海外SEOとは?対策の重要性と成功させるポイント
昨年の入国規制緩和以降、観光業にも活気が戻り、インバウンド客も増加し続けています。また、世界中のデジタル化が進む中でグローバル市場に目を向け、海外ビジネスを展開する企業も着実に増えています。
日本ではビジネスで成功するためにSEO対策が重要な位置づけを占めていますが、海外ビジネスにおいてもSEO対策は欠かせません。しかし、海外SEOについて何の知識もなく、日本のSEOとすべて同じように実施していても成果は期待できません。
そこで今回は、海外SEOの概要からメリット、成功させるポイントについて解説していきたいと思います。
目次 |
海外SEOとは
海外SEOとは、海外の検索ユーザーに向けてWEBサイトを最適化することを指します。
私たちが普段行っているSEO対策では、日本のユーザーがより使いやすいようにサイトを構築したり、有益な情報を得られるように質の高いコンテンツ作りを行っています。
海外SEOは、海外のユーザーにとっても使いやすいサイト構造を設計し、有益な情報を提供することで海外ユーザーの流入も増やそうというものです。
日本のユーザーのみをターゲットとしている企業にとって海外SEOは必要ないものですが、海外への展開を考えている企業にとって海外SEOは必須項目となります。
日本のユーザーが大半だからといって日本語のみの日本人向けに最適化されたページしか用意されていなければ、海外ユーザーからはいつまでたっても認知してもらえません。
海外のユーザーにも自社の商品やサービスを知ってもらい、利用してもらうためには、各国で主流の検索エンジン向けにサイトを最適化する必要があります。
海外SEOがうまくいけば、海外ユーザーが検索した際も上位に表示されるようになり、流入増加、認知拡大が期待できるというわけです。
国・地域別検索エンジンシェア率
StatCounterで見てみると、2023年5月時点の国・地域別の検索エンジンシェア率は以下のような結果になっています。
1位 | 2位 | 3位 | |
日本 | Google (77%) | Yahoo! (13.93%) | bing (8.02%) |
アメリカ | Google (89.11%) | bing (6.35%) | Yahoo! (2.23%) |
ヨーロッパ | Google (93.15%) | bing (3.02%) | YANDEX (1.8%) |
ロシア | YANDEX (59.34%) | Google (39.15%) | bing (0.82%) |
中国 | Baidu (56.39%) | bing (19.09%) | Sogou (10.85%) |
韓国 | Google (60.82%) | Naver (33.9%) | bing (2.53%) |
日本やアメリカ、ヨーロッパではGoogleが非常に高いシェア率を誇っているため、GoogleをメインにSEO対策する必要があります。
対して、ロシアではYANDEXのシェア率が最も高く、韓国ではGoogleが1位となっているものの、Naverも一定のシェアを持っているため、Googleのみの対策では不十分です。
また、中国ではGoogleのシェア率が低く、Baiduのシェア率が最も高くなっているため、GoogleではなくBaiduをメインにSEO対策を行わなければなりません。
このように、国や地域によってメインで利用されている検索エンジンは異なるため、その地域でシェア率の高い検索エンジン向けにSEO対策を行うことで上位表示に近づきます。
海外SEOで重要な考え方
海外SEOで重要なのは、通常のSEOと同様にユーザーが求めているコンテンツを提供し、満足させることです。
海外ユーザー向けに最適化するというなら、現在提供しているコンテンツをただ翻訳すればいいのでは?と思うかもしれませんが、まずはユーザーが求めていることに応えるコンテンツ作りを第一に考えなければなりません。
海外ユーザーに満足してもらえることを意識して翻訳した文章と、ただ機械翻訳で直訳した文章では、どちらが有益なコンテンツであるか一目瞭然ですよね。機械翻訳で直訳した文章は現地のユーザーにとっては読みにくい文章になってしまうため、ユーザーにとって有益なコンテンツとは言えません。
また、日本と海外では感覚が異なるため、ユーザーが有益だと感じるコンテンツにも差が出てきます。
従って、海外SEOでは、各国で主流の検索エンジンで上位表示されているWEBサイトを参考にしながら、どんなコンテンツが評価されるのか分析を行ったうえでコンテンツを作成する必要があります。
海外ユーザーにも満足してもらえるように、有益で質の高いコンテンツの提供に努めましょう。
海外SEOのメリット
ここでは、海外SEOに取り組むメリットを紹介します。
検索流入が増え、安定した集客が見込める
海外SEOに取り組む最大のメリットは、検索流入が増え、安定した集客が見込めることです。
SEOは、取り組んですぐに効果が出るわけではなく、改善を繰り返し、コンテンツを蓄積していくことで徐々に効果が表れ、検索順位も上昇していきます。
海外には日本の何倍ものユーザーが存在しているため、検索エンジンで上位表示させることができれば自社に興味を持ってくれるかもしれない多くの潜在顧客を掘り起こすことができます。
SEOを実施して一度上位表示されれば長く維持される傾向にあるため、高い広告費をかけて集客せずとも長期的に安定した自社サイトへの検索流入が維持できます。さらに、検索流入が増えれば自社の商品やサービスが海外ユーザーに広く認知され、コンバージョン率も向上します。
海外SEOは膨大な規模の市場に対してアプローチを図り、安定した集客を見込める施策と言えます。
日本にいながら海外へのブランディングが可能
海外でプロモーションを行うには、直接海外に出向いたり、海外企業とのやり取りが必須となります。
一方で、海外SEOで上位表示させることができれば、海外ユーザーの目に留まることが増え、認知される可能性が高まります。
また、上位表示されるということは、ユーザーが求めていることに応えている質の高いコンテンツということであり、信頼性も高まるため、ブランド価値が上昇します。
つまり、海外企業とやり取りする手間をかけることなく、日本にいながら海外へのブランディングが可能になるのです。
海外SEOのデメリット
海外SEOには大きなメリットがある一方で、「コストがかかる」というデメリットもあります。
海外SEOを実施する際には、言語ごとにページを作成する必要があるため、サイト制作の時間やサーバー代がかかり、コンテンツを翻訳するための時間や人件費もかかります。
長期的にSEOに取り組むにあたって、最初は運用可能であっても、リソースの面でどんどん苦しくなっていくことも考えられます。
このような事態を防ぐためにも、最初はターゲットとする地域を絞り、海外SEOに必要なコストを最小限に抑えた運用を行いましょう。そうして成果が安定するようになってから少しずつ対象地域を拡大していくことで無駄に費用をかけることなく効果的な運用が可能になります。
海外SEO対策のポイント
ここからは、海外SEO対策を実施する際に気を付けるべきポイントについて紹介します。
質の高いコンテンツ作り
海外SEOにおいて最も重要なことは質の高いコンテンツ作りです。
後述するネイティブによる翻訳や国ごとのキーワード選定もすべて質の高いコンテンツ作りにつながります。
ターゲットユーザーが求めていることに応えていないコンテンツは、いくら翻訳が素晴らしくても質の高いコンテンツとは言えず、上位表示の可能性も遠のきます。
日本のSEOと同じようにペルソナを設定し、自社はどんな解決策を提供できるのかを考え、海外の検索エンジンで上位表示されているサイトを参考にしながらキーワード選定やコンテンツ設計を行いましょう。
効果測定も怠らずに繰り返し行い、コンテンツをブラッシュアップしていくことで質の高いコンテンツを創出できるようになります。
ネイティブな人材による翻訳
最近は機械翻訳の精度も向上していますが、やはり機械翻訳では直訳となり意味が通じないこともあるため、ネイティブの人材に翻訳してもらうことをおすすめします。
例えば、WEBサイトを見ていてわからない英語の文章があった場合、Google翻訳などの翻訳機能を利用すると思いますが、自然な日本語で翻訳されることは少ないですよね。
機械翻訳を使っても現地の人にとっては読みにくい文章になってしまい、ユーザーからの評価も検索エンジンからも高い評価を得ることはできません。
ユーザーに価値のある検索体験をしてもらうためにも、ネイティブの人材に翻訳してもらい、ユーザーと検索エンジン双方にとって読みやすいコンテンツを作成しましょう。
国ごとのキーワード選定
海外SEOでは、日本のSEOと同様に検索キーワードの選定が重要です。
しかし、日本のユーザーが検索するキーワードと海外のユーザーが検索するキーワードは異なるため、海外ユーザーがどんなキーワードで検索をかけているのか、海外の競合がどんなキーワードを選んでいるのかをリサーチする必要があります。
ちょっとしたニュアンスの違いで検索結果が大きく変わってしまうため、自社の商品やサービスはどんなキーワードを使えば正確に表すことができるのか、細かく調べましょう。
また、表示される検索結果は言語と位置にも影響されるため、国や言語ごとに検索ボリュームや検索順位を調査できるUbersuggestなどのツールを利用することをおすすめします。
言語ごとにURLを変える
海外SEOでは、言語ごとにURLを変える必要があります。
ひとつのドメインの中に複数の言語を含んだページが混在していると、どの国を対象に発信しているサイトなのか検索エンジンが判断しにくくなってしまいます。ユーザー側もどのページを見ればいいのかわからず混乱してしまうでしょう。
そこで、言語ごとにURLを変えることで、このページはアメリカユーザー向け、このページは中国ユーザー向けと判断しやすくなり、ユーザビリティも上がるため、サイト全体のSEO評価が高まります。
URLの設定には以下の3つの方法があります。
ドメインの変更
「○○○○.us」「○○○○.cn」のように、国別コードトップレベルドメインを取得し、言語ごとにドメインを変更する方法です。信頼性が高く対象地域の検索エンジンで上位表示を狙いやすいですが、現地に法人がないと取得できないドメインとなります。
サブドメインの変更
「en.○○○○.com」「cn.○○○○.com」のように、文字の先頭に国や言語を表す文字をつける形です。国別にサーバーを契約することになるため、表示スピードが速くユーザービリティが上がりますが、展開する国の数だけサーバー代がかかることはデメリットと言えます。
サブディレクトリの変更
「○○○○.com/en/」「○○○○.com/cn/」のように、取得したドメイン内にフォルダを作って分ける形です。この形の場合、同じサイト内のものとして扱われ、これまでに日本で蓄積したドメインパワーを引き継ぐことができますが、ひとつのサーバーを使用するため表示スピードが遅くなる可能性もあります。
現地のサーバーを使う
海外SEOを実施する際は、どこの国のサーバーを使うかも重視しましょう。
海外SEOでは、特定の国向けに作られたWEBサイトで使われているサーバーが、その国のサーバーであるか否かによって検索エンジンからの評価が変わってしまいます。
例えば、アメリカ向けに作ったサイトであれば、日本のサーバーを使うよりもアメリカのサーバーを使った方が表示スピードが速くなり、SEO評価も高まります。
または、AWS(Amazon Web Services)など多くの地域で利用されているサーバーを使うことで、世界中のいろんな場所からアクセスされても速いスピードで表示させることができ、SEOに不利にならずに運用することが可能です。
lang属性を設定する
海外SEOでは、対象国や言語に向けたページであることを示さなければ、全く別の国向けのページが表示されることがあります。
そのため、サイトのコーディングを行う際はlang属性を設定しましょう。
例えば、ロシア語であれば以下のようなタグを設定することで、検索エンジンにロシアに向けたサイトであることを伝えることができます。
<link rel="alternate" hreflang="ru" href="サイトURL" /> |
また、インドは公用語であるヒンディー語以外に英語の使用率も高いですが、ひとつの国の中で複数の言語が使われている場合は下記のように「言語-国」の設定を行い、それぞれに対応するページを作成しましょう。
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まとめ
今回は、海外SEOについて紹介しましたが、いかがでしたか?
海外SEOで評価されるためには、日本向けに作られたコンテンツをそのまま訳して発信するのではなく、海外ユーザーが求めていることに応えるコンテンツを作ることが何より重要です。
言語ごとのサイト制作は手間がかかりますが、リーチの増加や認知拡大を図るためにも海外SEOに取り組み、グローバル市場でのビジネスを成功させましょう。
弊社では、SEO内部対策、外部対策、コンテンツSEOすべてに精通しており、包括的なサポートが可能です。
お客様の事業、要望などをヒアリングしながら、事前調査、サイト構築、キーワード選定、コンテンツ作成、効果測定までワンストップで承ります。
本格的にSEO対策に取り組みたい方は、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
WRITER / HUM 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |