コネクテッドTVとは?広告出稿のメリットや種類、急成長の市場規模を解説
現在販売されているほとんどのテレビ端末が、インターネットに接続可能なコネクテッドTVとなっており、テレビ番組の視聴時間と反比例して動画配信サービスの視聴時間は年々増加しています。
また、動画配信サービスの種類も10年前と比べてかなり増えており、市場も拡大を続けていることから、コネクテッドTV広告の有効性に注目が集まっています。
そこで今回は、コネクテッドTV広告のメリットや種類、市場規模について解説していきたいと思います。
目次 コネクテッドTV広告の市場規模コネクテッドTV広告のメリット コネクテッドTV広告の種類 |
コネクテッドTVとは
コネクテッドTVとは、インターネットに接続されたテレビ端末のことを指し、動画や音楽のストリーミング、WEBサイトの閲覧などに利用されます。
2007年頃からインターネット接続に対応しているテレビ端末はあったものの普及率は低く、ほとんどの家庭でテレビは地上波・衛星放送番組の視聴やゲームをするためだけの役割でした。
その後、インターネットの普及と高速化で動画配信サービスの利用が拡大し、さらにコロナ禍の外出自粛によって家族でテレビを視聴する機会が増加。テレビ端末で見たいコンテンツをいつでも視聴できるコネクテッドTVの需要が激増しました。
現在販売されているほとんどのテレビ端末がインターネットに接続可能なスマートテレビとなったことで多くのユーザーがコネクテッドTVを利用できるようになり、普及率も一気に上昇しています。
コネクテッドTVの仕組み
コネクテッドTVにしてコンテンツを視聴するには以下の3つの方法があります。
- スマートテレビで接続する。
- Amazon Fire TV StickやGoogle Chromecastなどのストリーミングデバイスを介して接続する。
- ゲーム機やブルーレイプレイヤーを介して接続する。
最も手っ取り早いのはスマートテレビで接続する方法ですが、スマートテレビを持っていなくても、ストリーミングデバイスを購入したり、ゲーム機やブルーレイプレイヤーを持っていれば費用を抑えながらコネクテッドTVとして利用できます。
コネクテッドTVの普及率
アメリカでは2007年にNetflixが動画配信サービスを開始したのをきっかけに急速にコネクテッドTVの普及が進み、今や87%の世帯がスマートテレビやストリーミングデバイスなどのコネクテッドTVデバイスを所有しています。
参照:CTV device ownership at all-time-high in US|Digital TV
日本では2015年にNetflixとAmazonプライムビデオがサービスを開始して以降、少しずつコネクテッドTVの普及が進み、スマートテレビの普及率は18.0%(2016年)から32.7%(2021年)になり、ストリーミングデバイスの普及率は8.9%(2016年)から33.7%(2023年)まで上昇しています。
参照:コネクテッドTV及び動画配信サービス等に関する実態調査報告書(概要)|公正取引委員会
コネクテッドTVの存在感が増したのは、やはりおうち時間増加の影響が大きいと言えますが、テレビの大画面であらゆるコンテンツを視聴できるコネクテッドTVの利便性を体感してしまった以上、コロナ禍が明けた今後もユーザー数が減る可能性は低く、増加を続けていくと見られます。
コネクテッドTV広告の市場規模
コネクテッドTV広告とは、コネクテッドTVで視聴しているコンテンツの前後や途中に配信されるデジタル広告のことです。
近年のコネクテッドTVの利用増加によってコネクテッドTV広告の市場規模も拡大しています。
コネクテッドTV広告市場は今後も拡大の見通し
2020年から2025年までを対象に国内コネクテッドテレビ広告市場の推計・予測を行った調査(2022年発表)によると、新型コロナの影響で2020年から2021年にかけて前年比337%と驚異的な伸びを見せています。
その後、伸び率は落ち着いてきていますが、依然として市場は拡大を続けています。2020年と2025年(予測)を比べると、1593億円の増加となり、コネクテッドTV広告市場がこの5年でどれだけ成長を遂げたのかがうかがえます。
引用:SMN、国内コネクテッドテレビ広告市場調査を発表~2021年のコネクテッドテレビ広告市場は前年比約3.4倍の344億円、2025年は1,695億円に成長~|SMN
WEB広告というと、従来はスマートフォンやPCなどの小さい画面に表示されるものをひとりで見ることが多い広告でした。
しかし、コネクテッドTV広告は大きな画面を通した情報の伝達によるわかりやすさやインパクトの強さ、ひとりではなく複数人で視聴する機会の多さなど、これまでのWEB広告にはなかった強みを持つ効果的な宣伝媒体として注目を集めています。
コネクテッドTV広告のメリット
コネクテッドTV広告には以下のようなメリットがあります。
広告をスキップされにくい
スマートフォンやPCなどの小さな画面で個人でコンテンツを見ている場合はコンテンツを見ることだけに集中していることが多いため、すぐに続きを見たくなり、間に挟まれる広告に不快感を感じやすくなります。
一方、コネクテッドTVはスマートフォンやPCよりも画面が大きく、リビングなどのみんなが集まる場所にあることが多いため、1人ではなく家族や友だちなど誰かと一緒に見る機会が増えます。また、食事や家事など何かをしながら視聴されることも多く、長時間の視聴にもつながります。
テレビのこのような性質が、ユーザーと広告の接触機会を増やしつつも不快感を与えにくい構造を作り、認知拡大に貢献してくれるのです。
ターゲティングが可能
WEB広告はユーザーの属性や興味関心、行動履歴などから、より自社に興味を持ってくれそうなユーザーに配信を絞り、費用対効果を高めるためのターゲティングが可能です。
コネクテッドTVでもターゲティングが可能であり、関連性の高いユーザーに向けて広告を配信することができます。
しかし、通常のWEB広告のようにユーザーの属性や興味関心を細かく分析してくれる機能はないため、TVerなどの動画配信サービスが保有しているファーストパーティデータを提供してもらう必要があります。
求めているデータを保有している企業を選定し、入手したデータをもとにユーザーの属性や好きなジャンルや視聴時間帯を把握して広告の内容や配信する時間帯を検討できます。
テレビ番組を見ないユーザーにアプローチできる
2000年に入ってからテレビ離れが進み、現在は特に10~30代の若い世代においてテレビ番組よりも動画配信サービスを視聴する時間の方が長くなっています。
参照:第1回メディア消費者行動調査|ボストンコンサルティンググループ
テレビCMだけではテレビ番組を見ない層に認知してもらえませんが、コネクテッドTV広告を活用すればテレビを見ない層にもアプローチを図ることができ、多くの人々に自社の商品を知ってもらえます。
また、テレビCMは制作に数百万円かかりますが、コネクテッドTV広告は主にインプレッション課金(広告が1000回表示された場合に課金される)のため、テレビCMよりも低コストで運用できる点もメリットです。
ビュースルーコンバージョンが期待できる
コネクテッドTV広告は、テレビを視聴している際に気になる広告があればすぐにスマートフォンで検索してもらえます。
よって、直接広告をクリックされなかったとしても指名検索が増えたり、他のルートからアクセスされてコンバージョンに至るビュースルーコンバージョンが起きやすくなり、集客やコンバージョンの増加が期待できるでしょう。
リアルタイムで効果測定が可能
コネクテッドTV広告は、WEB広告と同様に広告配信の効果をリアルタイムで確認することができるため、効果が出なければ配信設定を変更することが可能です。
効果のないものをいつまでも続けていては競合に後れをとってしまうため、スピーディーな効果測定と柔軟な対応がカギとなります。
また、複数のデバイスを横断的に計測できるため、スマートフォンやPCでも配信している広告キャンペーンの結果と合わせて最適な戦略構築が可能です。
想定よりも若年層に多く視聴されていたり、特定のジャンルに興味のあるユーザーのコンバージョンが多かったりと、レポートを通して現状を知ることでより良いクリエイティブの制作や設定の最適化が図れます。
コネクテッドTV広告の種類
コネクテッドTV広告は、大きく分けると以下の3種類があります。
インストリーム広告
インストリーム広告とは本編動画の再生前後や途中に流れる動画広告のことで、コネクテッドTV広告の中で最もスタンダードなフォーマットです。
配信されるタイミングによって3種類に分けられます。
- プレロール広告・・・動画が始まる前に再生される。本編動画を見るために視聴してもらいやすい。
- ミッドロール広告・・・動画配信途中に再生される。本編の続きが見たいユーザーは離脱する可能性が低い。
- ポストロール広告・・・動画終了後に再生される。WEBサイトへのリンクボタンを設置でき、最もコンバージョンにつながりやすい。
また、スキップできるスキッパブル広告と、スキップできないノンスキッパブル広告がありますが、いずれにしても冒頭でインパクトを与え、何の広告で何を伝えたいのかをわかりやすく表現する必要があります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、バナー形式で専用の広告枠に表示される広告です。例えば、YouTubeのデフォルト表示で動画を再生する場合、右上に表示されるバナー広告がディスプレイ広告です。
テキストや画像だけでなく動画で作成することもでき、商材やターゲットによって幅広い表現方法が可能です。
また、視聴を邪魔するわけではありませんが、視聴しているコンテンツ近くの目に付く位置に表示されるため、自然と印象に残りやすくなります。
インタラクティブ広告
インタラクティブ広告とは、一方的な広告表示ではなく双方向のやり取りが可能な動画広告です。例えば、動画内に商品ページに遷移するボタンや企業SNSに遷移するボタン、QRコードなどを設置し、クリックしてもらうことでユーザーの知りたい情報を提供できるという仕組みです。
今のところ出稿できる媒体は限られていますが、強制的に広告を見せられている不快感を抑え、ユーザーの能動的なアクションを促せるインタラクティブ広告はエンゲージメントの獲得に貢献してくれるでしょう。
コネクテッドTV広告に効果的な媒体
ここまでの解説で、今後の広告活用におけるコネクテッドTV広告の有効性の高さがわかったかと思いますが、ここではコネクテッドTV広告に効果的な媒体をご紹介します。
TVer
TVerは、民放のテレビ局がひとつになり、各局で放送されている800番組のコンテンツをすべて無料で視聴できるプラットフォームです。アプリダウンロード数は6,354万(2023年7月)、認知率は69.9%(2023年4月)と、サービス開始以来順調に利用率を伸ばしています。
参照:TVerの現状~サービスの現状と課題~|株式会社TVer
TVerは最初にアンケート(性別・年齢・郵便番号・興味関心カテゴリ等)に答える必要があるため、ユーザーが直接回答した正確性の高いデータをもとに高精度のターゲティングが可能です。2人以上で視聴する割合や広告の視聴完了率も高く、コネクテッドTV広告との相性は抜群と言えます。
また、民放で放送されている番組に流れるため、ブランドセーフティガイドラインに則った安心・安全なコンテンツにのみ広告が配信され、途中で広告が表示されることに対して嫌悪感を抱かれにくいというメリットがあります。
YouTube
YouTubeは、Googleが運営する世界最大の動画共有プラットフォームです。国内の月間アクティブユーザーは7,120万人と、LINEの次にユーザー数が多いSNSであり、幅広い年代で利用されています。
有名人や企業だけでなく一般人もアカウントを作ることができ、投稿・視聴ができる手軽さが魅力ですが、その手軽さゆえにスマートフォンやPCで視聴している場合にはスキップされやすいのも事実です。
しかし、コネクテッドTVでの視聴であれば、ながら視聴や複数人での視聴が起こりやすくなり、スキップされにくくなります。YouTubeの圧倒的なユーザー数や偏りのない年齢層という強みと、コネクテッドTVのスキップされにくい強みが合わさることで広告効果の倍増が期待できるでしょう。
まとめ
今回は、コネクテッドTV広告についてご紹介しました。
コネクテッドTV広告は、WEB広告とテレビCMの強みが重なり合い、認知拡大やコンバージョン・エンゲージメントの獲得が期待できる広告媒体です。
コネクテッドTVの普及率も動画配信サービスの利用率も今後さらなる成長が予想されているため、広告を出稿できる媒体が増えていけば自社に最適な媒体を選定でき、費用対効果の高い広告運用が行えるでしょう。
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WRITER / HUM 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |