自社サイトを最大化する宿泊施設のホームページ活用術

「価格勝負から抜け出したい」——これは多くの宿泊施設が抱える切実な課題です。OTAでは“最安値”が優先されるアルゴリズムが強く働くため、宿本来の魅力やサービス価値が評価されにくくなってしまいます。
こうした状況を打破する鍵が“ブランディング”です。宿の個性や世界観を磨き、共感されるストーリーを持たせることで、価格ではなく“価値”で選ばれる宿になる。
この記事では、宿泊業におけるブランディングの具体的な実践法を、事例も交えながら深掘りしていきます。
目次 |
ブランディングが宿泊施設にも必要な理由
一見「ブランディング」と聞くと、大手チェーンホテルや都市型高級リゾートだけのものと感じる方も多いかもしれません。
しかし、個人経営の宿や地方の旅館こそ“選ばれる理由”を明確にするブランディングが重要です。価格以外の基準で比較される状態をつくることが、自社予約やリピーター獲得につながるからです。
宿の“世界観”が価格以上の価値になる
たとえば「静寂に包まれた山間の宿」「本格精進料理が味わえる禅体験の宿」など、滞在そのものがユニークな体験として認知されれば、ユーザーは金額だけで判断しなくなります。
ブランディングとはロゴや色使いの話ではなく、「何を提供する宿なのか」を言語化し、視覚・行動・接客すべてに一貫性を持たせる取り組みです。これにより、価格比較を避けて“指名買い”される宿になるのです。
小規模宿こそブランド力で差別化を
大手と同じ土俵で戦うことを前提にしないことが、個性ある宿にとってのブランディングの本質です。スタッフの温かみ、地元とのつながり、建物の歴史、季節の演出など、小規模宿ならではの要素はすべて“ブランド資産”になります。
競合との差別化が難しいと思われがちな宿泊業界において、ブランド戦略は規模の大小を問わず活かせる武器となります。
ブランド設計のステップと内部の言語化
宿泊施設のブランディングは、ただ「おしゃれなデザイン」を整えるだけでは成立しません。第一に行うべきは、“その宿らしさ”をスタッフ全員が共有できるように言語化することです。
理念やコンセプトをあらためて言葉にすることで、運営の判断基準や接客のトーンにも一貫性が生まれます。
コンセプト設計は“誰のための何か”を明確に
「都市部のストレスを癒すための自然体験の宿」「祖父母と孫が一緒に泊まれる多世代型宿」など、ペルソナを明確にして言葉に落とし込むことで、打ち出す価値も具体的になります。
また、こうした言葉はホームページやパンフレット、SNS投稿文などあらゆる発信の起点にもなり、統一感のあるブランド発信を支えてくれます。ブランド設計とは、表現よりも“考えを整える”ところから始まるのです。
スタッフの行動指針を言語化し共有する
ブランドは表面的な見せ方だけでなく、日々の接客や館内でのふるまいによって形作られます。そのため、スタッフ間で「うちの宿はこういう接し方を大事にしている」「こんな言葉づかいを意識している」といった行動レベルのガイドラインを共有することも重要です。
これにより、どのスタッフからも“一貫した宿の印象”が伝わり、ブランドへの信頼が強化されます。内面の統一こそが、外面のデザインを生かす基盤となります。
ビジュアルデザインと空間ブランディング
宿泊施設の“世界観”は、見た目や空間設計を通じてユーザーに直感的に伝わります。ブランドのコンセプトが定まったら、それを「見える形」にするフェーズが始まります。
ロゴ、カラー、フォントの統一設計
ロゴマークやカラー設計は、施設のコンセプトと整合性を持たせることが前提です。たとえば、自然との調和を重視する宿であればアースカラーを基調とし、手書き風のフォントで温もりを表現することができます。
SNSアイコン・パンフレット・Webサイトなど、あらゆる媒体においてブレのない表現を整えることで、信頼感やプロフェッショナルな印象を醸成できます。
館内演出や什器にも“意図”を持たせる
滞在体験に“始まりと終わり”を持たせる
例えばチェックイン時に「ようこそ、◯◯な時間をお過ごしください」とコンセプトを伝え、チェックアウト時に「また△△なひとときを過ごしにいらしてください」と締めることで、滞在が“ひとつの物語”として完結します。
宿での体験が単なる宿泊ではなく、「記憶に残る体験」として昇華されることで、宿泊者の心に深く刻まれます。物語の主人公はあくまでゲストであり、宿はその舞台と演出者なのです。
小さな“ストーリーのしかけ”を館内に点在させる
館内のいたるところに「ここだけの物語」を仕込むことも効果的です。
たとえば客室に季節の一筆箋を置く、ラウンジに地元作家の本を並べる、部屋ごとに異なるテーマ性を設けるなど、“語れる仕掛け”があるとゲストは自然と宿のストーリーに巻き込まれます。
Instagramでの投稿や口コミで紹介されることも増え、ブランドとしての認知度や親近感が強まります。
実例から見る“価格競争からの脱却”に成功した宿
高単価でも指名予約が増えたリノベ宿
とある地方宿では、古民家をリノベーションした施設を「暮らすように泊まる」というコンセプトで展開。
ビジュアルをナチュラルに統一し、食事も地元食材を生かした“おばんざい”形式に変更したところ、OTAではなく自社サイトからの「指名予約」が増加。価格は周囲より高めながらも、「あそこに泊まりたい」という動機がブランド価値に結びついています。
ブランド設計によってSNS反響が3倍に
別の宿泊施設では、Instagramの投稿内容・ロゴ・パンフレット・客室備品のトーンをすべて統一し、「心を整える滞在」というブランドコンセプトを打ち出しました。
ビジュアル統一により、投稿の保存数やシェア数が大幅に増加し、結果的に予約転換率も上昇。価格が多少高くても「この雰囲気が好き」と言われる宿に育ちました。ブランドは“感情”に訴えかける最大の差別化要因です。
最後に|価格競争ではなく“価値”で選ばれる宿へ
これからの宿泊業において、価格競争から抜け出すためには、自分たちの宿の「意味」を明確に伝えるブランディングが不可欠です。理念・設計・接客・発信まで一貫性を持ち、共感で選ばれる宿になることで、競争の土俵そのものを変えることができます。
宿の価値を再設計し、ブランドとして確立していくためのサポートは、福岡の広告会社ジャリアにお任せください。
コンセプト設計からロゴ制作、SNS・Webデザイン・パンフレット設計、現場スタッフへのブランド教育まで、宿泊業界の現場を知る視点で支援いたします。
詳しくはhttps://jarea.jp/をご覧ください。
●宿泊施設の自社予約率を最大化するためのホームページ戦略【脱OTA完全ガイド】
WRITER / Yigg 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBコーダー 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |
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