
そこで今回は、ステマの概要から行うことのリスク、今後の展開まで紹介していきたいと思います。
目次 ステマだと疑われないためのポイント |
ステマとは
ステマとは、ステルスマーケティングの略称で、消費者に対して宣伝広告であることを伝えずに商品やサービスを発信することを指します。
例えば、企業から依頼を受け、金銭の受け渡しが発生しているにも関わらず「#PR」や「#提供」の記載をせずに自分の意思で発信しているように見せかけて宣伝することはステマとなります。
ステマは消費者を騙す行為であり、ステマが発覚すれば依頼した企業も依頼された発信者も信頼を失い、多大な損失を被ります。
一般的に、商品の宣伝には芸能人やインフルエンサーなど、影響力が大きい人物が起用され、多くの消費者からの認知・購入を図っています。芸能人やインフルエンサーをフォローしているユーザーは彼らを支持しているため、おすすめしていれば良いものだろうと思い、販促につながります。
そんなフォロワーの好意を利用し、自分たちの利益のためだけにプロモーションを行うステマは昨今のSNS利用急増に伴い横行しており、問題視する声が大きくなっています。
ステマの手法
ステマには、以下のような手法があります。
なりすまし型
企業や個人が第三者を装って商品やサービスを評価し、発信する手法です。
販売している企業や個人自身が発信していると売り込み感が強く、消費者は嫌悪感を抱きやすくなります。しかし、自分と同じ立場である第三者が発信することで、正直で信頼できるレビューだと認識され、嫌悪感を持たれることなく購入を促しやすいのです。
依頼されたものでも自分で購入して自発的に発信しているように見せかけることができるため、消費者にはステマだと悟られにくい手法でもあります。
利益提供秘匿型
芸能人やインフルエンサーに、企業に依頼された案件であることを隠して宣伝してもらう手法です。
影響力が強い人物がおすすめだと言って発信するため自然と売り上げも伸びますが、フォロワーが購入したいのはあくまでも発信者自身の意思で購入し、良いと思ったものに限ります。
発信者に対する好意的な気持ちが強いぶん、ステマだったとわかれば裏切られたという気持ちが増幅し、企業も発信者も一気に信頼を失います。
ステマのリスク
ここでは、ステマを行うリスクについて紹介します。
信頼を失う
繰り返しになりますが、ステマは消費者を騙し、裏切る行為であるため発覚すれば企業全体の信頼を失います。もちろん、企業だけでなくステマに加担した発信者の信頼もなくなります。
何事にも言えますが、一度失った信頼を取り戻すのは容易なことではありません。個人ではなく企業のような大きな組織になると、ひとりの力では足りないため会社全体で信頼回復に努める必要があり、再度復活を狙うことはかなり厳しくなります。
また、ステマをした企業だけでなく同じ業界及びEC業界全体の信頼にも関わります。ユーザーは商品を購入する際に第三者が発信する「口コミ」を非常に重視しており、EC業界においても販促には口コミが欠かせません。
従って、ステマが横行してしまうと、ネットショッピングをする際に口コミが信じられなくなり、売り上げが悪化していきます。「またステマなのではないか」と疑心暗鬼に陥り購入を躊躇したり、一生「ステマをした企業」として白い目で見られることもあるでしょう。
せっかく築き上げた信頼関係をたった1度のステマですべて失うことになるため、ステマは絶対に行わないようにしましょう。
炎上する
現在は多くの人がSNSを利用しており、匿名で気軽に意見や感情をぶつけることができるようになっています。そんな環境でステマが発覚すれば、非難の対象となり、炎上する可能性があります。ステマ行為に関わることだけでなく、ときには事実ではないことを発信されることもあるでしょう。
「悪」の対象は炎上の標的にされやすく、商品そのものの価値に関係なく「消費者を騙した」という行為に対して非難が集まります。また、SNSには拡散機能もあるため、訂正する暇もなくすぐに広まります。
ステマ以外の炎上で事実とは異なる部分があってもすでに企業に悪いイメージがついているため、消費者は簡単に信じてしまいます。「みんなでその企業の商品は買わないようにしよう!」とSNS内で呼びかけられ、不買運動が起こることもあります。
このように、ステマは炎上しやすく、直接関係のない部分にまで飛び火することもあるため、行うべきではありません。
ステマだと疑われないためのポイント
では、ステマだと疑われないためにはどんなことに気をつければいいのでしょうか?
広告であることを明確に伝える
ステマだと疑われないためにまずやるべきことは、広告であることを明確に伝えることです。
隠すことなく堂々と広告であることを示しておけば騙すことにはならないため、ハッシュタグを利用して依頼を受けて発信していることをアピールしましょう。
また、金銭の受け渡しがあるかないかで記載できるハッシュタグは異なります。受け渡しがある場合は「#プロモーション」「#提供」などのハッシュタグを使用でき、ない場合は「#プレゼント企画」「#モニター」などのハッシュタグを使用できます。
ハッシュタグを複数記載するときは、後ろのほうにさりげなくつけるのではなく、最初にはっきりと記載しておくことでユーザーもすぐに広告だと認識でき、ステマだと疑われることもなくなるでしょう。
投稿内容に企業と発信者の関係を記載する
ステマだと疑われないためにハッシュタグを利用しようと前述しましたが、投稿のテキストや画像、動画であれば動画内で案件について言及し、紹介する商品や企業と発信者の関係を明記しておくと確実です。
「○○(企業名)とタイアップ企画を実施しました」「○○(商品名)のプレゼントキャンペーンに当選しました」など、ユーザーがわかりやすい形で最初に伝えることで安心して投稿内容を閲覧することができます。
また、インスタグラムではブランドコンテンツ広告を活用することで、アカウント名の下に「○○(企業名やブランド名)とのタイアップ投稿」と表示され、広告であることが一目でわかるため、信頼性が維持されます。
嘘の内容を発信しない
ステマだと疑われないためには、嘘をつかずに正確な情報を発信してもらうことも重要です。
商品を魅力的に伝えたい気持ちはわかりますが、「ここまで過大評価しているってことはステマなのではないか」と疑われるきっかけにもなります。
実際にはない機能をあるように伝えたり、ごく普通の効果であったにも関わらず絶大な効果があったと発信することは虚偽行為となることもあり、信頼を失うだけでなく、景品表示法にふれてしまうこともあります。
芸能人やインフルエンサーに依頼する際は、事前に投稿内容の打ち合わせを行い、投稿前に事実と異なることが書かれていないか必ず確認するようにしましょう。
これまでのステマ規制
海外ではステマ規制がすでに行われていますが、日本ではステマは良くないという認識は広がっていたものの、実際には規制されていませんでした。
消費者に誤った認識をさせるような広告や、判断を誤らせる大げさな表現を用いた広告を禁止する「景品表示法」も、現在定められている事項ではステマを直接的に規制することができません。
景品表示法には以下のような内容の規制が定められています。
◆優良誤認表示商品やサービスを実際の機能や品質よりも著しく優良であるかのような表示の禁止。
◆有利誤認表示
上記2つの主な規制の他にも消費者に誤認させるような、内閣総理大臣が指定する表示の禁止。
ステマは優良誤認表示や有利誤認表示にあたるとされますが、これまでは明確な提示がなく規制されてきませんでした。
2023年10月に景品表示法改正
しかし、2023年3月にステマ規制に関する告示が出され、2023年10月1日からステマ規制が施工されることになりました。
今回、告示された内容は、下記の通りです。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示 事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの |
引用:内閣府告示第十九号
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」というのがステマのことを指し、規制される事項に新たにステマが指定されたということです。
この法改正によって、ステマを行った場合は行政から措置命令や課徴金納付命令を出されたり、消費者から損害賠償を求められる可能性があります。※罰則を科されるのは広告主のみで発信者は処罰の対象外
横行していたにも関わらず、はっきりと定めらていなかったステマ規制がついに導入されたことで、消費者がより安心・安全に正しい選択ができるようになることが期待されます。
これまでなんとか規制をくぐり抜けてきた悪質な企業が減ることで、EC事業全体の信頼も保証されるようになるため、企業側も安心して広告を出すことができるようになるでしょう。
まとめ
今回は、ステマの概要や今後の法改正について解説しました。
ステマは消費者を裏切る悪質な行為です。一度発覚してしまえば信頼を失い、一生回復できなくなる可能性もあります。
ステマだと疑われないためにも、マーケティングに必要不可欠なユーザーファーストの意識を常に持ち、広告であることをはっきりと示すことで消費者との信頼関係もより強固になります。
10月には新たに改正された規制が施行されるため、ステマのような投稿もグッと減るでしょう。企業でもステマや景品表示法に関する認識を改めて統一し、ステマ対策を強化していくことが重要です。
WRITER / HUM 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |