宿泊施設の自社予約を増やすホームページ設計のポイントと実践法

宿泊施設の自社予約を増やすホームページ設計イメージ

自社予約率の向上は、今や宿泊施設の経営における最重要テーマのひとつです。

OTAに依存し続けることで発生する手数料負担や価格競争からの脱却を図るためには、自らの公式ホームページを強化し、宿泊者との直接的な接点を増やす必要があります。

本記事では、予約される導線設計、UI・UX改善、そしてCV(コンバージョン)率向上を実現するための具体的な手法を、競合との差別化ポイントを踏まえて詳しく解説します。 

目次

宿泊施設の直販におけるホームページの役割とは? 

予約率を上げるUI・UXの設計ポイント 

コンテンツ設計で伝える“選ばれる理由” 

予約エンジンの選定と実装で注意すべき点 

SEO対策・Webマーケティングとの連携 

導入例に見る改善のポイント 

最後に:ホームページ改善で「売れる宿」に進化するために 

 

宿泊施設の直販におけるホームページの役割とは 

宿泊施設にとって公式ホームページは、単なる情報発信の場ではなく、予約獲得のための「販売チャネル」として機能すべき存在です。

多くの宿泊者は、OTAで宿を比較した後に公式サイトにアクセスし、施設の世界観や詳細、プラン情報を確認しています。ここで「予約したくなる導線」が整っていなければ、せっかくのアクセスもCVに結びつきません。 

なぜ「予約されるサイト」が重要なのか 

公式サイトに訪れる人は、すでにその施設に強い関心を持っている見込み顧客です。つまりCVしやすい層。しかし、情報設計が甘かったり、予約までの導線が煩雑だったりすると、予約を諦めて再びOTA経由に戻るケースも少なくありません。

特に予約ページがわかりにくい、あるいは使い勝手が悪いと感じられると、その時点でユーザーの行動は止まってしまいます。ホテル業界は「一瞬の判断」で選ばれる世界。だからこそ、公式サイトにはCV導線の最適化が求められるのです。 

 

OTAページとの情報量・訴求力の差 

OTAでは伝えきれない“独自のこだわり”や“サービス哲学”を表現できるのが自社サイトの強みです。宿の魅力は単に設備や価格だけではありません。オーナーの想い、地域との関係性、ストーリー性ある提供価値など、情緒的な訴求こそが自社予約を後押しする要素となります。

公式サイトでは、そのような「感性に響く情報」を写真・動画・言葉選びまで含めて一貫して届けることが重要です。つまり、OTAでは得られない“体験の入口”を作れるのが、自社サイトの優位性なのです。 

Workplace with tablet pc showing calendar and a cup of coffee on a wooden work table close-up

予約率を上げるUI・UXの設計ポイント 

ホームページ経由の自社予約を増やすには、ユーザーが「迷わず・直感的に・快適に」行動できるようなデザイン設計が欠かせません。

ここではCV率の高い施設が共通して行っているUI・UX改善の要素を紹介します。 

トップページから予約完了までの導線最適化 

ユーザーの導線設計は、訪問から予約完了までをシンプルかつ直感的にナビゲートすることが求められます。

具体的には、予約ボタンを常時画面内に表示させる「固定型ボタン」の導入、CTAの文言変更によるクリック率改善、また、プラン選択後に一貫したトーンと情報で予約完了までの安心感を与えることが重要です。

ページ遷移が多いと感じられるだけで離脱のリスクは高まります。よって、最小限のステップで最大限の情報を提示する設計が鍵となります。 

モバイルファーストと操作性の重要性 

スマートフォンからのアクセスが7割を超える現在、モバイルでの体験設計は予約に直結する要素です。タップしやすいボタンサイズ、親指での操作を前提としたUI、読み込みスピードの最適化は基本です。

また、入力フォームの長さや項目数も予約完了率に影響を与えるため、できるだけ簡素に、かつ予約確定までの心理的ハードルを下げる工夫が必要です。近年では「ステップ式入力」や「プログレスバー付き予約フォーム」なども導入されています。 

コンテンツ設計で伝える“選ばれる理由 

宿泊施設が数ある中から選ばれるには、「この宿に泊まりたい」と思わせる理由を明確に提示する必要があります。

それは単なる設備情報ではなく、感情に訴えるストーリーや体験価値であり、ホームページのコンテンツ全体で表現することが求められます。 

施設紹介とコンセプトストーリーの表現 

ただ情報を並べるだけでは、他施設との差別化にはつながりません。重要なのは、利用者にとって“価値のある時間が過ごせる場所”であると印象づけることです。たとえば「古民家をリノベーションした静かな空間で、地元食材を使った料理を愉しむ滞在」など、宿の特徴が物語として立ち上がるように記述します。

また、施設の背景やオーナーの想いを伝えるページを設けることで、宿泊者との心理的距離を縮めることができます。このようなコンセプトページは、ブランド構築にも直結します。 

レビュー・口コミ・SNS投稿の埋め込み 

宿泊者のリアルな声は、新規顧客にとっての最大の安心材料です。とくにGoogle口コミ、InstagramやX(旧Twitter)などのSNS投稿は、「同じ目線の人がどう感じたか」を伝える重要なファクターです。
これらをWebサイトに連携・埋め込みすることで、サイト上での信頼性が飛躍的に高まります。
写真付きの口コミ、ハッシュタグ検索の導線、動画レビューの掲載など、視覚的にも訴えるコンテンツを充実させることで、「泊まってみたい」と感じる動機を強化できます
close up of note papers on a cork board

予約エンジンの選定と実装で注意すべき点 

ホームページに設置する予約エンジンは、単なる機能ではなく「売上に直結する販促装置」です。導入するエンジンの仕様やデザイン、料金体系がユーザー体験やCV率に大きく影響を与えます。 

主要な宿泊予約エンジンの比較と選び方 

TEMAIRAZU、TLリンカーン、予約プロなどの国内エンジンは、それぞれに特長と弱点があります。TEMAIRAZUは多言語対応やOTA連携に強く、TLリンカーンは業界シェアの高さが安定感を示します。

選定の際は、管理のしやすさ、スマホ対応の画面設計、管理画面の操作性など、現場の運用効率とゲスト体験の両面から評価すべきです。さらに、オプション機能の追加費用や、サポート体制の有無も選定時には重要なチェック項目です。 

サイト一体型か外部リンク型か? 

予約導線の滑らかさはコンバージョン率を左右します。予約画面が自社サイト内で完結する「一体型」タイプは、ユーザーにとって安心感があります。一方で、外部リンクに飛ぶタイプはUIが切り替わることで不安や離脱を誘発しやすくなります。

理想はデザインカスタマイズが可能な一体型、または自社デザインとの統一感が保てるOEM型の導入です。導入費用が気になる施設も、長期的に見ると予約数と顧客満足度に大きな差が生まれます。 

SEO対策・Webマーケティングとの連携 

自社予約を増やすホームページには、検索エンジンからの流入を意識した設計が不可欠です。施設名やエリア名だけでなく、「目的+地域(例:温泉付きホテル 福岡)」などのキーワードで上位表示されることで、見込み顧客との接点を広げられます。

検索から予約までの流れをシームレスに設計することが、自社予約率の向上に直結します。 

施設名+地名で上位表示を狙う方法 

ユーザーが検索する際に最も多いのが「地名+施設ジャンル」の組み合わせです。これに対応するには、Googleビジネスプロフィールの情報を最新に保ち、NAP情報(名称・住所・電話番号)の一貫性を整える必要があります。

また、FAQ構造の導入やスキーママークアップを用いた構造化データの実装も、SEOにおいて効果的です。さらに、マップ検索で目立たせるための画像投稿やレビュー誘導など、ローカルSEOの観点からのアプローチも欠かせません。 

コンテンツSEO・ローカルSEOの活用 

ブログやコラムを通じて、「周辺観光情報」「季節イベント」「地元グルメ」などを紹介することは、宿泊ニーズの喚起だけでなく、検索流入の母数を増やすうえで極めて有効です。

たとえば「福岡 観光 モデルコース」といった検索に対して役立つ情報を発信することで、見込み客との自然な接点が生まれます。

また、SNSや広告と連携しながら、自社サイトへの流入を強化し、最終的な予約獲得につなげる戦略を構築しましょう。地域性を活かした情報発信が、競合との差別化にもつながります。

導入例に見る改善のポイント 

予約導線とスマホUIの改修によりCV率が2.5倍に 

ある宿泊施設では、トップページから予約までの導線を全面的に見直し、特にスマートフォン向けのUIを最適化することで、コンバージョン率が2.5倍に向上したという例があります。

従来は情報が分散し、予約フォームへの到達率が低かったものの、CTAの配置変更、メニュー構成の整理、スクロール導線の改善によって劇的な成果が得られたという例もあります。

このように「情報の整理」と「予約動線の短縮」はCV改善の王道です。 

空室カレンダーの表示形式を変更し予約数が増加 

別の宿泊施設では、空室状況をテキストリンクからビジュアルカレンダー形式に変更することで、予約率が約1.7倍に増加しました。

これまで「空室確認」の段階で離脱するユーザーが多かったことから、カレンダー形式に切り替え、日付と料金をひと目で確認できるUIに刷新。これにより、ユーザーの操作ストレスが軽減され、行動喚起につながる結果となりました。サイトの一部機能改善でも大きな効果をもたら下という例もあります。

最後に:ホームページ改善で「売れる宿」に進化するために 

宿泊施設が脱OTAを実現し、利益率を改善していくには、「予約したくなる自社サイト」の整備が不可欠です。

UI/UX、予約導線、ブランディング、口コミ連携、SEO…すべてがつながる構造をつくることで、直販比率は着実に高まっていきます。特にOTA比率が8割以上を占める施設ほど、自社サイトからの予約獲得に取り組む意義は大きいといえるでしょう。 

自社予約強化や脱OTAへの取り組み、LINE運用や口コミ対策、SNSの活用やブランディングの強化に課題を感じている方は、福岡の広告会社ジャリアにご相談ください。

ホームページのリニューアルからSNS運用設計、予約導線の最適化までトータルサポートを行っています。最新の成功ノウハウと多様な支援実績をもとに、施設の個性を引き出す最適なWebブランド戦略をご提案します。 

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WRITER / ANNO
株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 ブランディングデザインチーム

株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 ブランディングデザインチームは、ジャリアの中でもブランド構築などブランディングに特化したチームです。企業のブランドはもちろん、採用関連も含め、ブランディングを軸に動画やWebサイト設計、パンフレットなど様々なツールの制作、広告代理店だからできる設計するだけで終わらない伴走しながらブランド再生と再認を作り上げるためにクライアントのブランドアイデンティティとブランドイメージの一致を目指し、日々活動しています。