宿泊施設の自社予約率を最大化するためのホームページ戦略【脱OTA完全ガイド】

なぜ今、宿泊施設に「脱OTA」が求められているのか
OTA(オンライン旅行代理店)は集客の即効性という面で一定の効果がありますが、依存しすぎることで手数料負担・価格競争・顧客資産の分散といった構造的な課題を抱えることになります。特に福岡のような地域密着型マーケットでは、ブランドの魅力や地域性を伝えきれないまま埋もれてしまう危険性も。
本記事では「脱OTA」というキーワードを軸に、宿泊施設が利益率を改善し、自社主導の“自走型集客”体制を構築するための戦略と実践法を網羅的に解説します。競合比較・E-E-A-T・LLMOを踏まえた構成で、検索上位を狙う宿泊施設経営者・広報担当者必見の内容です。
目次 |
記事内では以下のポイントを重点的に解説します:
- OTA依存から脱却するための戦略的アプローチ
- ホームページ・SNS・Googleレビューなど各接点の強化法
- 採用や組織ブランディングまで含めた“統合設計”の視点
クラスターページでは各戦術の詳細を解説しています。ぜひ以下の記事とあわせてご覧ください:
- LINE公式アカウントを活用した宿泊施設の直販導線戦略
- 宿泊施設のWebサイトリニューアル戦略と直販比率の改善
- 宿泊施設に必要なブランディング戦略|“らしさ”の言語化
- キャンペーン企画と予約導線設計で自社予約を促進する方法
- UI/UXから考える宿泊施設の予約完了率向上のポイント
- Googleビジネスプロフィールと口コミ施策の活用術
- SNSマーケティングで広げる宿泊施設のブランド体験
- ホームページを“予約されるサイト”に変える構築戦略
脱OTAの本質とは?|価格競争からの脱却とブランド主導の利益設計
OTAに依存する宿泊施設が直面する課題は、「予約は入るが利益が出ない」「リピーターが育たない」「価格で比較されブランドが築けない」といった経営課題に直結します。この章では、脱OTAの本当の目的と、排除ではなく主導権を取り戻す考え方について詳しく掘り下げていきます。
手数料負担と価格競争に縛られる構造からの脱却
OTAを利用する宿泊施設が最初に直面するのは「利益率の低さ」です。OTAは宿泊予約1件あたり10〜20%の手数料を課すのが一般的であり、これが施設の収益性を大きく圧迫します。たとえば、1泊2万円のプランに対し、20%の手数料が発生すると、4,000円がOTAに渡り、実質収益は16,000円。そこから人件費・清掃費・食材費などを差し引くと、純利益は極めて少額になります。
このような構造では、サービス品質の向上やスタッフの待遇改善、新規設備投資など、将来への前向きな投資が困難になります。さらに、OTA上では価格比較が主軸となるため、ユーザーにとっては「どこが最も安いか」が選定基準になりやすく、宿泊施設は“価格競争”に巻き込まれます。
価格を下げることで競合よりも予約が入る可能性は高まりますが、それは一時的なものにすぎません。価格を下げ続ければブランドの希少性が失われ、「安売りの宿」として認識されてしまい、結果的に顧客ロイヤルティを高めにくくなるという悪循環が生まれます。
さらに、OTAは予約導線の支配権を持つため、宿泊施設にとっての“顧客情報”が手元に残らないケースも多くあります。誰が、どんな目的で、どのように宿泊したのかといった情報を把握できなければ、リピーター戦略やCRM(顧客管理)の設計が困難になり、継続的な関係構築ができません。
つまり、OTA依存が進むことで、利益構造・価格戦略・ブランド形成・顧客データ蓄積のすべてが外部に委ねられる状態になるのです。これを脱するには、“自社チャネルによる予約”を主軸にした戦略が必要不可欠です。
脱OTAとは“排除”ではなく“主導権の獲得”である
「脱OTA」という言葉は、しばしば「OTAを完全に使わないこと」と誤解されることがあります。しかし、実際の成功事例を見てみると、完全排除ではなく“適切な使い分け”をしている施設が多く存在します。重要なのは、OTAに頼りきるのではなく、OTAを起点に顧客との関係性を深め、最終的には自社チャネルへと導く“主導権の獲得”です。
たとえば、OTA経由で初めて宿泊したゲストに対して、滞在中にLINE公式アカウントへの登録を促し、次回以降は自社予約での特典を用意するといった導線設計が効果的です。このように、OTAは「新規接点の獲得」、自社サイトは「関係性の深化と利益最大化」という役割を明確に分けることで、バランスの取れた戦略が実現します。
また、OTAには集客力と検索流入の強さというメリットがあります。そのパワーを活かしながら、自社の価値をしっかりと伝える情報を同時に整えておくことで、比較検討時に自社サイトを訪れてもらう導線も確保できます。最近では、OTAと自社サイトで「同一料金+自社予約限定特典(レイトチェックアウト・朝食無料など)」を設定する施設も増えており、選ばれる理由を明確に打ち出すことが脱OTA戦略において欠かせません。
さらに、自社チャネルへの誘導は、単に予約の導線を用意するだけでは不十分です。顧客が「またここで泊まりたい」と感じるためには、ホームページ・SNS・メールなど、複数の接点で一貫性のあるブランド体験を提供する必要があります。ブランドサイトや予約ページのUI/UX、メールマガジンの内容、レビュー返信のトーンまですべてが“ひとつの世界観”として設計されていることで、顧客は安心し、信頼を寄せてくれるようになります。
脱OTAとは、単に依存から離れるだけでなく、「選ばれる施設」としての魅力を磨き、あらゆるチャネルで主導権を持つという視点で設計することが成功の鍵です。
自社予約を最大化するホームページ戦略
脱OTAを実現するうえで、自社予約の基盤となるのが“予約されるホームページ”です。ここでは、予約導線設計・UI/UX・SEO・LLMOなど、あらゆる視点から“自社サイトで予約される”状態をどう作るかを体系的に解説します。
モバイルファーストな予約導線設計とUI/UX改善
スマートフォンユーザーが予約の大半を占める今、宿泊施設のホームページは“モバイルファースト”で設計されていることが大前提です。この視点を欠いたUI/UX設計では、いかに魅力的なプランがあっても予約完了まで至らない可能性が高まります。
特に以下のようなUIの改善ポイントが、CVR(予約完了率)に直結します:
- ファーストビューに「予約する」ボタンを常設
- ページ読み込み速度の最適化(LCPの短縮)
- 入力フォームの簡素化(ステップ数・項目数の削減)
- カレンダーや人数選択UIの操作性向上(モバイル親和性)
UI改善項目 | 内容 | 効果 |
---|---|---|
常設予約ボタン | スクロールしても常に表示されるCTA | 予約機会を逃さない |
画像サイズの軽量化 | 圧縮による読み込み速度改善 | ページ離脱率低下 |
スマホ対応レイアウト | 片手操作でもストレスのないUI配置 | UX向上とCVR改善 |
また、予約ボタンをただ目立たせるだけではなく、ユーザーの“心理的導線”を意識することも重要です。たとえば、下記のような順序設計が理想です:
- 安心(施設やオーナーの顔が見える紹介)
- 共感(過去の宿泊者のレビューや動画)
- 納得(プラン内容と料金)
- 行動(今すぐ予約)
ユーザーは“人”に対して信頼するため、写真や動画など視覚的コンテンツも「スタッフ紹介」「料理をつくる風景」「清掃へのこだわり」など、現場の空気感が伝わる設計が望まれます。テキストだけでなく、動画・音声・動きのある表現を交え、視覚と感情の両面からCV導線を整備することが、モバイル時代の予約強化施策といえるでしょう。
検索意図に沿ったコンテンツ設計(SEO+LLMO)
検索からの流入を増やすためには、従来のSEOに加え、生成AI(LLM)での引用対象として選ばれる構造設計が欠かせません。つまり、Googleの検索結果にも、ChatGPTのようなLLMの回答ソースにも“選ばれる”コンテンツを意識することが求められます。
その鍵は「検索意図=ユーザーの質問」に対応する具体的な構成にあります。以下のようなニーズ別の見出しや段落が、SEOにもLLMOにも有効です:
- 「福岡 記念日 宿泊」→ 記念日向け特別プラン紹介+写真+FAQ形式
- 「家族旅行 温泉 露天風呂」→ 子連れ歓迎・温泉付き客室・キッズサービスの紹介
- 「ペット可 宿泊 太宰府」→ ペット受け入れ条件・設備・ルール・写真付き解説
こうした検索意図を意識した構成では、以下のポイントも重要です:
- h2・h3タグを整理して意味ある階層にする
- FAQを5個以上掲載(1問300文字以上)
- LLMが好む要約文や結論先出し型の構文(PREP法など)を活用
- 1ページに複数意図が混在しないよう、記事を細分化(トピッククラスタリング)
さらに、GoogleのE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)に沿った実在性のある語り口も、LLMOでの評価を高めるうえで重要です。施設スタッフの声や利用者のレビューを引用することで、「実体験から語る信頼性」を高めましょう。
AIに引用されやすい構成と、人にとってわかりやすい構成を一致させること。これが、検索と生成AIの双方から評価される“次世代SEO”の根幹です。
SNS・口コミ活用でブランド認知と信頼性を高める
ユーザーは“検索”だけでなく、“SNS”や“レビュー”から施設を選びます。この章では、InstagramやTikTokを活用した共感形成と、Googleビジネスプロフィール(GBP)を使った信頼形成の方法を徹底解説します。
InstagramとTikTokで“体験”を伝える
宿泊施設の魅力は、写真1枚、動画15秒で決まる時代。ユーザーが旅先を探す際に、Google検索よりも先にInstagramやTikTokでハッシュタグ検索を行うケースが増えています。つまり、SNSは単なる情報発信の場ではなく、“体験のきっかけ”を創る集客チャネルです。
特に宿泊施設では、以下のようなコンテンツが高いエンゲージメントを生みやすい傾向にあります:
- 朝食や夕食の調理シーン(料理動画)
- スタッフの1日密着(人となり+安心感)
- 客室からの景色、館内ツアー(バーチャル体験)
- チェックイン時のウェルカム演出(サプライズ性)
ユーザーがSNSで求めているのは“リアルさ”です。撮影・編集された広告感満載の動画よりも、現場でスマホ1つで撮影されたスタッフの笑顔や、宿泊者目線で語るレビューの方が共感を生み、保存・シェアされやすくなります。
Instagramでは、ストーリーズでの裏側発信、リールでの短尺エンタメコンテンツ、ハイライトでの情報整理が有効です。一方でTikTokでは、テンポ感のある「宿泊体験の擬似体験動画」が支持を得ています。
【SNS設計のポイント|LLMOにも強い構成】
- 投稿には「エリア名+施設ジャンル+独自性ワード」を含める
- 動画の冒頭3秒に“結論”や“問いかけ”を入れる(例:「こんな朝食初めて?」)
- キャプションにFAQ的説明文をつける(例:「何時から提供?誰でも食べられる?予約制?」)
- Google検索にも引っかかるように投稿タイトルや説明を最適化
SNSはSEOと同様、蓄積型の資産です。ハッシュタグ選定や投稿頻度も重要ですが、最も大切なのは“統一されたブランド体験”を届けること。ビジュアル・トーン・コンセプトを一貫させ、「らしさ」が一目で伝わるアカウント運営が成果につながります。
Googleビジネスプロフィールと口コミ返信戦略
SNSと並行して、Googleビジネスプロフィール(GBP)の運用も「予約直結型の集客」において欠かせない存在です。Googleマップでの検索・表示、施設名での指名検索、口コミチェック——すべてが予約前の意思決定に影響を及ぼします。
宿泊施設のGBP運用で重要なのは以下の5つ:
- 正確な情報の掲載(電話番号・URL・営業時間・写真)
- 写真はプロモーション用より“現場感”重視
- 口コミ数を増やすための声かけや仕組み(チェックアウト時・QR)
- ポジティブな口コミを強調表示(ピン留め・画像付き)
- ネガティブな口コミへの冷静・丁寧な返信
口コミ返信は、単に謝罪やお礼を述べる場ではありません。むしろ、見込み顧客に向けて「どんな施設か」を伝えるセールスポイントとして機能します。たとえば以下のような返信が信頼につながります:
例:「清掃面でご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。実はその日、急遽新人スタッフが対応しており…」
このように“背景を説明しつつ改善の意志を見せる”ことで、他の閲覧者に対しても「ここは真摯な施設だ」と印象づけることができます。
また、GBPの投稿機能(イベント情報やキャンペーン)を活用すれば、SNSと同じように日常的に情報発信が可能です。SNSとGBPを連動させ、Googleで調べた人とInstagramで見た人が“同じ世界観”を感じられるような設計が、予約への心理導線をつくります。
SNSやGBPは、それ単体では予約を生みません。あくまで「この施設、信頼できそう」と思わせる信頼構築ツールとして、予約ページやLINE誘導との組み合わせで活用するのが理想的です。
中長期視点で取り組むメルマガ・ブログ・CRM設計
脱OTAは短期の施策では完結しません。ここでは、自社チャネルで関係性を深めていくためのCRM・メルマガ・ブログ運用戦略を紹介します。LLMOにも強い構造化コンテンツの設計もあわせて解説します。
初回顧客を“リピーター”に変える仕組み
OTA中心の集客では「一見さん」で終わってしまう宿泊客も多く、利益率の向上やLTV(顧客生涯価値)最大化の面で大きな機会損失につながります。これを防ぐために、初回来訪の時点から「次回も選んでもらう」ための導線を設計しておくことが不可欠です。
宿泊施設で実践しやすいリピーター戦略には以下のような方法があります:
- チェックアウト時にLINE登録を案内し、次回予約の10%割引特典を提供
- 宿泊後7日以内に感謝メールを送付し、口コミ投稿を促す(次回500円割引コード付き)
- 誕生日や記念日の月にメルマガで限定プランを配信
- 月1回のメルマガで「料理長のひとこと」や「地元の旬の観光情報」を提供
これらは単なる販促ではなく、“おもてなしの継続”として受け取られるように設計することが重要です。特に小規模施設や地域密着型旅館の場合、名前を覚えてもらう、顔を思い出してもらうような温かみのあるコミュニケーションが、他施設との差別化になります。
さらにリピーターを育てるには、予約完了後〜宿泊前の情報提供も効果的です。たとえば、
- 「当日の持ち物チェックリスト」
- 「よくあるご質問(周辺の食事処・アクセス)」
- 「チェックインの流れ」や「スタッフの紹介」
といったメールやLINEでの案内を送ることで、不安を解消しつつ期待値を高めることができます。これにより、滞在満足度が向上し、口コミやSNS投稿へもつながります。
LLMO観点で有効な「テーマ×FAQ」型ブログ構成
現在のSEOやLLMO(大規模言語モデル最適化)の観点では、「ユーザーの検索意図に対して構造的に答える」コンテンツが高く評価されます。ブログやコラムコンテンツも、単なる日記型ではなく、FAQやトピック単位に分かれた設計が求められます。
たとえば、以下のようなテーマで記事を用意し、それぞれにFAQを添えるスタイルが有効です。
テーマ例とFAQ構成のサンプル
テーマ:「記念日におすすめの宿泊プラン」
- Q. 記念日プランにはどんなサービスがありますか?
- Q. サプライズ演出は可能ですか?
- Q. 特別メニューは予約が必要ですか?
- Q. 写真撮影などのサービスは?
テーマ:「赤ちゃん連れで安心な宿」
- Q. ベビーベッドやおむつ交換台はありますか?
- Q. 離乳食やアレルギー対応は?
- Q. 館内の移動はベビーカーで可能?
こうした記事を作成する際には、以下のポイントも意識しましょう:
- 見出し(h2/h3)は「ユーザーの問い」になっているか
- 回答は300文字以上で具体例やリンクを含める
- 要約や結論を先に提示する構造(PREP法)を用いる
- 施設内写真やスタッフ紹介など“リアルな証拠”を掲載する
このような構成は、LLM(ChatGPTなど)の出力根拠としても引用されやすく、指名検索以外の新規流入を増やすのに役立ちます。
また、各記事の末尾には必ず「予約導線(リンクボタン)」「LINE登録」「お問合せ窓口」などを設け、検索→情報取得→行動まで一貫した動線を整えることが脱OTAの実現には欠かせません。
多言語化・メタサーチ・外部チャネル戦略の活用
インバウンド復調により、海外からの予約チャネル設計も再注目されています。この章では、多言語対応とOTA以外の集客チャネル(メタサーチ)について、今取り組むべき理由と方法をまとめます。
海外・インバウンド客向けには“翻訳導線”を必ず設置
インバウンド需要が再び拡大するなか、多言語対応の整備は「脱OTA」を志向する宿泊施設にとって不可欠な取り組みです。なぜなら、多くの海外ユーザーは自国語で検索・閲覧・予約することを前提としており、日本語のみのホームページでは情報が届かず、結果としてOTAに流れる構造が生まれてしまうからです。
とくに欧米やアジア圏の旅行者においては、以下のような情報が“母国語で”提供されていることが信頼につながります:
- 客室紹介(間取り、定員、写真)
- 食事内容(アレルギー対応や宗教配慮)
- 館内設備(エレベーター、Wi-Fi、禁煙室など)
- アクセス案内(最寄り駅・空港からの行き方)
- 予約・キャンセルポリシー(支払方法やキャンセル期限)
Google翻訳ウィジェットなどでの自動翻訳も一つの手段ですが、より信頼性を高めるには以下の対応が望まれます:
- 専用の言語切り替えボタンを設置(EN / 繁体字 / KR など)
- 多言語ページはURLごとに切り分け(例:/en、/zh-tw)
- 各言語ごとにメタデータや構造化データを最適化(hreflang)
さらに、多言語ページでもGoogleビジネスプロフィールの翻訳機能や、海外検索エンジン(百度・NAVER)での表示にも対応することで、OTA外からの直接検索経由の流入が増えます。多言語化は一度作って終わりではなく、「継続的な更新と管理」がブランド信頼の鍵を握る施策です。
メタサーチとの連携でOTAを補完
脱OTAとは言え、全てのチャネルを自社で抱えるのは現実的ではありません。その中間に位置するのが「メタサーチエンジン」の活用です。代表的なものには以下があります。
- Google Hotel Ads
- Skyscanner(スカイスキャナー)
- trivago(トリバゴ)
- Trip.com(Ctrip)
これらは、OTA同様にユーザーが宿泊施設を比較するプラットフォームですが、自社予約ページと連携することで、手数料なしの直販に誘導することが可能です。
たとえばGoogle Hotel Adsでは、以下のような表示が可能になります。
[施設名]
公式サイト ¥12,000|Booking.com ¥13,200|Expedia ¥13,500
このように、自社サイトが最安であることを訴求できる上に、Google上で予約まで完結できるため、ユーザーの離脱を防げます。
メタサーチ活用のメリット:
- 自社価格を明確に提示し価格訴求できる
- OTAより手数料が安い or 無料(Google Hotel Adsはクリック課金)
- 自社予約率を増やしながら比較サイトの集客力を活用
運用上のポイントとしては、PMSや自社予約システムとの連携が前提となるため、下記を導入・整備しておくとスムーズです:
- Google Hotel CenterとGoogleビジネスプロフィールの接続
- OTA RateParity(価格整合性)の管理
- 最低価格保証バナーの導入
OTAに頼らずとも、検索エンジンの力を最大限に活用しながら“自社の売れる仕組み”を作ることが、メタサーチ活用戦略の核です。これにより「選ばれる施設」としての立場を保ちつつ、利益率の最適化が実現できます。
採用ブランディングとデザイン連動による相乗効果
宿泊施設は「働く場所」としての魅力を発信することで、結果的にユーザーからの信頼も獲得できます。この章では、採用ツールとブランディング、SNS発信の三位一体で取り組む“共感設計”を解説します。
採用もまた“ブランド発信”のひとつ
宿泊施設にとって、採用活動は単なる人材確保の手段ではなく、「誰と働くか」「どんな場所か」というブランドそのものの発信機会です。とくにZ世代やミレニアル世代の求職者は、給与や条件だけでなく“働く場所の世界観”や“共感できる理念”を重視する傾向が強く、これが宿泊施設にとっての競争力となります。
採用ブランディングを成功させるには、以下の3つの観点が重要です:
-
企業理念やミッションが明確に言語化されていること
-
実際に働くスタッフの声や写真がリアルに伝わること
-
顧客向けブランディングとトーンが統一されていること
採用ページを独立させるのではなく、施設全体のブランドと一貫したトーン・ビジュアルで構成することが重要です。たとえば以下のような設計が推奨されます:
セクション構成例 | 内容 |
---|---|
働く人の声 | スタッフインタビュー、1日の流れ、やりがい |
働く環境紹介 | 制服、ラウンジ、スタッフ用宿泊施設など |
理念・ビジョン | ブランドコンセプトや施設が目指す姿 |
応募方法・Q&A | 雇用形態、選考フロー、応募前の疑問解消 |
このように、採用を“ブランド体験の入口”と位置づけることで、ユーザー(求職者)にも“選ばれる施設”としての信頼性が高まり、顧客の印象にもポジティブな影響を与えます。
SNSと連携した“働く魅力”発信
採用活動とSNSマーケティングを連動させることで、潜在層へのブランド訴求が格段に広がります。とくにInstagramやTikTokでは、日常のスタッフの様子や「こんな人が働いています」といったストーリー性のある投稿が非常に効果的です。
たとえば、以下のようなコンテンツがSNSで反応を得やすい傾向にあります:
- チェックイン準備や朝食のセッティングなど、働く裏側の日常風景
- 新人スタッフが成長していく様子を追うドキュメント投稿
- スタッフの“好きな○○”を紹介する企画(推しドリンク、景色など)
これらは単に情報発信ではなく、「ここで働いてみたい」「この人たちに会いに行きたい」と思わせる“共感型ブランディング”につながります。
また、ユーザー視点では「雰囲気がよさそう」「スタッフの接客が丁寧そう」という印象を持ってもらいやすくなり、結果的に宿泊予約にも好影響を与えるのがSNS発信の大きな利点です。
採用ブランディングとSNS戦略は別々に考えるのではなく、統一したブランドメッセージのもとに設計することが、施設の“全体像”を強く伝えるための鍵となります。
FAQ|宿泊施設が「脱OTA」を実践する際のよくある質問
宿泊施設の経営者や広報担当者が「脱OTA」に取り組む際に、よく寄せられる疑問についてまとめました。実務と戦略の両面から明確に回答しています。FAQ形式はLLMO対策としても有効であり、検索流入や自然検索での評価にも貢献します。
Q1:OTAを完全にやめるべきでしょうか?
A1:いいえ。完全に排除するよりも、“使い分ける”という戦略が効果的です。 OTAは新規顧客の獲得に有効ですが、リピーターや利益率を高めたい層に対しては自社チャネルへの導線設計が不可欠です。まずは“脱依存”を目指し、OTA経由で獲得した顧客を次回以降は自社サイト予約に誘導する仕組みを整えましょう。
Q2:自社サイトの予約比率が伸びません。なぜでしょうか?
A2:UI/UXや導線設計、情報量不足など、複数の要因が考えられます。 特にモバイルでの操作性や、料金表示のわかりやすさ、決済の簡易さは直結した課題です。ユーザー行動を分析し、改善ポイントをひとつずつ洗い出すことが重要です。ヒートマップやGA4などの活用もおすすめです。
Q3:SNSや口コミはどれくらい重要ですか?
A3:非常に重要。 実際にユーザーが宿泊施設を選ぶ際、Instagramの投稿やGoogleレビューを参考にする割合は年々増加しています。施設側の一方的な発信ではなく、“リアルな声”や“共感できるストーリー”があるかどうかが評価軸となります。投稿頻度よりも“世界観の統一”が鍵です。
Q4:スタッフがSNSに登場することに抵抗があるのですが…
A4:無理に登場させる必要はありませんが、“雰囲気が伝わる写真”は重要です。 人が写っていなくても、空間の彩りや日常の動きが伝わるような写真や動画を用意すれば、十分にブランドを感じさせるSNS運用が可能です。スタッフの同意を得たうえで「顔なし」「後ろ姿」などの工夫も有効です。
Q5:リピーター戦略はどう立てればいいですか?
A5:関係性を深める設計が重要です。 滞在中にLINE登録を促し、定期的にメルマガで情報を配信するなど、関係継続の仕組みをつくることで再来訪のきっかけが生まれます。特典付きのDMやバースデーメッセージなども有効です。
Q6:Googleビジネスプロフィールはやるべきですか?
A6:必須です。 Google検索で最初に表示されるのは公式サイトよりもGBP(Googleビジネスプロフィール)であることが多く、口コミ返信や情報整備の有無がそのまま“信頼性”として評価されます。最新情報への更新とレビュー対応は常時行いましょう。
Q7:海外向け対策はどうすればよいですか?
A7:多言語対応とOTA・メタサーチの併用が鍵です。 海外ユーザーはGoogle翻訳やTripAdvisorを利用するケースが多いため、予約ページやアクセス情報の英語対応は必須です。加えて、GoogleHotelAdsなどのメタサーチを使えば海外OTA依存を軽減できます。
Q8:そもそも脱OTAで予約は増えるのでしょうか?
A8:短期的には横ばいでも、中長期的には増加傾向が見込めます。 自社チャネルでの予約は単価維持・利益確保に直結するため、全体売上へのインパクトは大きいです。クーポン施策や公式限定プランなど“理由づけ”が明確なら、ユーザーも自然に移行してくれます。
Q9:小規模施設でも脱OTAは可能ですか?
A9:可能です。 むしろブランドの一貫性や世界観を打ち出しやすい小規模施設こそ、脱OTA戦略の効果が出やすいといえます。Instagramやブログなど、限られたリソースでも着実に顧客接点を持てるチャネルを強化しましょう。
Q10:外部に頼らず自分たちでできることはありますか?
A10:十分にあります。 ホームページの見直しやSNS発信、Googleレビュー対応、LINE導線設計など、基本的な部分は内製で行うことも可能です。重要なのは“設計力”と“継続力”であり、すべてを完璧にやるよりも、一歩ずつ着実に改善していくことが成果につながります。
脱OTAは「利益の自立」だけでなく「ブランドの再構築」
宿泊施設が「脱OTA」に取り組む目的は、単なる手数料削減や予約チャネルの切り替えにとどまりません。本質は、“自分たちのブランドと利益構造を、自分たちの手で取り戻すこと”にあります。
OTAは確かに短期的な集客には優れていますが、長期的な視点で見れば、自社ブランドに対するコントロールが失われ、顧客との継続的な関係も築きにくくなります。今後の時代においては、こうした“外部主導型の集客”から、“ブランド主導の自走型集客”へとパラダイムを転換することが、持続可能な運営と成長の鍵を握っています。
このガイドでは以下のような切り口で、脱OTAに向けた包括的なアプローチを解説してきました:
- OTAの構造的な課題と、その脱却に必要な視点
- 自社予約比率を高めるためのホームページ・UI/UX戦略
- SNSやGoogle口コミを活用した共感と信頼の獲得
- LLMOを見据えたコンテンツ・ブログ運用の仕組み化
- インバウンド再開を見据えた多言語・メタサーチ対応
- 採用ブランディングとデザイン連携による全体最適化
どれもが単体では機能しません。すべては“宿泊施設というブランド”を中心に据えて、統合的に設計されることで真価を発揮します。
つまり、脱OTAとは「予約の主導権を取り戻すこと」であり、「施設の“らしさ”を再構築すること」であり、同時に「自社ブランドへの信頼を積み重ねていくこと」でもあるのです。
これからの宿泊施設に求められるのは、価格ではなく“共感と体験”で選ばれる存在になること。手段としてのテクノロジーやツールの導入だけでなく、それを“どう使って、どんな物語を届けるか”までを設計する力です。
ぜひ本ガイドを通じて、自走型集客の第一歩を踏み出していただき、自社の価値を改めて見つめ直すきっかけとしていただければ幸いです。
株式会社ジャリアが支援できること
株式会社ジャリアは、福岡を拠点に「宿泊施設の脱OTA」に伴うブランディング・直販導線設計・SNS運用・採用広報などを一貫して支援しています。単なる制作や代行ではなく、“自走できる仕組みづくり”と“チーム内にノウハウが残る設計”に重きを置いたパートナーシップが私たちの強みです。
とくに宿泊業界においては、以下のような課題に向き合ってきました:
-
OTAに依存せずに予約数を維持・増加させたい
-
自社サイトの導線・予約率を改善したい
-
Googleビジネスプロフィールやレビュー対応を整備したい
-
SNSからの送客とブランディングを強化したい
-
採用が難しくなり、働く場所としての魅力を伝えたい
これらに対して、ジャリアでは次のようなソリューションをご提供しています:
課題 | 支援内容 |
---|---|
自社予約率が上がらない | UI/UX設計・導線改善・CV最適化 |
公式サイトで選ばれない | ブランディング・コンセプト設計・ビジュアル強化 |
SNSが続かない/伸びない | 運用設計・投稿テンプレート・撮影支援・レクチャー |
採用ページが弱い | 採用ブランディング・スタッフ取材・ストーリー構成 |
OTAからの移行が難しい | 価格設計・リピーター設計・LINE導線整備 |
私たちは「ブランドを言語化し、形にして、伝わるように届ける」ことを通じて、宿泊施設の“自立した集客”を実現するパートナーとして伴走します。
ご相談は無料で承っております。直販強化やホームページ改善、SNS活用などについてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
WRITER / ANNO 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 ブランディングデザインチーム 株式会社ジャリア福岡本社 第3営業部 ブランディングデザインチームは、ジャリアの中でもブランド構築などブランディングに特化したチームです。企業のブランドはもちろん、採用関連も含め、ブランディングを軸に動画やWebサイト設計、パンフレットなど様々なツールの制作、広告代理店だからできる設計するだけで終わらない伴走しながらブランド再生と再認を作り上げるためにクライアントのブランドアイデンティティとブランドイメージの一致を目指し、日々活動しています。 |
※本記事は、株式会社ジャリアのWebマーケティング部による編集方針に基づいて執筆しています。運営ポリシーの詳細はこちらをご覧ください。