SGEとは？Googleの新しい検索体験はSEOにどう影響するのか

みなさんはGoogleが開発したSGEというサービスをご存知でしょうか。

2023年5月に米国で発表され、新しい検索エンジンとして注目を集めているSGEは日本でも同年8月に試験運用が始まっており、SEO担当者であればぜひ知っておきたい機能です。

そこで今回は、SGEの概要からSEOへの影響や今後の展開について紹介していきたいと思います。

SGEとは

SGEとは、「Search Generative Experience」の略称で、ユーザーの検索に対してAIが最適な回答を生成し、検索結果のトップに表示する機能を指します。アメリカでは2023年5月、日本では2023年8月に試験運用が開始されました。

例えば、「腹筋を鍛えるために最適な食事法と筋トレ法を知りたい」と思った時、通常のGoogle検索であれば「腹筋　食事」「腹筋　筋トレ」などと複数回に分けて検索をかけると思います。

しかし、SGEでは複数の要素が混ざった複雑な質問にも答えてくれるため、「腹筋を鍛えるための食事法と筋トレ法」と文章で検索をかけることができ、AIが食事法と筋トレ法について1度に回答してくれます。

さらに追加で検索をかけたいときは、そのまま聞きたいことを検索欄に入力すれば、SGEが以前の検索内容を踏まえたうえで回答してくれます。

しかし、あくまでも試験運用であるため回答の精度はまだ不安定と言えます。試験運用期間中に学習していくことで精度の向上が期待されるため、現在はSGEの回答を完全に信用するのではなく、ひとつの参考資料として他の情報と併せて活用していくことが重要です。

SGE導入の背景

今回GoogleがSGEを導入した背景には、下記のような意図があるようです。

引用：生成AIによる検索体験（SGE）のご紹介｜Google Japan Blog

忙しい現代人にとって、情報を取得するまでにかけられる時間はどんどん減っており、一分一秒でも早くニーズを満たす回答を得たいと思っています。

そこで、複数回に分けて検索しなければならないような疑問や質問でも、一度の検索で回答を得ることができるようになれば、多くのユーザーの検索体験価値が向上するでしょう。

SGEはユーザーの手間を最小限に抑えながらスピーディーな理解を促し、効率的なニーズの解消に大いに役立つツールとして期待されているのです。

SGEの機能

検索エンジンとAIの融合ということで注目を集めるSGEですが、どんな機能が搭載されているのでしょうか。

基本的に回答の生成機能以外は日本では未対応の機能になりますが、将来的に導入される可能性もあるためご紹介していきます。

回答を生成し検索結果トップに表示

SGEで検索をかけると検索結果のトップにAIの回答が表示されます。

下の画像では、「3 歳未満の子供と犬がいる家族には、ブライス キャニオンとアーチではどちらが良いですか？」と質問していますが、通常は両方を個別に検索し、さらに幼い子供や犬と一緒に歩けそうか、画像や体験談などを調べるかと思います。

一方、SGEでは上記の質問をそのまま入力することで、ユーザー側が知りたい複数の情報を含んだ回答が一般のコンテンツよりも上部に表示されます。

いちいち自分でコンテンツを探さずともSGEによって最適な答えをすぐに提供してもらえるため、情報収集にかかる時間を短縮できます。

SGEの回答は特定の記事から引用した文章ではなくAIが生成した文章であるため、引用元として特定の記事が紹介されることはありません。

その代わり、関連性が高いコンテンツが表示されるため、クリックすることでより深掘った内容が表示されます。

出典：Supercharging Search with generative AI

理想の商品を最短距離で見つけられる

SGEを利用すると、ショッピングにかかる時間も短縮されます。

何か特定の商品を買いたいと思ったとき、通常はECサイトを訪問したり、「○○　おすすめ」などと検索をかけますよね。複数のサイトにまたがって比較検討することもあるかと思います。

一方、SGEでは「登山用の滑りにくい靴」など、どんな商品を探しているのか入力することで350億を超える世界中の商品データが保存されているGoogleのショッピンググラフに基づいて、理想に近いものをリストアップしてくれます。

商品名、画像、値段、評価、特徴などが表示され、ユーザーがショッピングをする際に重視する点が一覧で確認できます。よってSGEでは「商品を探す」という行為にかかる時間が大幅に短縮されます。

商品情報は常に変化していくため、このリストは1時間ごとに更新されるようになっており、いつでも新鮮な情報を得ることが可能です。

下の画像では、坂道通勤に最適な自転車を探しているユーザーに、SGEがニーズに沿う商品を紹介しています。途中で赤い電動自転車と指定すると、条件に見合うものを絞り込んで紹介してくれます。

SGEは会話形式の検索が可能なため、以前の検索内容を前提に商品をリストアップしてくれます。ここから「1000ドル以下」「評価4.0以上」など、どんどん追加で絞り込むことで理想の自転車を最短距離で見つけることができるでしょう。

出典：Supercharging Search with generative AI

ローカル検索がもっと便利に

SGEによってローカル検索がもっと便利になります。

下の画像は、SGEで「大人数に適した近くの2つのランチスポットを比較して」という指示を行い表示された回答です。検索をかけたユーザーがいる場所に近い店で人気のある2つの店をピックアップして紹介しています。

画像やWEBサイトのURL、実際に行ったユーザーのレビューまで一覧で見て検討することができます。写真やレビューの情報はGoogleビジネスプロフィールから引用され、ユーザーの疑問を解決してくれるようなレビューを表示してくれます。

「小麦を使わない料理はあるか」「離乳食メニューはあるか」など、詳しく調べなければわからないような情報も一発で表示してくれる点もSGEの大きなメリットと言えるでしょう。

出典：A look at what’s next for AI and Google Search | Google I/O 2023

 新しい検索体験「Perspectives」

SGEには「Perspectives（視点）」という機能があり、他の人々の様々な視点を知ることができるようになっています。

検索エンジンで検索をかけると、一番上に「ニュース」「画像」「動画」などのフィルターが表示されますが、SGEでは新たに「Perspectives」というフィルターが追加されます。Perspectivesでは、検索キーワードに関連する掲示板、Q&Aサイト、SNSで共有された動画、画像、投稿が表示されます。

特定のニュースについて他の人はどう考えているのか、ある問題について他の人はどう乗り越えたのかなど、ユーザーは他の人の視点を吸収し、解決するためのヒントを得ることができます。

SGEにおいてPerspectivesは実際の経験や高い専門知識に基づいたコンテンツを重視し、価値ある情報を提供する機能としてユーザーをサポートします。

参考：Learn from others’ experiences with more perspectives on Search

画像生成でアイデアを形にしてくれる

SGEは画像生成機能も搭載しています。

頭の中で思い描いている画像がなかなか見つからないときや、何か新しいクリエイティブのヒントをもらいたいときなど、SGEの画像生成機能を使えばイメージに近い画像を提供してくれます。

出典：New ways to get inspired with generative AI in Search

例えば、「シェフの帽子をかぶって朝食を作っているカピバラの絵を描いてください」と入力すると、上の画像のようにイメージに沿った画像を複数提供してくれます。

魔女たちがパーティーで作る料理や、恐竜が満員電車に乗っている様子など、アイデアとしては思い浮かぶが自分では形にしにくいイメージもAIで作成してもらえるため、SGEはより自由で魅力的なコンテンツの発信に役立つでしょう。

SGEの利用方法

1. SGEを利用するには、まずChromeでGoogleのトップページを開き、右上のフラスコマークをクリックします。

2. 「Search Labs」のページになるため、「AIを使った機能」の「オンにする」をクリックします。

3. 「オンにする」をクリックすると「検索開始」に変わり、クリックするとGoogleのトップページが表示されます。そのまま検索を行うとSGEの機能が有効になった検索ができます。

SGEの導入によるSEOへの影響

SGEではAIによって生成された回答がトップに表示されるため、SEOをやる意味がなくなってしまうのではないかという声もあがっているようです。

もちろん、すべての検索内容がSGEで解決できてしまうのであればSEOの意味は薄れるでしょう。しかし、SGEはユーザーの疑問や質問すべてに対応できるわけではなく、その答えも100%信頼できるものであるとは言えません。

特に医療やお金などのYMYLの領域となると、SGEが出した回答のみでは信頼性が不十分なケースも多くなってきます。そこで、ユーザーはもっと信頼できる情報を得ようと下部にあるWEBサイトのコンテンツの中から適切なものを探し、比較検討を行うでしょう。

専門家やプロが発信している情報を含んだコンテンツも多く信頼性も高いため、特定の領域に関してはまだまだSEOの重要度は高いと言えます。

また、SEOの観点からユーザーの役に立つと判断されたコンテンツは検索キーワードとの関連性も高くなります。そうなると、SGEでも関連コンテンツとして表示される可能性が高くなり、多くの流入が見込めます。

このように、検索する内容によってSGEでは対応しきれない場合もあり、今のところSEOの必要性がなくなることはなく、引き続きSEO対策を強化していく姿勢が求められます。

SGE普及に向けた対策方法

前章で、SGEが導入されてもSEOは必要になるとお話しましたが、やはり、SEOの効果が従来よりも見込めなくなってしまう状況は避けられないでしょう。

SGEが普及した世の中で集客を図るためにはどう対応すれば良いのか、今から取り組める対策方法をご紹介します。

E-E-A-Tを意識し、上質なコンテンツを発信する

SGE導入後もWEBサイトからの流入を図るためには、Googleが重視するE-E-A-Tを意識することが重要になります。即時性と利便性に優れたSGEには、専門性と信頼性で優位に立つ必要があるでしょう。

明確な答えがあるものについては、素早く、ある程度の正確性を持ったSGEに軍配が上がるでしょうが、どの情報を選ぶかで人生に大きな影響を及ぼすものについては「信頼性」が最も重要な要素となり、SEOで上位に表示されたコンテンツを参考にするユーザーがほとんどでしょう。

また、E-E-A-Tのひとつ「経験」に関しては、SGEにも「Perspectives」という他の人の視点や経験を享受できる機能があります。そのため、SEOでは自社ならではの経験からくる知識やアドバイスを盛り込み、専門性と信頼性に説得力を持たせることが重要です。

SNSマーケティングを強化する

SGE対策には、SNS広告やアカウント運用を通して認知拡大や販売促進を図るSNSマーケティングも効果的です。

SNSには拡散機能があるため、魅力的なコンテンツを発信すると自社と接点のなかったユーザーにまで情報が届きやすくなり、認知拡大が可能です。

アカウントのプロフィールや投稿内容に自社サイトへのURLを貼っておくことで、拡散数の増加に伴うサイトへの流入も期待できます。

また、SNSはユーザーとコミュニケーションをとれる場でもあり、好感度を高めてファン化を促しやすい特徴があります。ファンになってもらえれば、SNSをはじめとする様々な媒体で自社サイトやコンテンツのリンクを貼ってもらえたり（被リンク）、名前を挙げてもらえること（サイテーション）も増えるでしょう。

被リンクやサイテーションはSEOにも影響を及ぼし、有益な情報を提供しているサイトとしてGoogleに認識されるため、SGE普及後も自社サイトへの流入が期待できます。

YouTubeSEOを強化する

動画市場の発達により、最近は検索エンジンやSNSに加えてYouTubeで情報を収集するユーザーも増えているため、WEBマーケティングにおいてYouTube運用も主要な手法として位置づけられるようになっています。

そこで取り組みたいのがYouTubeSEOです。YouTubeにおける適切なSEO対策を施すことでYouTubeからの評価が高まり、上位に表示されて多くのユーザーからのクリックが期待できます。

また、YouTubeSEOで動画へのアクセスを増やし、ユーザーのニーズを満たす動画を作成したうえでYouTube動画の概要欄に自社サイトのURLを記載すると、興味を持ったユーザーが直接サイトに流入しCVにつながる可能性が高まるでしょう。

SGEで自然検索からの流入が減ったとしても、他の媒体からの流入増加を図ることで利益向上は十分に狙えるため、あらゆるメディアを駆使して訴求していくことが重要です。

まとめ

今回は、SGEの概要とSEOへの影響、そしてSGEへの対策方法について解説しました。

SGEは日本でも試験運用が開始され、瞬時に得たい情報にたどり着ける利便性の点で優れた機能であることは間違いないでしょう。

一方で、SGEの導入によりSEOの重要性が低くなってしまうのではないかという懸念があることも事実です。

しかし、Googleが大事にしている「ユーザーにとって有益な情報を提供する」という考えは変わりません。SGEが正式に導入されても、常にユーザーのことを第一に考え誠実に向き合っているコンテンツはいつまでも求められます。

ハードルは高くなりますが、E-E-A-Tが保証され、尚且つニーズに応えるコンテンツを発信し続けることでSEOを高め、SGEに紹介されるようにブラッシュアップしていきましょう。

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