海外マーケティングとは?効果的な戦略の立て方や手法、注意点まで徹底解説!

国内向けのビジネスが軌道に乗り、ある程度成果を出せれば、多くの企業が日本を飛び出し海外に市場を広げ、認知拡大や利益向上を図ります。
しかし、国内向けのマーケティングと同じような考え方や手法で進めても失敗に終わる可能性が高いため、海外に合わせた考え方と手法をしっかりと理解した上でマーケティングを展開していく必要があります。
そこで今回は、海外マーケティングの戦略の立て方から効果的な手法や注意点について解説していきたいと思います。
海外マーケティングとは
海外マーケティングとは、海外に住んでいるユーザーをターゲットにして、自社の商品やサービスを認知し、購入してもらえるような仕組みをつくることを指します。
日本では少子化が進み、様々な市場が縮小傾向にあります。一方で、海外では人口が増え続けており、それに伴いインターネットユーザーも増加しているため、ビジネスをより拡大していくためには海外マーケティングに取り組む必要がでてきます。
海外マーケティングでは国内マーケティングよりも事前準備や運用にコストがかかってしまいますが、成功すれば日本の何倍ものユーザーに広く知ってもらえ、多大な利益が見込めます。
海外マーケティングにおける戦略の立て方と進め方
海外マーケティングを国内のマーケティングと同じようなスタンスで進めても大きな成果は期待できません。
ここでは、海外マーケティング戦略の立て方と進め方について解説していきたいと思います。
1. 海外マーケティングを行う目的の明確化と目標設定
海外マーケティングに限りませんが、何か施策を行う際は必ず最初に目的を明確化する必要があります。
海外マーケティングでは特に、市場や取り巻く環境がどんな状態であるのかを把握することが国内よりもはるかに難しくなってくるため、目的を明確にしていないと早い段階でブレが生じてしまい、失敗に終わってしまう可能性が高まります。
また、特定の地域に絞れば情報収集の範囲も限られるためそのぶんコストも抑えられますが、全世界に向けるとなると、かなりの時間と費用を投資することになり、集めなければならない情報も膨大になります。
何を目的にするかによって海外マーケティングの進め方は大きく異なるため、コストを無駄にしないためにも目的は社内全体で共有し、認識をすり合わせながら進めていきましょう。
2. 海外マーケティング対象国の市場調査と分析
海外マーケティングを行ううえで、最も重要と言えるのが対象国の市場調査と分析です。海外マーケティングでは国内の場合よりもさらに綿密に調べ上げる必要があります。
日本と海外では、文化も、価値観も、法律も、売れる商品の傾向も大きく異なるため、まずは対象国への理解を深めることが必要不可欠です。最初に設定した目的と目標に沿って、市場、顧客、競合、法規制などの必要な情報を事前に収集し、自社が参入した場合に成功するかどうかを見極めます。
相手のことがわかっていれば多角的な思考ができるようになり、様々な施策を検討できます。リスクを回避できる確率もグッと上がるため、コストを無駄にすることもなくなります。
3C分析、SWOT分析、PEST分析などの代表的な分析手法を用いて海外マーケティングにおける戦略立案や意思決定を行い、他社との差別化を図りましょう。
3. 海外マーケティングを行うターゲットの絞り込み
海外マーケティング対象国の市場調査・分析を行ったら、次はターゲットを絞り込みます。膨大な数のユーザーを属性ごとに分類するセグメンテーションを行い、自社との親和性が高いユーザーをターゲットに設定します。
ここでいう属性とは、性別や年齢だけでなく、居住地や職業、家族構成、興味関心、抱えているニーズなども含まれ、グループ分けの方法は様々です。
ターゲットの絞り込みはマーケティングの費用対効果を高めるために欠かせない工程です。最初から興味を持ってもらえる海外ユーザーに絞ることで必然的にコンバージョン率も上がります。
自社が提供する価値によってニーズを解消でき、尚且つ他社にも勝てる可能性が最も高いユーザー層を選びましょう。
4. 海外マーケティングの媒体・手法の選定
海外マーケティングでは様々な手法を使ってユーザーに訴求することができますが、どんな国でも同じ手法が使えるわけではありません。
例えば、リスティング広告やSEOに取り組むとなれば、日本ではGoogleが圧倒的なシェアを誇るためGoogleをメインに施策を行うことになります。一方で、中国ではBaidu、ロシアではYANDEXのシェア率が最も高いため、Googleの施策に注力しても意図する成果は得られません。
海外マーケティングでは、対象国で最も利用されている検索エンジンや検索されているキーワードを調査することで、確度の高い海外ユーザーに広告を表示したり、上位表示を狙って集客につなげることができます。
5. 海外マーケティングの実施・効果測定
海外マーケティングで施策を実施した後は、どんな効果が得られたのかを明確にし、改善を図ります。
1~4の工程を経て定めた海外マーケティング戦略において、想定した成果が出ているのか、出ていなければ何が原因なのかを突きとめ、今度はその原因を解消したうえで成果を出せる施策を考え、実行します。これを繰り返すことで最適解を導き出します。
海外マーケティングで効果的な手法5選
ここでは、海外マーケティングで効果的な、取り組むべき手法をご紹介します。
WEBサイト制作
WEBサイト制作は海外マーケティングにおいて効果的というよりも必須の手法となります。
海外進出の地域が限定されているのであれば新たにサイトを制作したり、複数拠点で展開するのであればモデルサイトを構築し、各拠点で流用しながらその地域に合ったコンテンツも発信していくという方法があり、企業の海外戦略によって適切なWEBサイト制作の進め方は変わります。
また、海外マーケティングのWEBサイト制作では翻訳やデザインが重要なのはもちろんですが、問い合わせ窓口をきちんと設置しておくことが重要です。海外の企業ということで疑問点が生まれることも多いため、気軽に質問や相談ができる窓口があることを示し、海外ユーザーに安心して利用してもらえるようにしましょう。
SNSマーケティング
海外ではインターネットの普及が拡大し、SNSの利用率も上昇しているため、現在の海外マーケティングではSNSの活用が必須となっています。
多くのSNSにはシェアできる機能が搭載されているため、ユーザーの興味をひきつけて拡散してもらえれば瞬く間に世界中に企業の存在が知れ渡ることも十分にあり得ます。
海外マーケティングと言うとハードルが高いと感じてしまうこともあるでしょう。しかし、SNSをうまく活用すれば、コストを抑えながら日本の何倍ものユーザーに存在を知ってもらえ、海外でのビジネス基盤を固めることができる可能性を秘めています。
国によって利用されているSNSは異なるため、事前調査を入念に実施し、どのSNSを活用すれば認知が広がり、尚且つ自社の魅力が伝わりやすいのかを判断しましょう。
SEM
SEMとは、「Search Engine Marketing (検索エンジンマーケティング)」の略称で、SEOとリスティング広告を含む、検索エンジンを使ったマーケティング活動のすべてを指します。
海外マーケティングでSEO対策を行う際は、調査ツールの国と言語を再設定する必要があります。コンテンツは海外ユーザーのニーズに応えるものを作成し、読みやすさを重視します。
リスティング広告は短期間で一気に集客できる爆発力があるため、WEBサイトを立ち上げたばかりであれば中長期的な施策であるSEO対策と併用することで大きな効果が期待できます。
広告費を無駄にしないためには、現地のターゲットユーザーが検索しているキーワードを調査しておくことが重要です。検索背景を想像し、どんなキーワードとテキストで訴求すれば海外ユーザーに刺さるのかを考えます。ネイティブの人材に協力してもらうことでコンバージョンにつながるコンテンツを作成しやすくなります。
海外マーケティングにおいてリスティング広告運用を成功させるポイントについて、下記の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
●海外マーケティングにおけるリスティング広告運用のポイント|訪日外国人集客
動画マーケティング
YouTubeやTikTokといった動画配信サービスは海外でも非常に人気が高く、海外マーケティングでは優先して取り組むべき媒体と言えます。
動画はテキストよりも届けられる情報量が圧倒的に多く、視覚的に訴求できる点やインパクトを与えて記憶に残りやすい点がメリットとして挙げられます。
また、動画マーケティングは言語が違っても伝えられる情報が多く、表現方法の幅も広がるため、自社らしさを前面に出した魅力的な宣伝が可能になり、認知も一気に広がります。
動画を配信できる媒体も多種多様になっているため、海外ユーザーにもスムーズに情報発信できるでしょう。
プレスリリース
プレスリリースとは、企業がマスコミに対して新商品・サービスの発売や経営に関する新しい情報を知らせるための文書です。海外マーケティングでもプレスリリースを利用して海外メディアに取り上げてもらえれば、膨大な数の海外ユーザーにリーチすることが可能になります。
海外でのプレスリリースを成功させるためには、まずは大きなメディアを狙うのではなく現地のジャーナリストとコネクションを作ったり、ジャーナリストが興味を示しそうな記事を執筆するなどの入念な下準備が重要です。海外の企業でも信頼できることが伝われば取り上げてもらいやすくなります。
また、プレスリリース配信サービスの利用もおすすめです。費用はかかりますが、現地企業と直接提携しているため多くの海外ジャーナリストやメディアに配信してもらえます。翻訳も請け負っているところがほとんどなので、言語に自信がなくても情報を広く発信できるでしょう。
海外(アジア)向けSNSマーケティング
世界的なSNS利用者の増加に伴い、海外の中でもまずはアジアに進出し、SNSマーケティングに取り組もうとしている企業も多いかと思います。
そこで、ここではアジアの国々で利用されているSNS媒体や海外向けSNSマーケティングの手法・得られる効果についてご紹介します。
世界のSNS利用率
まずは世界のSNS利用率を見てみましょう。
出典:DIGITAL 2023: GLOBAL OVERVIEW REPORT:DataReportal
順位 | SNS名称 | 月間利用者数(MAU) |
1位 | 29億5,800万人 | |
2位 | YouTube | 25億1,400万人 |
3位 | 20億人 | |
3位 | インスタグラム | 20億人 |
5位 | 13億900万人 | |
6位 | TikTok | 10億5,100万人 |
7位 | Facebook Messenger | 9億3,100万人 |
8位 | Douyin | 7億1,500万人 |
9位 | Telegram | 7億人 |
10位 | SnapChat | 6億3,500万人 |
世界で最も人気のSNSはFacebookで、月間29億人以上の利用者数を誇ります。Facebookは実名制で他のSNSより情報の精度が高いという大きな強みがあり、SNSマーケティングにおいて優位性を持っています。
YouTubeは世界最大の動画サービスということで2位というのも納得ですが、同じく動画サービスのTikTokは比較的新しいSNSであるにも関わらず6位に君臨し、海外でも勢いのあるSNSであることがわかります。SNSマーケティングでも多くの国で優先して取り組むべき媒体と言えるでしょう。
また、日本ではメッセンジャーアプリというとLINEが代表的ですが、海外ではLINEと同様に気軽にメッセージを送り合えるWhatsAppの利用率がかなり高く、インスタグラムと並ぶ結果となっています。
海外(アジア)で利用されるSNS媒体
SNSの種類は今や数えられないほど増えていますが、同じアジアでも日本にとって馴染みのないSNSが利用されていることもあります。効果的なSNSマーケティングを行うためには、まずは対象国でどんなSNSが利用されているのかを把握しておく必要があります。
ここでは、隣国の中国と韓国、インバウンド消費額1位の台湾、世界最大人口となったインド、近年海外マーケティングの有望進出先となっているベトナムの5か国で人気のSNSを紹介します。
中国
1位 | Douyin |
2位 | bilibili動画 |
3位 | Red |
4位 | |
5位 |
出典:【2023年最新版】中国SNSランキングTOP5とは?:CROSS BORDER NEXT
中国ではインターネット規制が行われており、Facebook、インスタグラム、X、YouTubeなど世界で人気のSNSを利用できません。そのため、国内独自の多種多様なSNSがリリースされており、利用者の大半が中国人ということがほとんどです。
中国向けのSNSマーケティングでは、まず各SNSの特性や傾向をしっかりと調査して自社と相性の良いものを見極めることが重要です。
韓国
1位 | KakaoTalk |
2位 | YouTube |
3位 | インスタグラム |
4位 | X(旧Twitter) |
5位 |
最も人気のSNSであるKakaoTalkは韓国を代表するSNSで、通話やチャット、写真や動画の共有ができるメッセンジャーアプリです。韓国に向けてSNSマーケティングをするのであれば必ず押さえるべきSNSです。
また、世界的には利用者が少ないXが4位でFacebookよりも上位になっており、一定のシェアを獲得しているため、韓国ではXも有効な媒体として活用できるでしょう。
台湾
1位 | YouTube |
2位 | |
3位 | LINE |
4位 | インスタグラム |
5位 | TikTok |
1位と2位は世界的にも人気のYouTubeとFacebookがランクインしましたが、LINEがインスタグラムを抑えて3位となっています。LINEは日本で最も多く利用されているSNSですが、日本の他に台湾、タイ、インドネシアでも高い利用率を占めています。
海外向けだからといってLINEを除外するのではなく、上記3か国向けのSNSマーケティングではLINEの運用にも注力すべきと言えます。
インド
1位 | YouTube |
2位 | |
3位 | インスタグラム |
4位 | SnapChat |
5位 | Facebook Messenger |
出典:インドのデジタルマーケティングトレンド2022:GDX
1~2位は台湾と同じで、YouTubeとFacebookはインドにとってもポピュラーなSNSのようです。基本的にアジアのSNSマーケティングではこの2つのSNSに取り組むことが必須と言えます。
また、インドではSNS利用者のうち26.5 パーセントが女性で、73.5 パーセントが男性と圧倒的に男性の利用率が高いです。一般的に女性の利用率が高いインスタグラムも主に男性が利用しているため、男性向けの商材を扱う企業がマーケティング効果を得やすいと言えます。
ベトナム
1位 | |
2位 | Zalo |
3位 | Facebook Messenger |
4位 | TikTok |
5位 | インスタグラム |
出典:【2022年】東南アジア・SNS市場の変化:INFO CUBIC
ベトナムでもFacebookが圧倒的人気のようです。2位のZaloはベトナム発の多機能メッセンジャーアプリで、WeChatと同様に様々なシーンで便利なSNSです。ほとんどのスマホユーザーが利用しているため、ベトナムのSNSマーケティングでは外せないアプリです。
4位はTikTok、5位はインスタグラムとなり、ビジュアルで訴求する手法も効果的と言えます。ベトナムのTikTok利用者数が世界6位であることからも、動画で映える商材を扱う企業やTikTokでSNSマーケティングを強化したい企業は検討してみても良いかもしれません。
海外向けSNSマーケティングの効果
認知拡大
世界中のインターネットユーザーの9割以上がSNS利用者であることから、海外向けSNSマーケティングを行うことで、国内に限定した場合と比べられないほど多くのユーザーに認知してもらえる可能性が高まります。
近年は検索エンジンよりも先にSNSを開いて商品やサービスを認知し、SNSに投稿されている口コミを参考にして検討→購入に至るケースが多くなっています。
海外向けSNSマーケティングによってまだニーズが明確になっていない潜在層を掘り起こし、顕在層へと遷移させることでコンバージョンにつなげやすくなります。
ブランディングを図れる
SNSマーケティングでは、テキストのみならず画像や動画を用いて短時間で膨大な情報を伝えることができるため、自社が浸透させたい理想のイメージを海外ユーザーにも持ってもらい、ブランド価値を確立することが可能です。
自社がどんな理念を持っていて、どんな商品を販売していて、どんなニーズに応えることができるのか、SNSマーケティングを通して海外ユーザーに理解してもらうことで他社との差別化につながり、選ばれる企業に成長します。
海外ユーザーとの信頼関係が深まる
従来のマーケティングでは、企業側が一方的に宣伝するだけだったため、押し売りされていると感じて嫌悪感を抱くユーザーも多くいました。しかしSNSマーケティングでは双方向のコミュニケーションが可能です。
そのため、企業はユーザーの反応を受けてひとりひとりに感謝の気持ちを伝えたり、今後の商品やサービスの開発、マーケティング運用の改善に役立てます。
海外ユーザーはその姿勢を見て企業をより身近な存在として認識し、評価も高くなります。また、心理的な面での付加価値も高くなるためブランディングにもつながり、海外市場での優位性を見出せるようになります。
海外向けSNSマーケティングの手法
アカウント運用
アカウントの運用は、自社がどんな会社であるのかを伝えるためにも、海外ユーザーとコミュニケーションをとるためにも必要不可欠なマーケティング施策です。
日々の投稿で自社の価値を示し、認知してもらうところから優良顧客になるまで育成し、海外での知名度や好感度を上げていくことができます。
海外企業だからと一線を引くのではなく、現地の言葉で企業側から進んで情報を発信するSNSマーケティングを行い、交流を深めようとする姿勢が海外ユーザーの心を開き、受け入れられるようになります。
インフルエンサーマーケティング
海外向けSNSマーケティングで利益を上げるためにはまず認知度を上げる必要があり、認知度を上げるためには多くのリーチを獲得しなければなりません。
そこで、SNS上で影響力が高いインフルエンサーを起用して商品を紹介してもらうことで認知拡大を図ります。
自社がターゲットとする多くの海外ユーザーから支持されているインフルエンサーに発信してもらえれば訴求力が強まり、逆に広告感は弱まるため興味を持ってもらいやすく、コンバージョン率も上がります。
SNS広告
下記の記事ではアジアの中でも日本と関係が深く、海外マーケティングの候補に挙がりやすい韓国と台湾向けに効果的な広告手法について紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
●NAVER広告とは?韓国向けPRに最適な広告手法と効果を高めるポイントを解説!
●台湾向け広告に効果的な手法や特徴、運用ポイントを解説!|訪日外国人集客
インバウンド集客とは
インバウンド集客とは、訪日外国人向けにコンテンツを発信して接点を持ち、興味を持ってもらい、商品・サービスの購入や利用に結びつけるマーケティング施策のことです。
そもそも「インバウンド」とは、外から中に入ってくることを指し、現在は訪日外国人客を表す言葉として一般的になっています。
入国規制緩和や緊急事態宣言の終了により訪日外国人が着実に増え続けている今、インバウンド集客に積極的に取り組むことでより大きな利益を生み出せる可能性が広がっています。
訪日外国人数の推移
日本政府観光局(JNTO)によると、2019年1~9月と2023年1~9月のインバウンド数の推移は以下の通りです。
2019年 | 2023年 | 伸び率 | |
1月 | 2,689,339 | 1,497,472 | -44.3 |
2月 | 2,604,322 | 1,475,455 | -43.3 |
3月 | 2,760,136 | 1,817,616 | -34.1 |
4月 | 2,926,685 | 1,949,236 | -33.4 |
5月 | 2,773,091 | 1,899,176 | -31.5 |
6月 | 2,880,041 | 2,073,441 | -28.0 |
7月 | 2,991,189 | 2,320,694 | -22.4 |
8月 | 2,520,134 | 2,156,900 | -14.4 |
9月 | 2,272,883 | 2,184,300 | -3.9 |
2023年1月の時点では、2019年1月の訪日外国人数の55.7%と半分ほどにとどまっていましたが、3月に緊急事態宣言が終了したこともあり、2月から3月にかけて一気に10%近く増加しています。
3~5月の増加スピードは一旦弱まり緩やかになりましたが、6~8月でまたスピードを取り戻し、9月はついに昨年比96.1%と、100%に迫るほどにインバウンド市場は驚異的な回復を見せています。
また、2022年10月~2023年9月におけるインバウンド数の推移(2019年同月比)を、特に旅行者の多い東アジアに絞って見てみると、中国、台湾、香港は緩やかに上昇しており、8月には香港がコロナ前の数値を超え、9月には台湾が100%を超えました。
韓国を見ると、2023年9月の訪日外国人数は2019年9月の300%に迫っており、インバウンドの急激な増加が顕著に表れています。2019年は日韓情勢が悪化していたため旅行者が減少していたことを差し引いても驚くべき数値と言えます。
このようなインバウンド急増の理由はコロナ禍が明けたことや日本の円安など様々な要因が考えられますが、コロナ前とさほど変わらないところまで回復していることからも、インバウンド集客の強化は今後ますます求められていくでしょう。
インバウンド集客に効果的な施策
では、インバウンドを増やすためには具体的に何を行えばいいのでしょうか。
ここからは、旅マエ(訪日前)、旅ナカ(訪日中)、旅アト(訪日後)のそれぞれの時期に効果的な施策をご紹介していきます。
旅マエ
旅マエは、とにかく自社の存在及び商品・サービスを認知してもらい、興味をひかなければならないため、少ない予算でより多くのユーザーへの認知を狙えるインバウンド施策を行う必要があります。
◆動画マーケティング
観光庁の訪日外国人消費動向調査(2023年4-6月期)によると、出発前に役に立った情報源として「動画サイト」が1位となっています。
動画は言葉以外にも様々な表現方法で視覚的に情報を伝えられるため、インバウンド集客にうってつけのツールです。世界最大の動画配信プラットフォームであるYouTubeに動画をアップすることで世界中のユーザーに興味を持ってもらえるチャンスが広がります。
海外ユーザーから高い評価を受けている動画は総じて映像のクオリティが高く、日本語がわからなくても映像を見れば何を伝えたいのかがわかるような見せ方や構成となっています。言葉やテキストの使用は最小限にとどめ、使用する場合は英語で記載するなどの配慮も必要です。
◆SNSマーケティング
近年は検索エンジンよりもSNSを先に開いて情報収集をするユーザーが増えています。認知し、興味を持ち、レビューを見て検討するという、購入に至るまでのプロセスはすべてSNSで完結するというユーザーも少なくありません。
画像や動画がメインのインスタグラムやTikTokなどは伝えられる情報が多く、ハッシュタグや説明欄のテキストに対象国の言語を追加するだけでもリーチできる幅は広がります。
また、SNSと相性の良いUGCやインフルエンサーマーケティングの活用もインバウンド集客に効果的です。UGCでコストを抑えたり、インフルエンサーマーケティングで認知拡大、訪日意欲を刺激してインバウンド集客の効果を高めましょう。
旅ナカ
訪日外国人の中には、実際に日本に到着してから近くの店舗を検索したり、歩いている途中で気になった店舗に入ってみるという人も多いです。そのため、旅ナカでは自店舗の近くにいる訪日外国人の行動を予測し、興味を持ってもらえるようなインバウンド施策が必要です。
◆屋外広告・交通広告
訪日外国人は空港から目的地に移動し、店舗に入るまでに様々な交通機関を利用し、街中のいろんな場所を目にするため、屋外広告や交通広告はインバウンド集客にぜひ活用したい施策です。
空港のデジタルサイネージ広告や駅の集中貼りポスター広告、電車内の中吊り広告、街中にも街頭ビジョンや看板広告など多種多様な媒体があり、歩いている人の目に留まるようなインバウンド広告を作成することで来店を促すことができます。
自社のビジネスが一目見てわかるような画像や写真とともに多言語に対応したテキストで店舗への誘導文を作成し、多くの訪日外国人の興味をひきましょう。
◆Googleビジネスプロフィールの多言語化
Googleマップは、地図サービスアプリとして世界中で最も高いシェア率を誇っています。目的地までの経路を確認したり、近くの店舗を探す際には多くの海外ユーザーが日本のユーザーと同じようにGoogleマップを開いて母国語で検索します。
よって、Googleビジネスプロフィールもインバウンド集客に有効なツールとなり、しっかりと多言語対応していれば訪日外国人からの視認性が上がり、来店率及び売上アップにつながります。
Googleビジネスプロフィールは、訪日外国人の設定言語に合わせて住所、営業時間、口コミなどは自動翻訳してくれますが、ビジネス名、投稿、ビジネスの説明などは自動翻訳されません。そのため、手動にはなりますができるだけ多くの言語で設定し、インバウンド対策をとっておくことをおすすめします。
旅アト
インバウンド集客は、再訪日や他の海外ユーザーの訪日を促すには旅アトの施策も非常に重要です。満足してもらえるようなサービスの提供は大前提ですが、旅アトでは体験したことを拡散してもらえるような施策が必要です。
◆口コミマーケティング
口コミは、これから店舗を訪れようとしているユーザーにとって価値のある判断材料となり、店舗への信頼性を高めるため、訪日外国人にも口コミを投稿してもらうことでインバウンド集客の成果もグッと上がっていきます。
口コミサイトはたくさんありますが、まずは多くの海外ユーザーが参考にするGoogleビジネスプロフィールやSNSでの口コミ増加を狙いましょう。訪日外国人の口コミが増えれば増えるほど、他の海外ユーザーの判断材料が増え、インバウンド集客の高い費用対効果が期待できます。
訪日外国人の口コミを増やすために最も効果的なのは、直接口コミ投稿をお願いすることです。QRコードなどを作成し、各テーブルやレジ横のPOPなどすぐ目に付く場所に設置すると投稿してもらいやすくなります。多言語で表記することで口頭での説明も不要になります。
●インバウンド集客とは?重要性や訪日外国人客を増やす効果的な施策について解説!
海外マーケティングの注意点
最後に、海外マーケティングを展開する際の注意点についてご紹介します。
国民性や文化の違いを理解しておく
海外マーケティングでは、国民性や文化の違いを理解しておくことが非常に重要です。
国内でも地域によって言葉や文化が違って驚いた経験がある方も多いと思いますが、海外となると「衣・食・住」の文化すべてが違うということも当たり前にあります。どんな生活をしているのか、どんなものが好まれるのか・嫌われるのか、事前に把握しておかなければなりません。
日本では一般的だからと言って海外マーケティングでもそのままの考え方で施策を実施すれば、全く効果がないどころか批判を受け、早々に撤退しなければならない事態に陥ることもあります。
現地で過ごさなければわからないことも多いため、可能であれば海外マーケティング対象国に実際に行ってみて調査することが望ましいですが、難しい場合は現地のパートナー企業と連携してサポートしてもらう必要があります。
事前の市場調査と分析が要
海外マーケティングにおいては、日本の企業というだけで現地の企業よりも不利な状況に置かれています。現地の企業にとっては国内でのマーケティングであるため、事前調査や分析も比較的スムーズに進むでしょう。しかし、日本の企業にとっては国をまたいだ調査が必要になり、ひとつのデータを収集するだけでもかなりの労力がかかります。
特に初めて海外マーケティングに取り組む場合、上手くいくかわからないのに多くのコストをかけたくないという気持ちがあるかもしれませんが、事前調査と分析をどれだけ徹底的に行えるかが海外マーケティングの成功を左右します。
3C分析やSWOT分析を行い、他社と比較した際の優位性やマイナスな影響を受ける外部要因を把握しましょう。海外企業の自社だからこそ攻められる部分や現地の企業だからこそ見落としている部分を見つけ、自社のビジネスとうまく結びつけることができれば、海外ユーザーにも選ばれる企業になり、海外マーケティングが成功しやすくなります。
ネイティブ翻訳でユーザーファーストな文章にする
海外マーケティングでは、様々な広告手法を使って商品やサービスを訴求していきますが、多くの企業が壁にぶち当たる工程が翻訳です。
機械翻訳も年々精度を増していますが、それでもまだネイティブが翻訳した文章に比べると、ぎこちなさが残り、海外ユーザーが読みやすい文章とは言えません。文章に込められた本当のメッセージを受け取ることができなかったり、親しみやすくしたいのに堅苦しくなってしまうなど意図とは反対に伝わってしまうこともあります。
一方でネイティブであれば、「よりわかりやすい表現方法で」「込めた意味を正確に理解してもらえて」「簡潔且つ強い印象を残せるように」翻訳してもらえます。
従って、海外マーケティングにおける翻訳作業はネイティブの人材に依頼することをおすすめします。原文に沿いながらもある程度はネイティブの翻訳者に委ね、ユーザーが瞬時に理解でき、商品やサービスの魅力が伝わる文章を作成しましょう。
国別の広告規制を理解しておく
海外マーケティングで広告を配信する際は、広告に関する規制も国によって違うことを認識しておく必要があります。
例えば、日本では2023年10月1日からステマ (消費者に対して宣伝広告であることを伝えずに商品やサービスを発信すること) が景品表示法規制の対象となりましたが、これまでは直接的に規制されることはありませんでした。
一方、海外の多くの国ではすでにステマの規制が行われています。アメリカでは米連邦取引委員会がインフルエンサーに対してステマをしないように警告文を送り、EUの不公正取引方法指令には、いかなる場合にも不公正となる取引方法のリスト(ブラック・リスト) が設けられています。
国によって様々な広告規制が定められているため、海外マーケティングでは対象国の広告ガイドラインを必ず確認し、法律に違反することのないように進めていく必要があります。
CV獲得後の導線づくりまで一貫して行う
まとめ
今回は、海外マーケティングについて解説しました。
海外マーケティングが成功すれば、世界中の人々に自社の商品やサービスを知ってもらえ、利益のはるかな向上も見込めますが、そのためには進出したい対象国の市場調査を綿密に行い、その国に合わせて施策を進めていく必要があります。
コストはかかりますが、軌道に乗ればそれだけ成果も大きくなるため、海外マーケティングに精通した企業や現地のパートナーをうまく活用しながら徐々に市場の幅を広げていきましょう。
弊社では、ヒアリングをもとに商品やサービスと顧客ニーズを結び付ける最適な戦略を立て、海外マーケティングをサポートいたします。
海外進出を検討している方も、すでに海外マーケティングに注力しているが成果が出ないという方も、お気軽に弊社までお問合せ下さい。
WRITER / HUM 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部 WEBライター 株式会社ジャリア福岡本社 WEBマーケティング部は、ジャリア社内のSEO、インバウンドマーケティング、MAなどやクライアントのWEB広告運用、SNS広告運用などやWEB制作を担当するチーム。WEBデザイナー、コーダー、ライターの人員で構成されています。広告のことやマーケティング、ブランディング、クリエイティブの分野で社内を横断して活動しているチームです。 |