ショート動画の企画・構成ガイド|バズるためのシナリオと台本作成術とは

SNS時代の今、「動画は撮れば伸びる」という時代は終わりました。特にTikTokやInstagramリール、YouTube Shortsといったショート動画の世界では、撮影や編集の前に“企画と構成”で勝負が決まると言っても過言ではありません。
なぜなら、どれだけ映像がきれいでも、企画が弱ければ視聴者は数秒でスワイプしてしまうからです。逆に、スマホ撮影のラフな映像でも、「見たい!」と思わせるテーマや展開があれば、最後まで見られ、保存やシェアされ、アルゴリズムによってさらに広がっていきます。
にもかかわらず、多くの企業が動画制作を始めるときにやってしまうのが、
- 撮影ネタをその場で決める
- 台本なしで撮り始める
- 編集段階で構成を後付けする
という流れです。これでは、どれだけ時間や費用をかけても「なんとなく見たけど心に残らない動画」になり、成果にはつながりません。
本記事では、初心者でもすぐに実践できる企画立案の手順と、バズを狙える台本作成の方法を徹底解説します。
企画力が動画の命を左右する理由
ショート動画は「企画が9割」と言われるほど、事前の設計が成果を大きく左右します。撮影や編集はもちろん重要ですが、それらは企画の魅力を最大限に引き出すための手段に過ぎません。企画が弱ければ、どれだけ技術的に優れた映像でも視聴者の心には響きません。
企画が弱い動画は最後まで見られない
SNSのタイムラインを流れる動画は、ユーザーからすれば「無限に存在する選択肢」のひとつです。
その中で最後まで見てもらうには、「この先が気になる」と思わせるテーマや展開が欠かせません。
例えば、
- タイトルや冒頭で何を見せたいのかが分からない
- 誰に向けた動画なのかが不明確
- ストーリー性やメッセージが薄い
といった動画は、数秒でスワイプされてしまいます。逆に、ターゲットが共感できる課題や興味を冒頭で提示できれば、完了率や保存率は飛躍的に向上しさらなる再生数を稼ぐことができるでしょう。
【H3】アルゴリズムも“企画力”を評価する
TikTokやInstagramリール、YouTube Shortsなどの主要プラットフォームは、ユーザーの反応データを元に動画の露出を決定します。特に以下の指標は、アルゴリズム上の評価を高める重要な要素です。
- 完了率(最後まで見られた割合)
- 保存率(後で見返そうと思われた回数)
- シェア率(他人に共有された回数)
これらを高めるためには、単に「映像がきれい」だけでは不十分です。「ターゲットにとって価値があり、かつ最後まで見たくなる企画」を練ることが、結果的にアルゴリズムからの評価アップにつながります。
企画の前にやるべきリサーチと分析
良い企画は、思いつきや感覚だけでは生まれません。特に企業のショート動画運用では、「ターゲットが何を求めているか」を把握し、それを裏付けるデータや事例を元に企画を作ることが重要です。
撮影や編集の前に、必ず以下の3つのリサーチを行いましょう。
ターゲット像を具体化する
動画のテーマを決める前に、「誰に向けて発信するのか」を明確にする必要があります。ターゲットが曖昧なままだと、メッセージがぼやけてしまい、誰の心にも刺さらない動画になってしまいます。
ターゲットを設定する際は、以下の要素をできる限り具体的に書き出しましょう。
- 年齢層・性別
- 職業や役職
- 生活スタイル(平日・休日の過ごし方)
- 興味や趣味、よく使うSNS
- 悩みや不安、求める理想像
例えば、「20代後半の女性・営業職・休日はカフェ巡り・Instagram利用頻度高め・転職活動を考えている」というターゲット像があれば、構成や映像のテイストが自然と具体化されます。
競合&参考動画の分析
次に、競合や参考になるアカウントを分析します。自社と同じ業界で再生数が伸びている動画を複数チェックし、以下の観点で共通点を探しましょう。
- 冒頭の入り方(問いかけ、結果先出し、驚きなど)
- 動画の長さとテンポ
- カット割りやアングルの特徴
- テロップやBGMの使い方
- 視聴者の反応(コメント欄や保存数)
また、必ずしも同業種だけでなく、他業界のバズ動画から構成や演出を借りるのも有効です。異なる分野の発想を取り入れることで、他社と差別化された企画が生まれます。
プラットフォーム別の傾向を把握する
同じテーマの動画でも、TikTok、Instagramリール、YouTube Shortsでは反応が変わります。
例えばTikTokでは「ラフな日常感」が好まれる一方、Instagramでは「統一感のある美しい映像」が好まれやすいです。YouTube Shortsは検索からの流入が見込めるため、解説やHowToコンテンツと相性が良い傾向があります。
事前にプラットフォームごとの傾向を押さえておくと、同じ企画でも媒体別にアレンジして成果を最大化できます。
バズるテーマ選びの鉄則
リサーチと分析で方向性が見えてきたら、次はテーマ設定です。テーマは動画の核であり、ここでの判断次第で再生数やエンゲージメントが大きく変わります。「何を伝えるか」「どんな切り口で見せるか」を戦略的に決めることで、企画の魅力が何倍にも引き上がります。
課題解決型テーマ
視聴者の悩みや不満をズバッと解決するテーマは、高い保存率とシェア率を生みやすくなります。理由はシンプルで、「役に立つ」と感じたコンテンツは後で見返したり、他人に共有したくなるからです。
例)
- 「面接で好印象を与える3つのコツ」
- 「売上を伸ばすための棚の並べ方」
- 「SNSで反応が上がる投稿時間の秘密」
コツは、課題を抽象的にせず、具体的な数字や方法を盛り込むことです。「なんとなく役立つ」よりも、「今すぐ使える」情報の方が行動につながります。
共感・あるある型テーマ
視聴者に「それ、分かる!」と思わせるネタは、コメント欄での交流やシェアを促進します。特に同業種や同じ立場の人が多いターゲットでは、高いエンゲージメントが期待できます。
例)
- 「採用担当あるある」
- 「営業職の1日の流れ」
- 「在宅勤務でありがちなこと」
共感型は笑いや安心感を与える効果があり、ファン化にもつながりやすいテーマです。
意外性・ギャップ型テーマ
予想外の展開や意外な事実は、冒頭で視聴者を引き込みやすい手法です。人は「この先どうなるの?」という疑問が生まれると、答えを知るために最後まで見たくなります。
例)
- 「高級スイーツを100均アイテムで再現してみた」
- 「新人が社長にドッキリを仕掛けた結果…」
- 「〇〇は実はやらない方が売れる」
意外性を狙う場合は、冒頭で「おや?」と思わせるフックを必ず入れ、オチまでテンポ良く展開させることが重要です。
テーマ選びのチェックリスト
テーマを決めるときは、次の4つの条件を満たしているかを必ず確認しましょう。これはバズるために最低限の確認しておくべきことです。1つでも欠けると、再生数やエンゲージメントが伸び悩む可能性がありますので注意しましょう。
①ターゲットに直接関係があるか
ターゲットの興味・関心から外れたテーマは、そもそも見てもらえません。例えば、採用担当者向けの動画で「最新の営業成績を伸ばすテクニック」を出しても、響きにくいのは明らかです。
逆に「面接で応募者の本音を引き出す質問3選」なら、強い関心を持たれるでしょう。ポイントは「そのテーマがターゲットの日常や課題に直結しているか」を考えること。
②1本の動画で完結できるか
ショート動画は15〜60秒で話が完結することが基本です。内容が広すぎたり複雑すぎると、最後まで見られずに離脱されてしまいます。
もし1本に収まりきらない場合は、「前編・後編」に分ける、またはシリーズ化する方が効果的です。ポイントは「見終わった瞬間にスッキリ理解できる構成」にすること。
③見た人が「シェアしたい」と思う
バズの大きな要因は「視聴者が自ら広げてくれること」です。シェアされやすいのは、役立つ・面白い・感動する・意外性があるなど、感情が動くテーマです。
例えば「面接で絶対にやってはいけない3つの行動」は、新人採用担当者や就活生にシェアされやすい典型例です。ポイントは「自分なら誰に送るか?」を想像してテーマを選ぶこと。
④冒頭で興味を引けるフレーズや映像が想定できるか
テーマが良くても、冒頭で「何が始まるのか」が伝わらないと離脱されます。「なぜか応募者が集まる会社の秘密」や「30秒でわかる売れる陳列法」のように、開始3秒で“見たい理由”を提示できるテーマが理想です。
映像でも、驚きのシーンや印象的な動作から始めると効果的です。ポイントは「最初の一言やカットで視聴者のスクロールを止められるか」を事前にイメージすること。
シナリオ作成の基本ステップ
テーマが決まったら、次は「どう見せるか」を形にしていく段階です。撮影現場で迷わず進めるためには、事前にシナリオ(台本)を用意しておくことが不可欠です。これがあるだけで、撮り直しや余計なカットの発生を防ぎ、視聴者に刺さる流れをスムーズに作れます。
ステップ1|ゴールを明確にする
シナリオ作りの出発点は、視聴者にどんな行動を取ってもらいたいのかを決めることです。採用であれば応募フォームへの誘導、集客なら来店予約、ECなら購入ページへのクリックといった具合に、ゴールを一つに絞ります。
このゴールが明確であればあるほど、動画内で伝えるべき情報や映像の順序も自然と決まります。逆に曖昧なまま進めると、内容が散漫になり「結局何が言いたい動画なのか分からない」状態になってしまうのです。
ステップ2|ストーリーパターンを選ぶ
ショート動画は時間が短い分、構成の型を事前に決めておくことが成果への近道です。例えば、課題解決型なら「課題提示 → 解決策 → 結果・ベネフィット」という流れ、ビフォーアフター型なら「現状 → 改善プロセス → 改善後」、ストーリー型なら「導入 → 展開 → オチ」といった具合です。
型を決めることで、撮影内容やカット割りが整理され、視聴者もストレスなく内容を理解できます。加えて、シリーズ化や複数本制作にも展開しやすくなります。
ステップ3|各カットの内容を具体化する
シナリオは、映像・セリフ・テロップ・BGMなどをカットごとに落とし込むことで完成度が高まります。例えば冒頭3秒は驚きの映像とキャッチコピーを重ね、中盤では具体的な情報や解説を入れ、終盤でベネフィットと行動喚起(CTA)を提示する、といった具合です。
こうしたカット設計を「絵コンテ的メモ」として持っておけば、現場での迷いが減り、撮影時間も短縮できます。結果として、全体のクオリティと制作スピードの両方を確保できるのです。
ステップ4|冒頭3秒の“フック”を強化する
ショート動画の世界では、冒頭の3秒が命です。ここで視聴者の関心を引けなければ、最後まで見てもらえる可能性は一気に下がります。
例えば、問いかけ形式で「あなたの採用動画、これ足りてますか?」と始めたり、数字を使って「売上が2倍になった方法を30秒で解説」と提示する、あるいは意外な行動や映像から入ることで「続きが気になる」心理を刺激します。
このフック部分は撮影中の即興で決めるのではなく、企画段階でしっかり設計しておくことが成功の鍵です。
この4ステップを踏めば、「なんとなく撮って編集で何とかする」ではなく、撮影前から成果が見える動画を作れるようになります。
台本作成のポイントと注意点
シナリオが決まったら、次はそれを具体的な台本に落とし込みます。台本は単なるセリフ集ではなく、撮影から編集までの設計図です。ここが曖昧だと、現場での迷いや撮り直しが増え、結果として時間もコストも膨らみます。
話す内容を“全部書き出す”ことから始める
台本作りの最初のステップは、撮影で話す内容を全て文字に起こすことです。ポイントは、普段の会話よりも簡潔でテンポの良い言葉を意識すること。ショート動画は情報量が多すぎると理解が追いつかず、最後まで見てもらえません。
例えば、
NG例:「この商品は素材にこだわっておりまして、◯◯産の…」
OK例:「この商品、実は◯◯産の素材なんです」
このように短い言葉で要点を伝えることが、視聴者の集中力を維持するコツです。
カット割りを意識した台本構成
台本には、セリフだけでなく「どのカットで何を映すか」もセットで書き込みます。これにより、撮影担当や編集担当が全体像をすぐに理解でき、無駄な素材撮影を避けられます。
例)
- カット1(0〜3秒):机に置かれた商品アップ → 「これ、意外な使い方があります」
- カット2(3〜8秒):人物が実演 → 「たったこれだけで効率2倍」
- カット3(8〜12秒):ビフォーアフター映像 → 「見てください、この変化」
このようにカットとセリフをリンクさせると、編集時の迷いも減ります。
視聴者の行動を促す“CTA”を忘れない
どんなに面白い動画でも、見た後に行動が起きなければ成果は生まれません。そのため、台本の最後には必ずCTA(行動喚起)を盛り込みます。
例えば、採用なら「詳細はプロフィールのリンクから」、ECなら「今なら送料無料」、サービス紹介なら「まずは無料相談へ」など、視聴者が次に何をすべきかを明確に示します。
CTAはあくまで“自然な誘導”が理想で、押し売り感が出ると離脱につながるので注意が必要です。
台本作成時によくある失敗と回避策
台本作成の現場では、以下のような失敗が起こりがちです。
- 情報を詰め込みすぎる → 1本1テーマに絞る
- 映像とセリフがチグハグ → カットとセリフをセットで設計する
- 冗長な言い回し → 会話口調で短く言い切る
- CTAがない → 動画の目的を最後まで意識する
こうした失敗を避けるためには、台本段階で「この動画は何を伝え、何をしてもらうのか」を一目で分かる状態にしておくことが大切です。
しっかり作り込まれた台本は、撮影当日の効率を上げるだけでなく、編集者やSNS運用担当への引き継ぎもスムーズにします。つまり、台本は単なる準備資料ではなく、成果の土台になる重要なツールとなります。
まとめ|企画と構成の徹底を
ショート動画は「撮って出す」だけでは成果につながらず、事前の企画と構成が命です。テーマ設定からリサーチ、ターゲットの明確化、ストーリーパターンの選択、そして台本作成までの流れを丁寧に踏むことで、視聴者の心をつかみ、最後まで見てもらえる動画が完成します。
特に、冒頭3秒のフックや1本1テーマの徹底、映像とセリフの一貫性、明確なCTAなどは、再生数やエンゲージメントを大きく左右する要素です。これらを意識することで、アルゴリズムからの評価も高まり、自然な拡散が期待できます。
今回紹介したステップとポイントは、内製でも外注でも共通して活用できる基礎設計です。まずは小さく試し、反応の良い型を見つけて磨き上げること。この積み重ねが、ショート動画運用の成功と継続的な成果の鍵になります。
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