インフルエンサーとアンバサダーの違いって何? 活用方法を徹底解説
インフルエンサーとアンバサダー。
両者ともマーケティングにおいて欠かせない存在ですが、並べて見るとよく似ているな?と感じるのではないでしょうか。
どちらもユーザー視点からPRを行い、ブランドの認知度を高める効果がありますが、実際のところ、その役割や影響の及ぼし方には大きな違いがあります。
この記事では、インフルエンサーとアンバサダー、両方の特徴とその違い、戦略的な活用方法について見ていきましょう。
目次 |
インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、世間や人に対し影響を与える人物のことを言います。
芸能人やスポーツ選手、芸術家など、顔と名前の知れた著名人がそれに該当しますが、近年では特に、SNSや動画サイトの中で強い影響力、発信力を持つ人のことをそう呼ぶようになりました。
その多くは、芸能人などではない一般人です。
それでは何故、彼らが大衆の中で支持されるようになったのでしょう。
インフルエンサーの歴史と役割
インフルエンサーという言葉は、2000年代、インターネットが普及し始めた頃に生まれました。
SNSが登場する前、個人の情報発信の場はブログやYoutubeであり、「ブロガー」と呼ばれる人々が大きな影響力を持つようになります。
そしてその流れを受け、人気のブロガーをPRに起用したり、イベントを組んだりといったマーケティングを行う企業が現れ始めました。これがインフルエンサーマーケティングの始まりです。
しかし当時はまだ情報を受け取る側に「クラスタ」という概念がなく、二次的な拡散力はあまりありませんでした。そのためマーケティングとしての効果は極めて限定的であったといいます。
更に、芸能人のステマ問題が発生。その結果、「インフルエンサー」という言葉にはネガティブなイメージがついてしまい、一度ブームは下火になってしまいました。
しかし2010年代になると、スマートフォンの普及とともにInstagramやtwitterといったSNSが爆発的に広がり始めます。
同時期にYoutubeも収益化が出来るパートナープログラムを一般ユーザーに開放し、職業としての「Youtuber」が誕生しました。
その一方で、テレビなどの従来のマスメディアは影響力を弱めていきます。
SNSやインターネットが情報源として利用され、娯楽としても大きなウエイトを占めている今。インフルエンサーという存在に、再び注目が集まるようになりました。
インフルエンサーは、不特定多数に向けてではなく、自分のフォロワーに対しPRを行います。
芸能人より身近で、それでも憧れられる存在、情報源として信じることのできる存在。
それがインフルエンサーです。
インフルエンサーの種類と活動領域
インフルエンサーは、主にSNSや動画共有サイトで活動をしています。
フォロワー数で大きく4つの階層に分かれていて、芸能人など数百万人のフォロワーを抱えるような人もいれば、1万人にも満たない数の一般人も多くいます。
「あまりに数が違いすぎる」と思われるかもしれませんが、インフルエンサーマーケティングではフォロワーが多ければ多いというわけではありません。それぞれの階層ごとに特徴があり、目的や目標に合わせて選択していく必要があります。
トップインフルエンサー
フォロワー数100万人以上のインフルエンサーのことを、トップインフルエンサーといいます。
芸能人やスポーツ選手といった著名人が多く、フォロワーには様々な世代や属性の人がいます。
社会的な影響力が大きく、拡散力も高いのが特徴で、一度の投稿でかなりのリーチを獲得できます。
とにかく広く浅く、一般大衆向けにPRしたい時に効果的です。
その一方で、フォロワーとのコミュニケーションは殆どありません。テレビ越しの距離感がそのままそこに存在し、ほとんどの場合フォロワーとの直接的なやりとりは行われないのが一般的です。そのためエンゲージメント率が低く、直接的な購買行動にはつながりにくいとされています。
以上の特徴から、認知拡大を目的とするマーケティングではとても強い力を発揮するインフルエンサーです。
パワーインフルエンサー
フォロワー数10万人以上100万人未満のインフルエンサ―のことを、パワーインフルエンサーと言います。
世間一般に知られた存在、というわけではないのですが、特定ジャンルではカリスマ的な人気があり、メディア露出や書籍出版をしている人も多くいます。
トップインフルエンサーよりリーチは低いですが一定以上の拡散力はあり、ジャンル内での影響力の大きさも魅力的です。企業案件、スタートアップ案件に向いています。
マイクロインフルエンサー
フォロワー数1万人から10万人程のインフルエンサーのことを、マイクロインフルエンサーと言います。一般人が多く、数の上でも大きくスケールダウンをするため見劣りがすると感じるかもしれませんが、マイクロインフルエンサーはジャンル特化型の人が多く、高い専門性と知識からその界隈での高い支持を得ています。そのためフォロワーへの情報の浸透力は絶大です。
また、所謂「スター」的な存在であるメガインフルエンサー、パワーインフルエンサーに比べてフォロワーとの距離も近く、エンゲージメント率も高いです。
エンゲージメント率とリーチ率のバランスがいい、費用対効果が高い階層だと言われており、最近ではトップインフルエンサーやパワーインフルエンサーではなく、あえてマイクロインフルエンサーを起用する企業が増えています。
ナノインフルエンサー
1000人以上、1万人未満のインフルエンサーのことを、ナノインフルエンサーといいます。
フォロワー数は少なく影響力が及ぶ範囲は狭いですがフォロワーとの距離は近く、より身近で、信用の出来る情報源として重宝されています。
深いところ、本当に情報を届けたい層に届くので、直接購買行動に繋がりやすいというのがナノインフルエンサーを起用する最大のメリットです。
上記の特徴からわかるように、フォロワー数が多ければ多いほど情報は広がりますが、その分フォロワーとの距離が遠く、マーケティング上重要なエンゲージメント率は下がってしまいます。
会社やサービスの認知拡大や知名度を向上させることが目的ならば、拡散力が武器であるトップインフルエンサー、消費行動を促したい場合は、狭く深く、欲しい人のところに的確に情報を届けることが出来るマイクロインフルエンサー、ナノインフルエンサーです。必ず目的に見合った人選を行いましょう。
また、インフルエンサ―は主にSNSで活動をしています。
プラットフォームごとにメインユーザー層に違いがあり、PRの手法としても向き不向き、強み弱みは存在するので、しっかりと特徴を把握しておきましょう。
代表的なプラットフォームは以下の通りです。
・Youtube
幅広い年齢層の人が利用している動画サイトです。男女差もほぼなく、テレビの代わりとして台頭してきたとても身近なプラットフォームになります。
インフルエンサーマーケティングでは動画コンテンツの制作や生配信を行います。
商品レビューやハウツー動画など、実際の「動き」を見せることに適しています。
・Instagram
写真や動画に特化した、若い女性に人気のSNSです。
美容関連、ファッションジャンルが人気で、そういったジャンルのマーケティングが盛んに行われています。ユーザーは投稿物の見栄えにも敏感なので、視覚に訴えてくるような、旅行やグルメというジャンルにも向いています。
・Tiktok
主に若者世代の支持を集める、動画共有SNSです。
近年では幅広い年齢層の人に利用されていますが、メインユーザーが若年層なためバズの発信源になることが多く、こちらで流行ったものはすぐに社会的な流行になります。
瞬発力があり購買意欲も高いユーザーは多いのですが、比較検討が必要な高額商品のPRには向いていません。メインユーザーが若年層であることを考えても、低価格帯の、カジュアルな商品が向いています。
インフルエンサーの選び方と起用方法
インフルエンサーマーケティングにおいて、キャスティングは成功の可否を決める重要な要素であり、最大の壁といわれています。ポイントは、「目的は何か」「ターゲットは誰か」「インフルエンサーの人となり」です。インフルエンサ―の選定は、以下のような流れで進めましょう。
1.施策設計
インフルエンサーマーケティングにおいて、核となる大事な部分です。
マーケティングを行う目的やターゲット層を明確にし、そのうえで目標達成値(KPI)を設定します。
また、インフルエンサーは企業の人間ではない第三者です。正しく、求める形で発信をするためにも、PRしたい商材の詳細や魅力をきちんと伝えられるだけの知識は身に着けておきましょう。
2.プラットフォームを決め、その中からインフルエンサーを選ぶ。
まず最初に、インフルエンサーマーケティングを実施するプラットフォームを決めます。
商材は何か、ターゲット層はどこか、どのようなところをPRしたいのかを十分に考慮の上決めてください。そしてそのプラットフォームで活動するインフルエンサーの中から、人材をピックアップします。
ターゲット層と同じ属性、趣味傾向のインフルエンサーを選びましょう。
また、フォロワー数、閲覧数といった数字ばかりを気にするのではなく、実際の投稿内容やフォロワーとのやりとりの様子なども確認しておきます。発言や人間性に問題はないか。過去に炎上の経験はないかなど、トラブルを回避するには「人」を見ることが大事です。
3.交渉
交渉は、SNSのDMやインフルエンサーが提示している連絡先から直接行います。
マーケティングの成功のため、後々のトラブルを防止するためにも、ここでしっかりとした認識のすり合わせをおこないましょう。
これは「すべて自社で行う場合」の過程です。
コストがかからないというメリットはあるものの、インフルエンサーの選定はとても難しく工数も多いため膨大な時間を消費します。人手や時間など、社内リソースが十分ではない場合、インフルエンサマーケティングの経験がない場合は、キャスティング会社や広告代理店へ依頼することも検討しましょう。費用はかかりますが、選定から交渉までの手間が全て省けるのはとても魅力的です。
インフルエンサーの影響力評価の指針
インフルエンサーの影響力は、フォロワー数だけでは測れません。
フォロワー数は「拡散力」をはかる基準にはなりますが、そのフォロワーが実際にコンテンツを見ているかはまた別の話だからです。
インフルエンサーの影響力を知りたい場合は以下の項目に注目しましょう。
・フォロワー数
拡散力の基準。報酬もフォロワー数に依存することが多いので、予算にも影響を与えます。
・閲覧数(再生数)
実際にそのインフルエンサーのコンテンツを見ている人の数です。フォロワーが10万人いても、毎回の閲覧数はその半分、ということはよくあります。あまりにも毎回激しく乖離している場合は、フォロワー買いなどによる水増しの可能性もあるので注意してください。
・フォロワーのアクティブユーザー率
せっかくの投稿も、フォロワーに見てもらえないと意味がありません。実際にアカウントを使用している人がどれくらいいるのか、フォロワー買いの様子はないかなどをチェックしておきましょう。
・エンゲージメント数
フォロワーをはじめとしたユーザーからのいいねやリポスト、コメントの内容を確認します。この反響が少なすぎると、マーケティングを仕掛けてもあまり成果は出ません。また、普段の投稿だけなくPR投稿に対する反応も大事です。インフルエンサーのPR投稿の質や、フォロワーの「PR」に対する温度感も大事な判断材料になります。
「アンバサダー」という言葉でパッと思い浮かぶのは「観光大使」、という方も多いのではないでしょうか。
観光大使は、アンバサダーの代表的な起用例です。
アンバサダーに選ばれるのは、その地にゆかりのある人物、あるいはその土地が好きであるということを公に公言してる人たちが殆ど。その愛着や知識を武器に、その場所の魅力を発信していくのが仕事になります。
それでは、マーケティングにおける「アンバサダー」の役割について詳しく見ていきましょう。
アンバサダーの定義
アンバサダーとは、企業やサービスの広告塔的な役割を担う人物のことを言います。
「大使」という言葉が意味するように、アンバサダーは言わばユーザーの代表です。
多くはその製品やサービスに対する熱意のあるファンの中から選ばれ、SNSメディアを通じてPR活動を行います。
アンバサダーの定義とは
その製品・サービスの、熱烈なファンであること
その製品・サービスを、自らの意思で第三者にアピールすること
大きく、ざっくり言うとこの二つだと言われています。
この二つの条件を満たせば「アンバサダー」として認められるため、起用の際にインフルエンサーのように影響力の数値について細かく問われることはありません。
ブランドや製品に対して好意的である人物に、ファンの目線からポジティブな情報を発信してもらう。これがアンバサダーマーケティングです。
アンバサダーの選び方と運用戦略
アンバサダーマーケティングで特に重要なのは、顔となるアンバサダーの選定です。
ファンの代表であり、広告塔となる人物を数字や知名度で「なんとなく」決めてしまうと、十分な効果を得られなくなるだけではなく企業のイメージを損ねる危険性があります。
それでは、どのような人物をアンバサダーとして起用するべきなのでしょうか。
アンバサダーを選ぶ上で特に重要になるのは、ブランドや商品に対する熱量です。
熱量はそのまま、積極性に現れます。
多くの場合、アンバサダーはそのブランドや製品のファンの中から選ばれます。
ユーザーとしての立場から、「ファン目線」でその魅力を積極的に発信してもらうことで、新規顧客やロイヤルカスタマーの獲得につながります。
ただ「好きだから」ではなく、「なぜ好きなのか」を伝えられるようなアンバサダーを選びましょう。
次に見ておきたいのは、人間性です。
どんなに熱意のあるファンであっても、広告塔として消費者に違和感を与えるようなことがあってはいけません。
そのため、過去の投稿を辿り、候補者のライフスタイルや趣味嗜好、信条などを知る必要があります。
それに加え、企業イメージあっているか、逆に合わない投稿はないか、不適切な発言はないか、言葉づかいなども含めて、細かくチェックしましょう。
また、他のフォロワーとのコミュニケーションも覗いているといいでしょう。
そしてどうしても大事になってくるのは、数字です。
アンバサダーマーケティングにおいて、当人の影響力の「大小」はさほど重要視されていません。しかしマーケティングを行う以上、影響力の「有無」については無視できない要素です。
予算に見合うだけのフォロワーはいるのか、彼らとのコミュニケーションの有無、エンゲージメント率は把握しておきましょう。
なお、インフルエンサーをアンバサダーとして起用する場合は、選考の基準も報酬も、インフルエンサーマーケティングに準拠します。
次に、選考方法です。
アンバサダーの選考には、自社HPやSNSで募集をする公募型、自分たちで人材を探す発掘型があります。
・公募型
アンバサダーは、自社のファンであることが重要視されます。
公式サイトやSNSを確認しているユーザーは熱量のあるファンである可能性が高く、そこで募集広告を出せば自ずと望ましい人材が集まってきます。
このような企画は話題にもなりやすく、この機会を通じてユーザーの動向や傾向を知ることが出来るというのはも大きなメリットです。
ですが、ホームページの開設やアンバサダーの選定には時間も、人材も、予算も必要になります。
工数の多さ、必要なリソースを考えると、大企業向けの方法といえるかもしれません。
・発掘型
発掘型には「ファンイベントでの発掘」「紹介キャンペーンを利用する」「SNSで探す」という方法があります。
ファンイベントを開催し、そこに来ていたユーザーの中から選ぶという方法は、公募型よりも手軽に母数を集めることができます。
紹介キャンペーンを利用した方法は、キャンペーンを通じ新規顧客を紹介してくれたユーザーに声をかけるというもので、実際に新規ユーザーを獲得出来た実績のある人に直接依頼するため、発信力の高い人を選ぶことが出来ます。
しかしイベントを利用した方法は、積極性をはかることができません。商品そのものへの愛着があっても積極的に発信をしてくれるとは限らないのです。
同様に、紹介キャンペーンを利用した選出方法も、キャンペーンで得をしたいがために紹介を繰り返す人がいます。そのため肝心の、本当の熱量がわからない、というデメリットがあります。
SNSや動画サイトで探す場合は、手間暇がかかるという点を除いて大きなデメリットはありません。製品に対する知識、普段の情報発信の頻度、実際の購入回数、投稿の雰囲気など、欲しい情報がすべて可視化されているためです。
短期、単発的な関係であるインフルエンサーマーケティングとは違い、アンバサダーとは長期的な付き合いが大前提です。そのため契約後も、継続的にコミュニケーションをとっていく必要があります。
アンバサダーの自発的な発信にばかり頼るのではなく、「アンバサダー」という肩書をいかした企画やイベントを考えていくなど、二人三脚でコンテンツを盛り上げていきましょう。
アンバサダーの役割と活動内容
アンバサダーマーケティングにおけるアンバサダーの主な活動は、SNSやメディアを通してのPRになります。
企業から消費者への直接的な広告では、ブランドとしての理念や伝えたいメッセ―ジがどうしても伝わりにくいところがあります。
ですがアンバサダーは、多くの場合ユーザーの代表であり、そのブランドの理解者です。
アンバサダーというフィルターを通して語られた言葉は、広告で述べられる表層の言葉より消費者の耳に届きます。
また、単純な商品やサービスの宣伝にも、アンバサダーは強い影響力を発揮します。
ユーザーならではの視点やアドバイス、何よりもアンバサダーが良いと強く思うポイントを発信して貰えば、宣伝感を抑えた、効果的なPRを行うことができるでしょう。
発信するばかりではなく、フィードバックもまたアンバサダーの重要な仕事です。
アンバサダー自身の意見はもちろんのこと、常にその情報を受け取っている彼らのファンの声も、企業にとってはとても重要な情報源となります。
闇雲にアンケートをばら撒くよりも有益な回答を多く集めることが出来る。これは大きなメリットです。
アンバサダーによるブランド価値の向上
アンバサダーは、依頼した商品やサービスに対し好意的な立場から、ポジティブな情報を発信します。
それも企業の用意した台本ではなく、自分の言葉で、本当に良いと思ったことを発信するため消費者の心にも響きやすく、良いイメージで伝わりやすいです。
顧客ロイヤルティの向上は、そのままブランド価値の向上に繋がります。
ブランド価値が向上すれば、選ばれる理由が「価格」ではなく「商品そのもの」に変化します。
安いからではなく、この商品ではなければならないから。そういう理由で選ばれる商品は、価格競争に呑まれることなく安定した収益を得ることができます。
アンバサダーマーケティングは、顧客ロイヤルティを高めるのに最適なマーケティング方法と言えるでしょう。
インフルエンサーとアンバサダーの違い
PRのために第三者を起用するという点では変わりがなく、「似ている」といわれる両者ですが、目的や役割に明確な違いがあります。
改めてその違いを比べてみましょう。
機能的な違い
インフルエンサーは得意とするジャンルを持ち、その知識と発信力を武器に、様々な商材を売り込みます。
そのためインフルエンサーマーケティングはフォロー数などの「数」、影響力の強さが重視されます。つまり、どれだけの人に情報を届けられるかが大事なのです。
一方アンバサダーマーケティングで重視されるのは、「商品やブランドが好きなこと」、その商材や企業のファンであることであり元々の影響力の大小はさほど問われません。
またインフルエンサ―マーケティングでは瞬発的かつ即効性のある成果を求められますが、アンバサダーは長期的に、ユーザーへのアピールを続けます。アンバサダーの目的は、商品そのものを売ることではなくあくまでも「ファンの醸成」であるからです。
マーケティング目標における違い
インフルエンサ―とアンバサダー、どちらを起用すればいいのか。それは設定をした目標により変化します。商品を売り込みたい、瞬発的な認知拡大を図りたいならばインフルエンサーを起用し、アンバサダーはブランド価値の向上やファン層との信頼関係の構築が主な目標となります。
たとえば新商品をPRするのではれば、まずその商品を知ってもらわなくてはなりません。この場合適切な選択となるのは、影響力の範囲が広く、購買行動を促しやすいインフルエンサーです。
コミュニケーションのスタイルの違い
インフルエンサーとは基本的に、一回のPRにつきいくら、といった形で契約をします。
そのため関係は短期的であり、インフルエンサーは同時期に複数の企業のPRを請け負うことも珍しくありません。
一方アンバサダーは、単発の契約ではなく期間で契約をします。1年ほどの長期契約になることが多く、基本的には競合他社との兼任などはありません。
どちらにしても密で丁寧なコミュニケーションは必要となりますが、アンバサダーはブランドのイメージを背負う上、期間が長いです。
アンバサダーマーケティングでは、インフルエンサーの商業的な関係とは対照的に、アンバサダーのモチベーション維持のため、良質なフィードバックを得るためには、相互理解を深める努力が必要になります。
影響力の持続性の違い
インフルエンサーによるマーケティングは、モノを売るという目的に対し即時的な効果が期待できる一方で影響力の持続性は低い傾向にあります。
状況や流行に流されやすく、流行の起点となるインフルエンサー自身が次々に案件をこなすため、ターゲットとなるフォロワーの印象も上書きされてしまうからです。
アンバサダーマーケティングでは、ブランド力向上という目標のために一過性の効果ではなく持続的な効果を前提とした施策を行います。また、長期にわたり連携をするため継続的なプロモーションを行うことができ、影響力を長く保つことができます。
費用対効果の観点から見た違い
インフルエンサーもアンバサーも、どちらも通常の広告に比べると費用対効果の高いマーケティング方法だと言われています。
インフルエンサーに支払う報酬の多くはフォロワー数依存であり、フォロワーの数が多ければ多いほど報酬は高額です。
ですがインフルエンサーマーケティングは設定した目標により適切なインフルエンサーが代わるため、必ずしも高額な依頼をする必要はありません。
アンバサダーは、定額報酬制、もしくは特典方式での報酬支払となります。
また、「ファンが好意でPRをしている」ということが大前提となるため、報酬が発生しないことも多いです。
特定報酬式の場合は、商品やイベント参加権などを特典とし提供する形になります。
定額報酬制の場合は、毎月一定額での報酬支払となり、その額はアンバサダーのフォロワー数により上下します。期間が長期にわたるため金額は大きくなります。しかしその分、影響力の持続性は高いです。
ぱっと見たところ、アンバサダーのほうがコストは低い、と感じるかもしれません。しかしどちらの場合でも、マーケティングを成功させるには目標に応じた人選であることが大前提です。
両者はそもそも起用の目的が違うため、どちらがいいかを費用対効果で図ることは難しいといえるでしょう
ブランド認知への影響
ブランド認知とは、そのまま、「ブランドがどれだけ深く知られているか」を示す言葉です。
企業名を知っている、商品名はわかる。その状態は「知名度はある」といえますが、事業内容や商品の用途まで知られていない場合、「認知度がある」とは言えません。
ブランド認知が低いと、商品購入の選択肢としてはどうしても弱くなってしまいます。
インフルエンサーの影響力とブランド認知
前述の通り、インフルエンサーの拡散力はフォロワー数から推し量ることができます。
数が多ければ多い程広範囲に広がりますが、情報の発信源から遠くなるとどうしても影響力自体は落ちてしまいます。
これが「名前は知っているけれど中身はわからない」状態です。
勿論、マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーを起用すれば、狭い範囲ながらも密度の高いマーケティングが可能になります。
しかしインフルエンサーマーケティングは短期的、単発でのプロモーションが基本のため、効果も一時的です。
インフルエンサーの役割は、端的に言うと「商品を売ること」です。
「ブランドを知ってもらう」「選んでもらうブランドになる」ことを目標とする場合、大きな効果は期待できません。
アンバサダーの長期的なブランド認知効果
アンバサダーマーケティングでは長期間に渡り、ブランドの魅力を発信します。
新規顧客の獲得ばかりではなく、元々の商品のユーザーもマーケティングの対象です。
一時的な流行りや気分ではなく、「これしかない」と思ってもらえるような、ロイヤルティの高いユーザーを増やすことが目標となります。
深く知ってもらうには、それだけの時間が必要です。
時間の限られたインフルエンサーマーケティングでは「商品」をアピールすることはできても、なかなか「その大元」であるブランドの言葉を伝えることはできません。
それらは商品購入にあたって必ずしも必要な情報ではありませんが、「特別」を作るためのピースのひとつでもあります。
企業のホームページを見るだけでは上滑りしがしな言葉を、ユーザーがユーザーに伝え、広めることが出来る。企業とユーザーを繋げるのが、アンバサダーの役目です。
マーケティングの効果分析は、設定した目標によってみるべき項目、成否の判定が変わってきます。インフルエンサーマーケティングとアンバサダーマーケティングにおいても、施策内容自体は似ていても目標が違うため注意が必要です。
それぞれのチェックポイントを見てみましょう。
・インフルエンサーマーケティング
1.どれだけの人に届いたか
これはフォロワー数の変化だったり、PR投稿の閲覧数で見ることができます。
2.エンゲージメント率
PR投稿に対するフォロワーの反応です。
エンゲージメント率は
(いいね+コメント+シェア) ÷ フォロワー数 × 100 で計算することができます。
3.最終的な売上
その投稿からどれだけの人が購入に至ったか。キャンペーンがどれくらいの売上を生み出したか
4.ブランドの認知度がどれだけ向上したか
オンラインアンケートや、SNSでのブランドに対する言及の数などで確認します。
5.費用対効果
施策に費やしたこすとに対する効果(利益)です
・アンバサダーマーケティング
1.ブランドロイヤリティの変化
ブランドロイヤリティはNPS、DWBという数値を用い測定することができます。
NPSは「このブランドを人に紹介したいかどうか」DWBは「その商品を購入しかいどうか」を数値化した指標で、測定方法はアンケートです。キャンペーン実施前、実施後で数値の変化を図ります。
2.認知度が向上したか
長期に渡るキャンペーン期間の中で、一定期間ごとに、継続的に測定します。
3.エンゲージメントの質の変化
インフルエンサーマーケティングではいいねやコメントの数を重視しますが、アンバサダーマーケティングではコメントやシェアなど、感情的な繋がりを感じる反応を分析します。
4,顧客維持率
アンバサダーマーケティングでは長期的なプロモーションが行われるため、リピート購入や顧客維持の率の測定が可能です。
5.長期的な費用対効果
施策に費やしたこすとに対する効果(利益)を、数か月から年単位で評価します。
それぞれのデメリットと対策
フォロワー数、投稿内容、フォロワーの属性等気にするべきポイントが多く、十分な効果を得るためにはそれらすべてでベストの選択をしなければならないためある程度の慣れと、社内リソースを必要とします。
ステルスマーケティングを疑われやすく、炎上リスクがあるというのも大きなネックです。
アンバサダーマーケティングでもデメリットの面では似通っており、インフルエンサー同様、アンバサダーの選定はとても難しく手間のかかる作業です。
たとえ候補者がもともとのファンであっても、その人に情報を発信する意欲や能力があるとは限りません。
またアンバサダーのモチベーション維持の難しさも大きなデメリットです。
アンバサダーの選定基準の一つである「好意」の波は一定ではありません。熱量が下がってしまうとプロモーションの質や更新の頻度に影響を及ぼします。
適切な選択をするために
キャンペーンの目的に基づく選択指針
瞬発的な「拡散」、「売り上げ」が欲しいのであればインフルエンサーに。
長い目で見て、ファン(リピーター)の創造を目的とするならばアンバサダーに依頼をするのがベストであり、逆はありません。
むしろインフルエンサーとアンバサダーは、活動内容こそ類似していますが片方の不得意を得意とするような、対照的な関係になります。
キャンペーンを行う目的は何か。これまず最初に、はっきりと決めおくこと。
そして最後までブレずにやり通すことが大切です。
特にアンバサダーマーケティングは長期間継続的に行われます。目的がブレてしまうと正しい効果測定が出来ず、キャンペーンの失敗やアンバサダーのモチベーションの低下に繋がるので注意してください。
成功するためのインフルエンサーとアンバサダーの組み合わせ
インフルエンサーとアンバサダー。役割の違う両者を合わせることで、大きな効果を生み出すことも可能です。
インフルエンサ―をアンバサダーとして起用することが出来れば簡単ですが、ただでさえ人選が難しいとされるアンバサダーに数字という条件を付けてしまうと、更に選定が難しくなってしまいます。
それならば、インフルエンサーとアンバサダーを両方、起用するのも有効な手段です。
インフルエンサーで多くの人の目を惹きつけ、商品を購入してもらう。
その後アンバサダーを起用し、ブランドの価値や信用性をユーザーにPRし続ける。という方法です。
インフルエンサーの爆発力とアンバサダーの浸透力を利用し、インフルエンサーの起こしたブームをアンバサダー補強する形になります。
この戦略を成功させるには、両者の役割と目標をきっちりとわけることと、PRを仕掛けるタイミングが重要です。
役割が違うからこそ、相乗効果が生まれる。それをしっかりと意識し、それぞれが最大の効果を発揮できるよう施策をまとめていきましょう。
まとめ
インフルエンサーとアンバサダーは、どちらが良いという考え方ではなくマーケティングの目標によって使い分けます。
そしてその人選もまた、有名であることが全てではありません。
数字として目に見える指標以外の要素が判断基準に含まれるため扱いが難しい手法ではありますが、上手く運用することができれば絶大な効果を発揮します。
その特性の違いをしっかりと理解し、マーケティングを成功させましょう。
弊社はインフルエンサーマーケティング会社と提携しており、キャスティングから企画立案、マネジメントや効果測定など一括代行が可能です。
小規模な会社でも、訴求力の高いインフルエンサーとのマッチングを実現し、地域との親和性が高いインフルエンサーマーケティングをご提案いたします。
インフルエンサーマーケティングに興味がある方はもちろん、他のマーケティング手法に取り組みたい、現在の運用を改善したいという方も、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
WRITER / koma 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |