【完全版】韓国広告市場の最新動向と攻略方法|費用相場を徹底解説
韓国市場への進出を検討している企業にとって、「どの媒体に広告を出せば最も効果的なのか」「NAVER広告やKakao広告の費用感は?」「センイル広告のような文化的施策は企業にも応用できるのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。
近年、韓国のデジタル広告市場はアジアでも屈指のスピードで成長を続けており、モバイル利用率の高さとSNS文化の成熟が、マーケティングのあり方そのものを大きく変えています。
特に2020年代以降、韓国ではEC化率の上昇とともに、NAVER・Kakaoを中心とした独自の広告プラットフォームが発展。YouTube・Instagram・TikTokといったグローバルSNSも積極的に活用され、「検索 × SNS × インフルエンサー × 応援文化」という複合的な広告システムが生まれています。その一方で、日本企業が韓国市場に広告を出稿する際には、言語や文化の壁だけでなく、媒体構造・審査基準・費用体系の違いを正確に理解することが不可欠です。
本記事では、韓国広告市場の全体像から主要プラットフォーム、広告手法の種類別戦略、費用相場、センイル広告の文化的背景、そして日韓クリエイティブの違いまでを網羅的に解説していきます。また、実際に韓国で成功を収めた日本企業の事例をもとに、「なぜ成果が出たのか」「どんな運用体制が鍵だったのか」を掘り下げていきます。
今や韓国市場は、「単なる隣国」ではなく、世界をリードするデジタル先進国。その広告トレンドを読み解くことは、アジア全体のマーケティング潮流を掴むことにもつなげていきましょう。
「同じアジア文化圏なのに、なぜここまで違うのか?」という問いに答えながら、日韓広告の差を“文化・心理・構造”の3軸で理解することを目的としています。
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目次
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なぜ今、韓国広告市場に注目すべきか
韓国広告市場の規模と成長率
韓国の広告市場は、2024年時点で約16兆ウォン(約1.8兆円)規模に達し、そのうちデジタル広告が全体の68%を占めると推計されています。テレビ・新聞・OOHといった従来型媒体のシェアが年々縮小する一方で、モバイル広告やSNS広告の成長は著しく、「スマートフォン中心の広告経済」が確立された数少ない国のひとつです。
特に注目すべきは、NAVER・Kakaoといった国内プラットフォームが強固なエコシステムを構築している点です。これらは単なる広告媒体ではなく、検索・SNS・EC・決済・コンテンツ配信が一体化した“生活インフラ型プラットフォーム”として、韓国国民の行動データを包括的に活用しています。
結果として、広告主はより精度の高いターゲティングと効果測定を行うことが可能になり、ROIの高いマーケティング施策を実現できる環境が整いつつあります。
日本企業が韓国市場で広告を出すべき理由
韓国市場は人口約5,000万人と一見コンパクトながら、購買力・ブランド感度・デジタルリテラシーが極めて高い市場です。特に20〜30代を中心に新しいサービスへの受容度が高く、口コミやSNS拡散による初動トラフィックの伸びが非常に速いことが特徴です。
さらに、日本ブランドに対する信頼度と関心も依然として高く、「品質・デザイン・信頼性」といった価値軸が購買の決め手になっています。
美容・ファッション・食品・エンタメ・旅行など、幅広いジャンルで日本発ブランドが成果を上げており、「韓国での認知拡大 → インフルエンサー露出 → グローバル展開への足がかり」という成長ルートを描く企業も増えています。

韓国広告市場の構造と特徴
デジタル広告が市場の主流を占める背景
韓国では、広告市場全体の中でデジタル広告が圧倒的なシェアを占めています。その背景には、世界有数のモバイル普及率と高速通信インフラがあります。5Gの商用化をいち早く実現した韓国では、スマートフォンが生活の中心にあり、決済・検索・ショッピング・SNSといった行動がすべてモバイル上で完結しています。
特にEC化率は日本の約2倍といわれ、NAVERショッピングやCoupangなどの国内ECプラットフォームが、検索と購買行動をシームレスに結びつける構造を築いています。このモバイル依存の高さが、「テレビや新聞広告よりも、NAVER・Kakao・YouTube・Instagramなどでのデジタル露出が圧倒的に効果的」という現状を生み出しています。
また、韓国ではユーザー自身が情報拡散のハブとなる文化が根付いており、口コミ・レビュー・SNS投稿が広告効果を増幅させる二次的接点として機能しています。つまり、韓国広告市場は「生活動線とデジタル広告が完全に一体化している」という点で、他国とは一線を画しているのです。
従来の広告媒体(TV・新聞・OOH)の現状と役割
一方で、テレビや新聞などのマス広告が完全に衰退したわけではありません。特にOOH(屋外広告)は、韓国特有の都市構造と文化によって新たな価値を生み出しています。
ソウル・江南・弘大・明洞といった主要エリアでは、大型LEDビジョンやデジタルサイネージを活用した映像広告が街の一部として溶け込み、若年層へのリーチ手段として根強い人気を誇ります。
テレビCMも依然として一定のブランド価値を持ち、特に食品・日用品・金融・自動車などのカテゴリーでは「信頼・安心感の醸成」という役割を果たしています。つまり、韓国ではマス広告が“消えた”のではなく、デジタル広告と連携しながらブランディングに寄与するポジションへシフトしているのです。
韓国独自の広告文化|スピード感とトレンドへの敏感さ
韓国広告の最大の特徴は、トレンドの移り変わりが極端に速いという点にあります。新しいミーム(流行ネタ)やハッシュタグ、話題のインフルエンサーが登場すると、企業は数日単位でそれを広告クリエイティブに反映させます。
たとえばコスメ業界では、TikTokやYouTube Shortsで話題化したキーワードを即座にキャンペーンに組み込み、「流行の波を逃さないスピードマーケティング」を徹底しています。
また、韓国の消費者は「トレンド感」「共感」「社会的メッセージ」を重視する傾向が強く、広告は単なる販促手段ではなく、ブランドの姿勢や価値観を伝えるコミュニケーションの場として機能しています。そのため、韓国市場で成果を上げるには、スピード感 × トレンド感 × 共感性の3軸を常に意識した広告設計が求められます。
韓国デジタル広告の主要プラットフォームと費用体系
NAVER広告|検索エンジン市場の絶対王者とその広告プロダクト
韓国における検索エンジンシェアの約4割を占めるのがNAVER(ネイバー)です。単なる検索プラットフォームに留まらず、ニュース・ショッピング・ブログ・カフェ(掲示板コミュニティ)・地図・決済などを統合した巨大なエコシステムを構築しており、「韓国におけるGoogle」と称される存在です。
NAVER広告の主力は、検索結果に連動して表示されるPower Link広告(検索連動型広告)。入札制のCPC(クリック単価)モデルを採用しており、業界によって単価は変動しますが、一般的には100〜500ウォン(約10〜50円)程度が相場です。ただし、入札が基本となるため、あくまでも推定の数字として把握しておいてください。日本のGoogle広告よりもクリック単価が低い傾向にあり、低コストで高CTR(クリック率)を狙える市場といえます。
さらにNAVERでは、ブランドの公式サイトを検索上部に大きく表示できるBrand Search広告や、ECに特化したShopping Search広告など、多彩な広告メニューが用意されています。
これらを組み合わせることで、「検索→購買」へのスムーズな導線を設計できるのがNAVER広告の最大の強みです。
Kakao広告|国民的メッセンジャーアプリの強力なリーチ力
韓国国民の9割以上が利用しているメッセンジャーアプリ「KakaoTalk」。日本でいうLINEと同じようにメッセンジャーアプリ市場をほとんど独占している状態です。そのユーザーデータを活用できるのがKakao広告です。トークアプリ内で配信されるBiz Message(ビジネスメッセージ)広告や、Kakaoの広告統合プラットフォームであるKakao Momentを通じて、ディスプレイ・動画・SNS広告などを一括管理できます。
特にKakaoの魅力は、精緻なターゲティングと高いアクティブ率。トーク履歴・友達関係・位置情報・興味関心データなどをもとに、年齢・地域・趣味などで細かくセグメント配信が可能です。
費用体系はCPCまたはCPMで、
- CPM:約3,000〜6,000ウォン(約350〜700円)
- CPC:約150〜400ウォン(約20〜45円)
が目安とされています。
また、Kakao Story(SNS)やDaumポータルとの連携により、「検索・SNS・メッセンジャー」を横断する一貫したリーチ設計が可能となっています。
グローバルSNS広告|Instagram・YouTube・TikTokの活用法と費用相場
韓国のSNS利用率は非常に高く、特にInstagramとYouTubeの利用率は8割を超えるといわれています。これらのグローバルSNSは、ブランディング・認知拡大・購買促進のすべてを担う広告チャネルとして確立されています。
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プラットフォーム |
主な特徴 |
費用目安(CPM/CPC) |
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Instagram広告 |
ビジュアル訴求に強く、コスメ・アパレル企業の活用率が高い |
CPM:推定約1,000〜3,000円 |
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YouTube広告 |
TrueView形式が主流。動画視聴率が高く、ブランド認知に最適 |
CPV:推定約3〜10円/視聴 |
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TikTok広告 |
トレンド波及力が強く、UGCを生むキャンペーンに最適 |
CPM:推定約1,500〜2,500円 |
韓国では「SNSで話題になってから購入する」という購買行動が一般化しており、SNS広告の影響力は日本以上です。特に美容・食品・ファッションブランドでは、インフルエンサー投稿+広告配信を組み合わせたハイブリッド施策が主流となっています。

韓国で効果的な広告手法とは?種類別戦略と費用相場
検索広告(リスティング)|NAVER特有の広告枠と最適化戦略
韓国の検索広告市場では、NAVERが圧倒的なシェアを占めています。Google広告のようにキーワード単位で入札するCPCモデルを採用していますが、NAVER特有のアルゴリズムとユーザー行動を理解することが成果を左右します。
特にNAVERの検索結果ページは、
- 広告(Power Link)
- ショッピング広告
- オーガニック検索結果
- NAVERブログやカフェ(UGCコンテンツ)
が複合的に表示される構造になっており、SEOと広告運用のハイブリッド最適化が重要です。
平均CPCは100〜500ウォン(約10〜50円)前後で、競合の多い「美容」「健康食品」「EC」分野では最大1,000ウォンを超えるケースもあります。CTR(クリック率)は2〜6%が一般的で、キーワードの意図とクリエイティブの一致度を高めることで成果が大きく変わります。
ディスプレイ広告(DA)|主要媒体とターゲティング精度
ディスプレイ広告は、NAVER・Kakao・YouTubeを中心に広く展開されています。NAVERのContent Network広告や、Kakao Momentのターゲティング配信は特に効果が高く、ブランド認知の初期段階での活用が一般的です。
費用体系は主にCPM(インプレッション課金)で、
- 一般的なCPM:3,000〜6,000ウォン(約350〜700円)
- プレミアム面:10,000ウォン以上(約1,200円〜)
が相場とされています。
また、NAVERはユーザーの検索履歴・閲覧データ・購買履歴などを組み合わせた行動ターゲティング(Behavior Targeting)が可能。Kakaoはトークアプリの行動データを活用し、位置・年齢・関心領域まで細かく配信設定できます。
動画広告|YouTubeとネイティブプラットフォームでの成功事例
韓国では、動画広告の消費量が急増しています。特にYouTube・TikTok・NAVER TVなどのプラットフォームが高いエンゲージメントを誇ります。
YouTubeではTrueView広告(スキップ可能形式)が主流で、CPV(1視聴あたり)約3〜10円が相場。視聴完了率は40〜60%程度と高水準です。
一方で、NAVER TVやKakao Videoなど、ローカル系動画プラットフォームの活用も進んでいます。これらは韓国語コンテンツに特化しており、韓国内ユーザーへのリーチ効率が高いのが特徴です。
動画広告は、単発出稿よりも「SNS+リスティング」との連携設計が鍵。認知→共感→行動までの一貫したシナリオを構築することで、費用対効果を最大化できます。
インフルエンサーマーケティング|マイクロインフルエンサーの活用と費用相場
韓国のインフルエンサー市場は急成長しており、2025年に約300万ドル規模に達すると予測されています。特にInstagram・YouTube・TikTokで活動するマイクロインフルエンサー(フォロワー1〜5万人)の影響力が強く、企業案件の中心を担っています。
費用目安は以下の通りです。
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インフルエンサー層 |
フォロワー数 |
費用相場(1投稿あたり) |
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ナノ |
1,000〜10,000人 |
約10万〜30万ウォン |
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マイクロ |
10,000〜50,000人 |
約30万〜100万ウォン |
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ミドル |
50,000〜100,000人 |
約100万〜300万ウォン |
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メガ |
100,000人以上 |
300万ウォン〜(上限なし) |
マイクロ層はエンゲージメント率が高く、商品体験レビューやUGC拡散型キャンペーンに最適です。企業は「信頼される個人の声」を通じて、自然な導線で購買行動を促す戦略を重視しています。

K-POP文化が生んだ「センイル広告」の深層と活用戦略
センイル広告(応援広告)の文化的背景と社会的影響
韓国の広告文化を語る上で欠かせないのが、「センイル広告(誕生日広告)」です。これは、K-POPアイドルの誕生日やデビュー記念日に合わせて、ファンが自発的に資金を集め、地下鉄・街頭ビジョン・バス・カフェなどに掲出する応援広告のことを指します。
韓国では単なる「推し活」の一環ではなく、“ファンが広告主になる”という新しい文化的現象として社会的にも注目を集めています。
その起源は2000年代初頭。熱心なファンが新聞に「誕生日おめでとう」というメッセージ広告を掲載したのが始まりでした。その後、SNSとクラウドファンディングの発展によって、国内外のファンダムが協力し合い、グローバルな応援プロジェクトとして拡大。
現在では中国・日本・タイ・インドネシアなど、海外ファンが韓国現地の媒体を買い取って広告を出すケースも増えています。
センイル広告がこれほどまでに根付いた背景には、韓国社会の高いデジタル文化とファン組織力があります。ファンはプロジェクトチームを組み、広告のデザイン・出稿交渉・資金管理・SNS広報を自ら行います。つまり、ファンが「一つのブランドチーム」として広告キャンペーンを運営しているのです。
加えて、センイル広告は単なるお祝いを超え、社会的・経済的波及効果をもたらしています。たとえば、広告収益の一部を寄付したり、地元カフェでフォトイベントを開催したりといった活動を通じて、地域経済の活性化や社会貢献にもつながっています。このようにセンイル広告は、広告の目的を「企業の販促」から「ファンの愛情表現」へと拡張し、韓国ならではの“情緒と参加”に基づく広告文化を形成しているのです。
企業がセンイル広告から学ぶべきマーケティング戦略
センイル広告は、企業マーケティングにおいても極めて示唆的な存在です。そこにあるのは「ファンが自らブランドを広める」という、従来の広告モデルを超えた構造です。
企業が一方的に発信するのではなく、“共感を媒介に顧客が参加・拡散する仕組み”が成功の鍵となります。
韓国企業の中には、センイル文化をヒントに「ファン主導型キャンペーン」を取り入れる事例が増えています。たとえばコスメブランドでは、人気アイドルとのコラボ商品を発売した際、ファンが自主的に写真を投稿し、ハッシュタグ運動を展開。
これによりUGC(ユーザー生成コンテンツ)が大量に拡散し、広告費をかけずともSNSトレンドにランクインする現象が起きました。
この仕組みはまさに、「推し活マーケティング」とも呼べるアプローチ。ユーザーの“好き”という感情を中心に置くことで、自発的・持続的なブランド拡散が生まれます。従来のKPI(リーチ数やCTR)では測れない“熱量”を可視化する手法として、韓国企業はこのモデルを積極的に採用しています。
さらに近年では、企業がセンイル広告の場を提供する動きも登場しています。たとえば、広告代理店やカフェが「ファン向け応援広告パッケージ」を販売し、ブランドがその枠をスポンサーとして提供するケースです。
このような共創型の広告は、ファンと企業が“同じ目的を共有する関係”を築く点で、従来の広告よりも強いブランドロイヤリティを生み出します。
センイル広告の主要媒体別費用相場と出稿プロセス
センイル広告に利用される媒体は多岐にわたりますが、特に人気が高いのは以下の4カテゴリです。
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媒体 |
特徴 |
費用相場(目安) |
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地下鉄駅構内広告 |
最も定番の形式。ソウル・弘大・明洞など主要駅に集中。ビジョンやポスターなど形式も多様 |
約50万〜300万ウォン(1〜2週間) |
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街頭ビジョン広告 |
高い視認性でSNS拡散に強い。ファンが“聖地巡礼”する定番スポット |
約200万〜800万ウォン |
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バス・交通広告 |
走行エリアを絞り込むことで、特定地域ターゲットに訴求可能 |
約100万〜500万ウォン |
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カフェ・カップホルダー広告 |
ファンイベントと連動しやすく、限定ノベルティ配布などに最適 |
約30万〜100万ウォン |
出稿の一般的な流れは以下の通りです。
- 媒体の選定と見積もり取得
広告代理店(例:ADsKorea、MyCelebsなど)を通して、希望エリア・期間・媒体を相談。 - デザイン制作と審査
広告には必ずアイドル事務所の肖像使用許可が必要で、著作権処理も重要。 - 支払い・掲出手続き
指定期日にあわせて掲出開始。広告代理店が現地確認や撮影を代行するケースも多い。 - SNS拡散とファンイベント連動
掲出後はハッシュタグ運動やカフェイベントを通じて二次拡散を図る。
センイル広告の最大の成功要因は、オンラインとオフラインの融合設計にあります。広告そのものが“聖地化”し、ファンが写真を撮ってSNSに投稿することで、実際の広告費以上のリーチと話題性を生み出すのです。
このように、センイル広告は「ファン活動」と「商業広告」の境界を曖昧にしながら、 感情の共鳴と参加型体験を軸にした新時代の広告モデルとして進化を続けています。

日韓の広告クリエイティブの違いとローカライズ戦略
日本と韓国の広告クリエイティブの根本的な違い
日韓の広告を比較すると、まず顕著なのが「メッセージの熱量」と「表現のスピード感」です。日本の広告は「丁寧・誠実・わかりやすい」コミュニケーションを重視し、ブランドの信頼性や製品の機能性を中心に据えた“静的な美”を描く傾向があります。
一方、韓国の広告は「瞬間的な感情の爆発力」に重きを置き、わずか数秒で「面白い」「可愛い」「欲しい」といった感情を引き出すことに長けています。
その背景には、韓国社会に根付いたSNS主導のトレンド消費文化があります。YouTube ShortsやTikTokなど、超短尺動画の影響で消費者の注意持続時間が短くなり、広告には「情報」よりも「感情」を先に伝える設計が求められています。
たとえば同じコスメCMでも、日本では「成分の安全性」「使用前後の変化」を静かに語るのに対し、韓国では“ビジュアルの衝撃とテンポの速さ”で一気に惹きつける演出が多く見られます。背景音楽やリズム、色彩、テロップのスピード感など、すべてが“感覚的に気持ちいい”テンポで構成されており、視聴者の反応を第一優先にしたクリエイティブと言えます。
また、日本の広告は「共感」よりも「安心感」を重視する傾向があるのに対し、韓国は“共鳴型”のストーリーテリングが主流。広告を見ること自体が“エンタメ”であり、「ブランドの世界観に一瞬で没入させる表現」が好まれます。この違いは、日韓の消費者心理の差にも表れており、日本では“調和と信頼”を重んじる一方、韓国では“自己表現と共感”が購買動機を刺激しています。
プラットフォーム別クリエイティブの違い
韓国の広告プラットフォームは多様で、NAVER・Kakao・YouTube・Instagram・TikTokなどがそれぞれ異なる文脈を持ちます。このため、成功する広告は「全媒体で同じクリエイティブを流す」のではなく、媒体ごとに文脈を再設計(トランスフォーミング)しています。
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プラットフォーム |
表現の特徴 |
成功する広告タイプ |
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NAVER |
情報信頼性重視。検索結果上に自然に溶け込む静的デザイン |
比較・レビュー型、教育的訴求 |
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Kakao |
トーク内表示を想定した“会話体広告”が中心 |
カジュアルトーン、スタンプ風表現 |
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世界観重視。色彩・構図・トレンド感が最重要 |
ビジュアル訴求・ブランド演出 |
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YouTube |
ストーリーテリングと編集テンポで惹きつける |
ショートドキュメンタリー型、リアクション誘発型 |
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TikTok |
トレンド・音楽・ユーモア・リアルタイム性が命 |
ミーム活用、ユーザー参加型 |
特に韓国では「一つの広告キャンペーンを複数媒体で展開するマルチフォーマット戦略」が一般的で、たとえばNAVERでの検索広告→TikTokでのハッシュタグチャレンジ→InstagramでのUGC拡散といった“三層構造の導線”が効果を発揮します。
また、Kakaoトークを起点にした「友達への共有」も活発で、メッセンジャー内で広告が“会話の一部になる”よう設計されている点は、日本市場にはない韓国特有の文化的文脈です。
韓国市場で成功するためのローカライズ戦略
日本企業が韓国市場に進出する際、最も重要なのは「翻訳ではなく再構築」という発想です。単に日本語コピーを韓国語に直すだけでは伝わらず、「文化・言語・感情の温度」を再デザインするトランスクリエーション戦略が求められます。
韓国では、メッセージの“率直さ”や“感情の明快さ”が信頼につながります。曖昧な表現や回りくどい訴求は「弱さ」「自信のなさ」と捉えられることもあり、逆に「これが一番!」「絶対に体験すべき!」といった断言調の表現が好印象を与えます。
ローカライズ成功のポイントとしては、
- コピーは“情緒”を中心に再構築する(例:「やさしさ」→「心が動く瞬間へ」)
- トレンドワードやミームを取り入れ、リアルタイム性を担保
- 韓国語ネイティブによる文体監修を行い、“口語の自然さ”を優先
- 現地SNSで話題になるビジュアルトーン(明るく、強いコントラスト)を採用
などが挙げられます。
特に若年層をターゲットとする場合、「可愛い」より「かっこいい」「強い」「共感できる」といった能動的感情を刺激する表現が刺さりやすい傾向があります。ブランドの世界観をそのまま押し付けるのではなく、“韓国の消費者が自分事として語れる文脈”を提供することが、成功の第一歩です。
韓国市場で成果を上げた日本企業の成功パターン3選
事例①:プレミアムコスメA社|「高価格帯×ローカル発信」で信頼を勝ち取ったケース
日本発のスキンケアブランドA社は、韓国進出にあたり「価格競争には乗らず、高級ラインとして認知させる」戦略を一貫して取りました。
まず販売チャネルを百貨店・専門店・免税店などに絞り、あえてディスカウントストアや量販店での展開を抑制。これにより「安く買える日本コスメ」ではなく、「時間とお金をかける価値のあるブランド」というポジションを確立します。
同時に、韓国内に拠点を構え、現地スタッフによる韓国語コンテンツ・カウンセリング・イベント運営を強化NAVER上では専門性の高いレビュー記事や美容コラムを継続発信し、SNSではビジュアル重視の世界観とリアルな使用感を両立させることで、「憧れ」と「信頼」を同時に積み上げていきました。
結果として、競合ブランドが乱立する中でも、A社は“価格ではなく価値で選ばれる日本ブランド”として定着。高級ポジショニング+ローカル発信+チャネル選定を組み合わせた典型的な成功モデルと言えます。
事例②:ライフスタイル&家電C社|デザイン性と現地パートナー戦略で“欲しい理由”を作ったケース
日本発のライフスタイル家電ブランドC社は、「高機能だから売れる」ではなく「部屋に置きたくなるから選ばれる」という文脈で韓国市場にアプローチしました。
韓国のユーザーはインテリア感度が高く、“見せる家電”へのニーズも強いことに着目。C社はその強みであるミニマルなデザインとストーリー性を前面に押し出しつつ、以下を戦略的に組み合わせます。
- 韓国の大手家電量販店・セレクトショップとの提携により、実店舗で「触れる・試せる」環境を用意
- 韓国人インフルエンサーやクリエイターとのコラボで、「おしゃれな暮らしのワンシーン」として商品を登場させる
- NAVERショッピングや自社ECでは、韓国語での詳細レビュー・導入事例・アフターサポート情報を充実させ、不安要素を徹底的に解消
単に“日本ブランドだから”ではなく、「韓国の生活スタイルにフィットする具体的な理由」をビジュアルとコンテンツで提示したことで、指名買いが増加。現地パートナーとの連携とオンライン・オフライン両面の導線設計により、高価格帯にもかかわらず“納得して選ばれるブランド”としての地位を築きました。

韓国広告出稿における法規制と費用対効果の最大化
広告審査基準と日本との違い
韓国で広告を配信する際には、各媒体独自の審査基準に加えて、公正取引委員会や放送通信委員会などが定める広告表示ガイドラインを順守する必要があります。特に美容・健康・医療分野における表現は非常に慎重に扱われ、「事実に基づいた根拠資料の提出」を求められるケースも多くあります。
たとえば「肌が白くなる」「脂肪を燃焼する」といった表現は、科学的なデータや臨床試験結果を裏付けとして提出しなければならず、根拠が曖昧なままでは掲載が見送られることもあります。
韓国の広告審査は、日本のような「事後監視型」ではなく「事前検閲に近い審査体制」を取っている点が大きな違いです。
また、比較広告やランキング表現に対しても厳格です。「業界No.1」「韓国で一番売れている」といった訴求を使う場合、出典・調査方法・期間の明示が義務付けられます。根拠が曖昧なまま出稿すると、審査リジェクトだけでなく、法的指導や媒体停止処分に至ることもあるため注意が必要です。
さらに、文化的・社会的観点からのチェックも日本より厳しい傾向があります。特定の宗教・政治的表現、ジェンダー描写、動物保護・環境に関するメッセージなどは、社会的コンテキストに敏感な韓国では炎上リスクが高く、広告主の意図に関係なくネガティブな波及を生むことがあります。
個人情報保護法(PIPA)とデータ活用のポイント
韓国では「PIPA(個人情報保護法:Personal Information Protection Act)」が施行されて以降、個人情報の収集・利用・第三者提供に対して極めて厳しい管理体制が敷かれています。日本の個人情報保護法よりも明確に「利用目的」「保存期間」「国外移転」を制限しており、企業が独自に顧客データを活用する場合は慎重な設計が求められます。
同意取得の明確化
広告目的でデータを収集する場合、ユーザーに対して以下を明示した明確な同意取得が義務付けられています。
- 収集するデータの種類(メールアドレス、Cookie、行動ログなど)
- 利用目的(広告配信、リターゲティング、購買分析など)
- 保存期間・削除ポリシー
たとえばLINEやInstagramのようなグローバルSNS広告でも、同意を得ないままピクセルを埋め込んでトラッキングする行為は違法とみなされる場合があります。PIPAは違反した場合の罰則も重く、「違反行為に関連する売上高の3%以下」または「全体売上高の3%以下」の課徴金が科されることもあります。
データの国外移転とリスク対策
日本本社と韓国法人・代理店間でデータを共有する際は、「国外移転の同意取得」または「匿名化・暗号化プロセス」が必要です。このプロセスを省略すると、たとえ本人同意を得ていても法的違反とみなされる可能性があります。
韓国ではデータ主権意識が非常に高く、「外国企業による個人データの不当利用」への世論も敏感です。よって、必要最低限のデータのみを現地で扱い、分析・広告運用は媒体側のシステム上で完結させることが基本戦略となります。
媒体データの活用を優先する
NAVER・Kakao・Meta(Instagram/Facebook)などの主要プラットフォームは、PIPA準拠の広告配信・ターゲティング機能を提供しています。これらを活用すれば、独自データを保有せずとも高精度な広告配信が可能です。特にNAVERの「Audience Targeting」やKakaoの「Moment Platform」などは、購買履歴・興味関心・検索履歴などの膨大なデータを匿名化して利用できるため、安全かつ効果的な運用が実現します。
広告代理店の選定と連携のポイント、手数料の目安
韓国市場で成果を出すためには、現地メディアの構造・言語・文化に精通したローカルパートナーとの協業が欠かせません。しかし、代理店の得意領域やフィー構造には大きな差があり、選定を誤ると「出稿はできたが成果が出ない」という典型的な失敗に陥ります。
代理店選定のチェックリスト
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チェック項目 |
解説 |
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公式パートナー資格の有無 |
NAVER・Kakao・Meta・Googleの認定代理店かを確認。非認定の場合、広告審査通過率やサポート対応に差が出る。 |
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バイリンガル対応 |
日本語・韓国語の両言語で円滑にコミュニケーションできる体制があるか。翻訳誤解による広告ミスを防げる。 |
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実績事例の提示 |
同業界でのKPI改善事例を持つかどうか。業種別ナレッジの有無が成功率を左右する。 |
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定量+定性のレポート提供 |
数字だけでなく「なぜ成果が出たのか/出なかったのか」を分析する力があるか。 |
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クリエイティブ提案力 |
媒体特性やトレンドを踏まえたデザイン・コピーの改善提案を定期的に出してくれるか。 |
手数料と契約形態の目安
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契約タイプ |
内容 |
費用相場 |
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運用型(SNS・検索広告など) |
広告費の一定割合を手数料として支払う |
広告費の15〜20%前後 |
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プロジェクト型(キャンペーン企画・戦略立案含む) |
キャンペーン単位で依頼 |
30〜100万円+実費 |
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インフルエンサー・センイル広告 |
企画・出演・撮影・投稿調整を含む |
案件ごとの個別見積もり |
運用型は日次・週次レポートでPDCAを回しやすく、短期施策に向いています。一方で、ブランド構築や大型キャンペーンを伴う場合は、プロジェクト型契約でKPIを共有しながら中期戦略を設計するのが理想です。
費用対効果を最大化する連携体制
代理店任せにせず、クライアント側で目的・ターゲット・KPIを明確に定義することが成功の鍵です。
- 目的:認知拡大/リード獲得/販売促進/ブランドリフト
- ターゲット:年齢層・地域・利用シーン・関心ワード
- 成果指標:CPA、ROAS、CVR、指名検索数、UGC投稿数 など
この3要素を共有したうえで、「戦略パートナー」として伴走できる代理店を選ぶことが重要です。韓国市場では、媒体・文化・ユーザー心理の変化が速いため、リアルタイムで改善提案ができる柔軟性が何より求められます。

まとめ|成功事例と今後の展望
日本企業の韓国広告成功事例の共通点
韓国市場で成果を上げている日本企業には、いくつか明確な共通項があります。単に広告を出稿しただけではなく、文化・媒体・行動データの文脈に即した“現地最適化”を徹底している点です。
まず第一に挙げられるのが、「媒体構造の理解と活用力」。成功している企業ほど、NAVER・Kakao・YouTube・Instagramといった各媒体の特性を細かく分析し、「NAVERで興味喚起 → Kakaoで再接触 → SNSで拡散 → ECで購買」という多層的導線を設計しています。
第二に、「ローカルチームの存在」です。翻訳だけでなく、コピー表現・ビジュアルトーン・インサイト分析など、「韓国人目線でコンテンツを最終調整できる人材」が社内または提携先にいる企業は、成功率が高い傾向にあります。特に美容・ファッション・食品・家電といった感性型カテゴリでは、“日本らしさ×韓国トレンド”の融合表現が鍵となります。
第三に、「顧客との対話型マーケティング」を展開していること。韓国では広告を“見る”よりも“参加する”文化が根強く、コメント・共有・応援といったリアクションを誘発する設計が重要です。この点で、センイル広告やファン参加型キャンペーンのように、「感情を共創する広告」が特に高い効果を発揮しています。
2026年以降の韓国広告市場予測
韓国の広告市場は今後3年間でさらなる構造転換を迎えると予測されています。2025年以降、特に注目されるのが以下の4つの潮流です。
① モバイルネイティブ世代による「動画経済」の加速
Z世代・α世代を中心に、TikTok・YouTube Shorts・NAVER NOW! などの短尺動画プラットフォームの広告価値が急上昇しています。これらの世代は「静止画広告を見ない」「検索よりも動画レビューで選ぶ」という行動様式を持ち、企業は“1分以内で感情を動かす表現設計”を求められるようになります。
② AIとパーソナライズ広告の融合
NAVERとKakaoはすでにAIレコメンドエンジンを本格導入しており、2026年までに広告配信の最適化をAIが自動化する“運用ゼロモデル”が主流になる見通しです。ユーザー行動ログと生成AIによるクリエイティブ最適化が融合し、「誰に」「いつ」「どの表現で」見せるかをAIが判断する時代へと進化しています。
これに伴い、広告主は「AIをどう使うか」だけでなく、“AIに選ばれる広告コンテンツ”をどう作るかという新たな視点が求められます。
③ ソーシャルコマースとライブ配信の定着
韓国ではすでにInstagram・Coupang・NAVERショッピングなどがライブコマース機能を標準搭載。「視聴 → コメント → 即購入」の行動が一般化しつつあります。今後は、インフルエンサーやブランド公式による双方向コミュニケーション型販売が常態化し、従来の「広告」と「EC」の境界がなくなると予測されています。
④ 応援・参加型広告の社会的進化
センイル広告やチャリティ型キャンペーンに代表される“応援文化”は、企業マーケティングにも定着。2026年以降は、社会的共感を軸にした広告(Social Empathy Marketing)が主流化していくとみられています。単なる販促ではなく、「社会課題への姿勢」「共感を共有する物語性」がブランド価値の指標になる時代です。
韓国広告戦略を成功させるための3つの鍵
これまでの事例・市場分析を総括すると、今後日本企業が韓国市場で成果を上げるためには、次の3つの要素を同時に満たすことが求められます。
- ローカル理解 × グローバル視点の両立
韓国の文化・行動特性・消費心理を理解しつつ、グローバル標準のデジタル運用・AI活用・SNSトレンドを組み合わせる。「日本式の延長」でも「韓国迎合型」でもない“ハイブリッド戦略”が必要です。 - スピード感とリアルタイム最適化
韓国の広告トレンドは1〜2週間単位で変化します。PDCAを短期化し、媒体別データを毎日更新しながら広告文・クリエイティブを柔軟に入れ替える体制が不可欠です。 - 共感設計によるブランディング
韓国では、ブランドが“社会的存在”としてどう共感を生むかが購買決定を左右します。ファンとの距離を近づけ、ストーリーや世界観で繋ぐことが、数値指標(CTR・CPA)以上にブランドの持続力を高める要素となります。
韓国広告市場は、もはや「海外展開のひとつ」ではなく、アジア全体のトレンドを先取りするマーケティング実験場といえる存在です。日本企業にとって、ここでの成功は単に売上だけでなく、「グローバルで戦えるマーケティング力」を磨く最良のステップとなるでしょう。
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| WRITER / Yig 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |
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